21世紀の雇用環境で不可逆的に進行する“4つのトレンド”と“仕事に求めるもの(働く目的)”の絞り込み

この記事は、前回の記事の続きです。

若者の”自殺”が深刻、20~39歳各年代の死因は自殺が最多–就職・勤務で悩み

>>自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)は前年比2.2ポイント減の21.8%(男性32.4%、女性13.9%)。年代別に見ると、20歳代で自殺死亡率が上昇傾向にあるのに対し、40歳代以上では低下傾向にある。詳細を見ると、60代以上の自殺死亡率は26.9%、50代以上は29.9%で、1997年の数値(60代以上31.9%、50代以上31.6%)をいずれも下回った。それに対して、20代の自殺死亡率は近年増加傾向にあり、2009年には13.3%だったものが、2011年には24.3%、2012年は22.5%と高い水準が続いている。

>>若い世代の自殺は深刻な状況にあり、20~39歳の各年代における死因の第1位は自殺との調査結果が出ている(厚生労働省2011年「人口動態統計」)。国際的に見ても、15~34歳の世代で死因の第1位が自殺となっているのは先進7カ国では日本だけで、その死亡率も他の国より高いという。

20~39歳の年齢では『がん・脳卒中・心臓疾患』などの致命的疾患を発症するリスクが低いので、『自殺』が死因の上位にはなりやすいが、自殺死亡率の低い他の先進国と比較すると、『労働規範の強さ・中途半端な失業率(働いていない自分に全的に価値がないと思わせられる社会的圧力・世間体の影響)』や『再チャレンジの難しさ・社会福祉や就労支援制度の乏しさ』などの要因があるように思う。

日本でも欧米同様に失業者やニートは増加してきてはいるが、雇用の量・質が悪化する中でも依然として、『正規雇用として働くことを標準的とする制度設計・労働規範の圧力』は根強いものがあり、特に若年層の男性にとってはその圧力を完全に無視して開き直ること(自分のできるペースや雇用形態・職種でそれなりに働くこと)も難しい環境が多々あるだろう。

格差の問題とも関係するが、労働階層やキャリアパスの分化のような社会現象に囚われすぎる人、従来の平均的な人生設計を歩みたいと思う人にとっては、非常に生きづらい時代になってきている。好きな仕事を楽しみながらしているクリエイティブ層やタレント層ほど、所得も増大しやすいという理不尽な状況もあるが、その非常に狭き門(人気の職業)に対して求職者が殺到し篩い落とされていくという冷酷な図式(特殊なタレント層の業界に入る夢を諦めきれない人の就業困難の図式)もある。

>>若い世代の自殺の原因を調べたところ、2007年以降、20代では「勤務問題」による自殺死亡率が増え続けており、2012年には全年代の中で最も高くなっていることが判明。また、「勤務問題」以外においても、20代の自殺に多い原因・動機は「就職失敗」や「その他進路に関する悩み」など、いずれも就職問題に関連しており、さらに自殺者数は増加傾向にあることがわかった。

21世紀に絶対に変わらない普遍的なトレンドを直視した上で、仕事や職業について落ち着いて考えれば、『現時点で就職できない・納得できる仕事や将来の保障がない・十分な収入を得られない』ということに絶望して自殺を選択するほど追い詰められる必要はないと僕は思う。

21世紀に不可逆的に進行し続けるトレンド、抵抗しても変えることが極めて困難な現実は以下の4点である。この4点を踏まえた自分なりのライフスタイルや人生を楽しめる領域を作り出しておくことが必要で、『仕事に求めるもの』や『自分が働く理由』をできるだけシンプルに絞り込んで、周囲や他者との比較で一喜一憂しない行動理念の軸を定めることである。

仕事の分野だけで自己実現をしようとしたり、将来設計と職業キャリアの完全な調和・安心を求めようとすれば、相当にしんどい心理状態になったり一つの挫折・失業で耐久力が持たなくなってへたり込んでしまうかもしれないが、いずれにしても、先進国では若年失業率は高い水準で推移していく。『失業に備えた個人の選択と努力+国家の実効的な社会保障(職業訓練・資格取得支援・実務経験支援)』が必要な時代にさしかかっている。

1.テクノロジーの進化と専門性の細分化(共通言語としての英語・中国語の汎用性)

2.グローバル化の進展と超国籍企業の影響力の増大

3.人口構成の変化と先進国の超高齢化

4.個人のライフスタイル・価値観の多様化と個人単位の能力・興味のコラボレート

将来をいくら心配したとしても、日本では正規雇用のキャリアを40年以上勤めても、年金給付年齢は68~70歳以上にはなるのだから、自分なりに働ける領域と環境を確保しながら、貯金・投資を細々として『生涯現役』の覚悟を持って病気・怪我をできるだけしないように健康管理やメンタルヘルスの維持に努めるしかない。

国家財政が破綻したり社会保障が削減されたり世界的な飢饉が発生したりなどで、ダメな時にはどうやってもダメになる(生きたくてもお金も食べ物もなくて生きられなくなる)かもしれないが、その時はその時として腹を括るしかない。

10年後、20年後、老後に希望が見いだせないとか自分の想像上の自尊心が付き崩されるとかいう不安・絶望に沈んでも、それは今順調に会社・役所で働いている人たちも同様に背負っている時代状況の不透明さではあるのだ。大半の人は『今の自分にできる仕事・勉強+αの人生の楽しみ方・面白さの実感』をそれぞれの立場や人間関係、可能性の範囲で模索しながら、何とか生きて楽しみを見つけるという『サバイバルの原則・仲間作りや楽しみの発見の姿勢』でやっていくしかないと思う。