『歩行者優先の原則』はあるが、車も歩行者も自分が『加害者・被害者』にならない予測と判断が大切。

ランニングやウォーキングをしていると、信号のない横断歩道で車がスピードを上げてきたり、左折してくる車の歩行者の確認が不十分でぎりぎりでブレーキをかけたりすることは少なからずある。歩行者が危ない状況になったり、運転手がヒヤリとする急停止をすることもあるわけだが、法律的にいくら『歩行者優先』であっても、車と人では運動エネルギー・物理的耐久性の違いが大きすぎるため、衝突すれば一方的に歩行者が怪我をするか死亡するだけの結果になりやすい。

3割が歩行者優先知らず=横断歩道標示も理解不足-免許保有者調査・警視庁

道路交通法の交通法規の理解度については、『車よりも歩行者が優先である・横断歩道の近くでは徐行(即時停止が可能な遅い速度で走る)』を知らないドライバーはいないと思うが、『横断歩道で車の通過を待っている歩行者がいれば、必ず一時停止しなければならない』という法律上の義務までがあること(取締りの対象になることもあること)を知らないドライバーが約3割いるのだろう。

とはいっても、日常的に歩いている比較的狭い道路(国道ではない道路・生活道路)や通学路などであれば、『十字路・横断歩道』を歩いて渡ろうとしていれば、50~60%以上くらいの確率で車の側が止まってくれているようには感じる。小学生にもならないくらいの小さな子供を連れていれば、90%近くはかなり手前で止まってくれるか十分に遅い徐行で走ってくれるので、『歩行者の危険回避能力・予想できない動きの可能性・交通事故を起こすリスク』をドライバーはある程度自覚しているのだろう。

個人的には『歩行者優先の原則』については、車同士でも下手に止まらずに速やかに通り過ぎてくれたほうが運転しやすいケース(その車の後に後続車がいないようなケース)が多いように、車と歩行者でも車が必要以上に気を遣わずに速やかに通り過ぎてくれたほうが安心して渡れるケースも少なからずあるように思う。

自分がランニングをしている時に思うのは、『止まってくれる車』もいれば『強引に行こうとする車』もいて、その車・運転手ごとの行動判断(人間性)の違いを意識して、止まってくれるかなどうかなと車の出方・様子を伺いつつ、『歩道と車道の境界』に踏み込む時にストレスが生じやすいということである。そういった迷いやストレスを無くすため、僕自身は『車を先に行かせてから自分が行く』という法律の原則とは反対の行動パターンを取ることが殆どであり、そちらのほうがストレスや不満感を抱いたりヒヤリとすることが圧倒的に少なくなる。

走っている時(歩いている時)にこのままのペースで走れば、右折(左折)してくる車と同じタイミングで車道に入るなというのが予測できれば、少しペースを落とすか車道より数メートル手前で自分のほうが止まるようにしている。車は歩行者が明確に『私はこれ以上は進みません』という位置で止まっている時には、安心してその前をスムーズに通り抜けられるので、お互いにどっちが先に行くのか(自分のほうが先に行くぞ)という『譲り合い・せめぎ合い』を無駄にしなくて済む。

意図的にこちらが手前で止まっていることに気づいてくれたドライバーは笑顔で会釈してくれることも多く、気持ちよくすれ違うことができるし、ある程度スピードが出ている車なら目の前を通り過ぎるのはあっという間なので、僕がギリギリのタイミングで車と鉢合わせて、その前を歩いたり走ったりするよりも効率的である。感覚の問題でもあるが、夜間などでもヘッドライトをつけている停止した車の前を歩くより、先に車に行ってもらって歩いたほうが安心感・気兼ねのなさがある。

しかし、明確に『先に行って下さい・行っていいよ』と譲られた場合は迷わずに自分が車でも歩行者でもさっと行ってしまったほうが良く、『相手への譲り返しによる譲り合い』はどちらが先に行くのかの状況判断が混乱してしまって危ない。

相手が車であっても歩行者であっても、『相手が今からどう進もうとしているのか・何をしたいと思っているのか』を事前に予測して、『相手が緊張感やストレスを感じずに通行できるような状態(駐車・Uターン・車線変更・追い越しなど相手がしたいと思っている行動をしやすい状態)』を意識的に作ってあげることで、お互いが気持ちよくすれ違うことができるし、『交通事故・対人トラブルの可能性』を限りなくゼロに近づけることができるように思う。

車や歩行者とのすれ違いなんて僅か10秒かそこらの時間しか要さないことであり、車同士の譲り合いや追い越しなんかでも大した時間の違いはないのだから、『確実な安全・事後的な気分の良さ』を大切にして、無理なタイミングで突っ込んだり、相手の行動を抑えるために前に出過ぎない(相手の譲歩・法律遵守に期待して自分が先に行こうとしない)ようにしたほうが、結果としてお得なようにも感じている。

『歩行者優先の原則』は子供や高齢者、障がい者の保護でも非常に大切な原則であり、ドライバーはその原則に従って『道路を渡ろうとしている歩行者がいなくなったこと』を確認してから進むべきなのは当然だが……歩行者の側であっても『強引な右折車・一時停止しない左折車・駐車場から頭を出している車』などに対しては、『向こうが止まるのが当たり前(人身事故を起こしたら大変だから少し強引に横断歩道に踏み出せば必ず止まってくれるはず)』と思い込まずに、きちんと自分の目視で車の動き・ドライバーの表情を確認してから渡り始めないと思わぬ事故に遭うこともある。