都市部の駐車場ビジネスの成長可能性と『Times(パーク24)』のネットワーク型のビジネスモデル

駐車場ビジネスといえば土地を余らせている人が近隣住民が止める『月極駐車場』を経営するイメージがありますが、税金・管理コストなどを考えれば、地方部の『月額6000円~1万円程度』の駐車場の月極では確かに、よほど広くて埋まっている駐車場でない限りは大きくは儲からず法人化・事業化まではしにくいと思われます。

一方で、東京の大都心とまではいかなくても、それなりの人口の規模と人通り・来客数(ビジネス・買い物・イベントなど含め)のある都市部あるいは観光地で『時間貸しの駐車場』を経営すれば、相当に大きな収入が得られて、それだけで十分な生活ができたり法人化・事業化しているケースもあります。もちろん、都市部になればなるほど地価と固定資産税そのものが高くなるので、『投資対利益』はシビアな損益分岐点になってくるし、『駐車場よりも儲かりそうな案件』に土地を使う所有者が増えると思いますが。

中小都市部を含めた駐車場の潜在需要と空き地の増加に目をつけて、最近では『パーク24』などの企業が『時間貸しのシステムの貸出』あるいは『地主からの土地の借上げによる駐車場ビジネス』で業績を伸ばしていますが、25期連続での増収(増益まではいかないようですが)というのは駐車場市場の底堅さ(人海戦術の営業の粘りも当然ありますが)を示しています。

パーク24の西川社長のインタビュー記事を読むと、『駐車場のコンビニ化を目指す逆転の発想』が駐車場事業の中心理念だというわけですが、『駐車場の商圏は200m単位の小さな範囲』に分散しており、コンビニ以上の数の時間貸し駐車場を作ったとしても、その駐車場に止めたいという潜在ユーザーは要るというのです。しかし、そのための土地を十分に準備する時間と交渉は必要なので、急速な成長はできないが、中長期的に成長は続けられるはずで、駐車場ビジネスは他のビジネスと比べれば『土地確保(賃貸契約)のコスト』以外の『参入障壁がほぼゼロ』なのが魅力だといいます。

この社長は自社が手がけている駐車場市場は、参入障壁がほぼゼロで成長余地のある市場なのに強力な大手資本が入ってこない『ブルーオーシャン』だというわけですが、僕も身近にできた『時間貸し駐車場(パーク24のTIMEs)』の状況を見ていると、駐車場ビジネスの拡大余地は住宅地であってもまだまだあるような印象は受けます。

基本的に住宅街であるため、半径500m圏内に有料駐車場はなかったのですが、その駐車場ができるまでは『かなり狭い放置された空き地』であった場所が、駐車場ができてからは平日の昼間でも8割方止まる状態になっています。

今までは少し離れたスーパーとか駐禁の取締りが来そうにない他の人も止めている路上への違法駐車とかが多かったのでしょうが、『12時間で最高500円』という金額設定は、『もしかしたらの駐禁取締りのリスク・大事にしている車に傷をつけられるかものリスク』を考えれば、有料でも止めたいと思える設定になっているのだと思われます。

もしくは、営業マンなど経費で駐車場代が出る人が止めているのかもしれませんが、地元の人が『まずここは駐車禁止を取られない場所』だと請け負っていても、半日以上など長時間にわたって止める場合にはやはり『グレーゾーンの駐車スペース』に車を止めっぱなしにする各種の不安があるからでしょう。

『パーク24』の業務の中心はあくまで土地確保のための営業ですが、『ローリスクで狭めの土地の活用(他に特別な使い道を考えつかない土地の活用)』を考えている地主との中長期の賃貸契約は順調に運びやすく、収入の大半は10台前後の駐車場(全国1万2000ヶ所以上)から生み出されているというのは『塵も積もれば山となる戦略』で面白いと思いました。

駐車場と合わせてカーシェアリング事業もやっているようですが、こちらは規模拡大で現状赤字であるものの、『短時間のレンタカー利用のニーズ』は都市部にはまだ潜在的に多くあるとの見込みから増車し、最終的には『全国の膨大な駐車場+カーシェアの台数』によるネットワークで稼ぐという方向性のようです。

マツダレンタカーを昨年M&Aして、レンタカー事業のノウハウとシステムも持っていますから、基幹の駐車場事業がコケない限りはカーシェアリングの成長分も見込めるかもですが、『複合型商業施設の大型無料駐車場』がカバーできない『各地の小さな駐車ニーズ(従来の不安・リスク感のあった路上駐車からの転換ニーズ)』に目をつけたのが良かったのか。