“喫煙率の低下・職場の禁煙・職種と管理の強度”によって“タバコ休憩(短時間休憩)”の捉え方は変わる。

現在よりも喫煙率が高くて職場の禁煙・分煙も不徹底だった1990年代頃までは、『職場の管理者・上司』が喫煙者であることが多かったこともあって、“タバコ休憩の持ち回り”は暗黙の了解のようなものでもあった。

喫煙者と非喫煙者との間で『休憩を取る頻度』に差があるのは不公平ではないかという意見もあるが、喫煙率が高かった当時でも『喫煙者だけの休憩』というわけではなく、非喫煙者であっても“順番の持ち回り”で(お茶を飲んだり雑談をしたりで)5分程度の休憩を取っていることが多かったのではないかと思う。

「ちょっとタバコ吸ってきます」 喫煙休憩は「労働者の権利」として認められるか?

各種の店舗などでの現場仕事であれば、『忙しい時間帯』と『暇な時間帯』の落差があるので、暇な時間で人員が余っている時には順番で休憩に入っていたりもしたが、2000年代からは徹底した人員削減の合理化で暇な時間帯には『一人体制(担当時間は休憩に原則入れない体制)』も多くなったので、そういった短時間休憩(これをいわゆるタバコ休憩ということが多かった)の持ち回りのような慣習も廃れていったのだろう。

状況や進捗を見ながら短時間休憩(タバコ休憩)を取れる環境・管理体制であるか否か、勤務時間内での喫煙が明確に禁止されている会社(組織)なのかどうかが関係してくるが、勤務時間内には『仕事以外の一切の行為』をしてはいけないというレベルの厳しい管理体制にある会社・職種であれば、タバコ休憩は労働者の権利でもなければ従業員が交代で取れる休憩でもないということになる。

定期的な短時間休憩を取れるかどうかは、『会社の規則や慣習・仕事内容・管理体制・従業員の裁量の大小』に依存するのであり、例えば、自動車や鉄鋼などの工場作業(ライン工)であれば決められた休憩時間以外に、自分の裁量や従業員間の交代で勝手にタバコ休憩に入ることなどは許されないだろう。その時間内は決められた作業や工程を黙々としなければならないという種類の仕事であれば、従業員が自分の裁量で短時間休憩を取ることはできず、決められた幾つかの休憩時間まで待たなければならない。

飲食店やアパレルなどの店舗内業務の場合は、会社の規則や経営者(管理者)の方針によって変わるのであり、個人事業・零細事業で経営者が喫煙者なのであれば暇な時間帯の定期的なタバコ休憩くらいは許される可能性が高いが、大企業で官僚主義的な組織や規則が確立していれば、客の少ない暇な時間帯でも厳しい管理体制があって自由な休憩の裁量はないかもしれない。

自分一人で営業車を走らせて誰とも一緒にいない営業職などであれば、タバコくらいは吸いたい時にいつでもどこかで吸えるだろうし、会社の営業管理の強度が低ければ、必要なノルマを達成した後は比較的自由行動の裁量(許可を得てから平日にしかできない役所での手続きをしたり病院に行ったりなど)が効かせられるところもあるだろう。最近は、GPSで営業車の走行履歴や停車時間・場所を大まかにチェックするような管理体制を敷いているところもあるので、外回りの営業でも自由裁量の度合いはかなり落ちてきているとは聞くが。

事務職の場合は、職場のルールや空気に大きく依存する。労務管理が厳しいところでは僅かな私語・ネットの私用さえも許されない厳しい事務所もあるので、そういった所では決められた休憩時間以外に持ち場を離れる事はできず、半ば同じ部屋にいる上司からの監視状態にあるのでタバコ休憩などは論外だろう。反対に、労務管理がある程度甘くて、自分の仕事が片付いたり自由に息抜きの休憩ができるような職場もあるので、そういった職場であれば短時間休憩は極端に仕事が遅れていない限りは取りやすいと思う。

就業時間中のタバコ休憩については、『業務内容の性格・必要性』からタバコ休憩を取れないという会社もあれば、『労務管理の厳しさ(仕事以外の僅かな私語を含む一切の行動の制約)』から休憩を取れないという会社もある。反対に『忙しさや状況の判断によって交代で休憩を取れる職場・仕事以外の全てが禁止されるような厳格な労務管理がされていない職場・自分一人だけの裁量や移動の多い仕事内容』であれば、今でもその場その場の状況判断に応じた短時間休憩が取れる職場もあるだろう。