セブン&アイHDが牽引するコンビニ業界と24時間ATMを稼働させるセブン銀行の成長可能性

小売業界でスーパーが低迷する中、セブンイレブンが牽引するコンビニ業界は前年比+で健闘した。コンビニ間でなぜセブン&アイHDだけがあそこまで一人勝ちできるのかは『PB・惣菜等の商品力』だけでは上手く説明できないが、株式市場でセブンイレブン関連の内需株はかなり安定感がある。

セブン&アイHDとセブン銀行は、ディフェンシブな資産運用の株のポートフォリオには、必ず組み入れておきたい下がらない銘柄だが、『外国人観光客増によるATM需要の増加』はセブン銀行の手数料収入にかなりの追い風になってくる。

商品開発力や珍しい弁当、スイーツのバリエーションではむしろローソンに軍配が上がると個人的には思うが、近隣のコンビニを見て思うのは『店員の接遇スキル・高齢者への対応の仕方』がセブンのほうがローソンやファミマより一段レベルが上という印象もある。対話・気遣いの効いたある種のコミュニティ機能が奏功した店舗が見受けられるが、過去と比べると機械的・無機質なマニュアル対応が若干改善されて、馴染みの常連客などへの声かけに工夫が見られる。

セブンイレブンは弁当もパンも惣菜も『定番』が中心で、意外性のあるメニューがローソンやミニストップ等よりも少ない印象もあるが、高級PB路線などで顧客単価が上昇しているという。後は意外に大量に買ってくれる中高年層が目立つようになり、スーパーでのデイリー消費の一部がコンビニに転換されつつある現象もあるか。

コンビニ業界は、徒歩で気軽に立ち寄れる地域密着型店舗やカフェスペース等の高齢者のコミュニティ機能の追加などで、スーパーの消費の何割かを奪い取る潜在的成長力を有するが、イオンをはじめとするモール型店舗は『大型無料駐車場』に依拠したビジネスモデルが運転率低下の高齢化社会において逆に短所になる恐れが出た。