学歴は人生や仕事に役に立つのか?:学歴が職業・所得にもたらすメリットとは何か。

近代の学歴・学閥は経済・文化のスクリーニングの役割を果たすが、学歴の実利は大企業・官庁のキャリアのパスポート、医療・法律など高学歴の専門職にある。非大卒者の参入障壁は擬似身分を支える。

社会に出て「学歴関係ない」「学歴が通用しない」と思ったことは? どんな場面でそう思った?

学歴によって職業・所得の分かりやすいメリットを得たいなら、『大企業・公務員・専門職・研究職などのキャリア』を積まなければならないが、高学歴なら楽に良い給与が貰えるというわけではなく(一般にハイエンドな管理職・専門職ほど権限と合わせ負担も大きくなる)、学校後の終わりなき競争に参加するだけでもあるが。

学歴の職業・所得のメリットは『高学歴者・有資格者以外がその競争の場に殆ど参加できない(企業の採用条件・免許の法規制等で大半の人を事前排除する)』ことで担保されることになる。逆に言えば、高学歴者でも『キャリアを問わない誰でも参加できる場でのフラットな競争・現場仕事の実力勝負』をするなら殆ど利益はない。

経済的な実利・昇進などの面だけで学歴の効用を見れば、『高学歴だけで後は楽に高所得を得られ続ける甘い考えを持った者』は学卒後の終わりなき競争・労働のハードさに挫折・落胆のリスクがある。『様々な学歴・経歴・生き方の人が玉石混交で混じる職場で非学力・非資格の実力勝負が求められる者』も学歴の効用は余りない。

実社会での現場の仕事の実力やお金を稼ぐことだけを基準にするなら、大卒率が50%を超えてきた現代では学歴だけでの経済的効用(組織所属・競争参加・免許取得の入場券の効用はある)はかなり低くはなった。経済とは別に学歴による文化的・価値的スクリーニング(何に興味を持ち何を話題とするか)の側面もある。

学歴のみで知的水準・知的向上心を確実に推測する事はできないが、平均的には『リベラルアーツの教養の保有率』や『政治経済・社会問題・科学知識・本に関する興味や理解の度合い』で違いは出やすい。高学歴でも酒・女・博打・遊び・武勇伝の類が好きな俗な人は多いが真剣な議論や会話の共通の知的土台は持っている事が多い。

生涯賃金・地位・名声など世俗的な利を基準にすれば、学歴社会で勝ち続けた高学歴者が有利だろうが、『人生の総合的な幸福度』ではどんな学歴でどんな生き方をしている人が有利か、どのような興味関心や知的水準にある人が幸せに生きられるのかは、『その人の価値の優先度・望む関係や場』に拠って変わるとしか言えない。

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