新アベノミクスの『GDP600兆円の目標』と現在進行形の負担増:改善してこない一般国民の所得・生活実感

GDP600兆円のマクロな経済指標に依拠した目標は、『大企業・公務員・大株主ではない一般国民層』にとっては数字だけで実感が弱く、自身の労働に所得増加として再分配されるわけでもない。

新アベノミクス「GDP600兆円」は実現可能か? 生活水準が低下するリスクも

アベノミクスは『金融市場・自由貿易(円安)・物価上昇(インフレ目標)・大企業』を重視し、GDPと株価を引き上げる為、異次元の金融緩和やGPIF(年金積立基金)の株投資、TPPの禁じ手も動員する。『社会保障・育児支援・格差や貧困』で有効打を出さず、女性・高齢者参加の『総労働社会』での乗り切りを図る。

中国経済のバブル崩壊のプロセス、EU経済の消えないギリシア問題(南欧のソブリンリスク)もあり、米国だけは雇用統計や利上げ予測で景気回復も期待されるが、日本だけが突出して年3%の成長を5年連続で達成できる、消費税増税の影響も無視して消費を伸ばせるというのは相当な楽観視、生活実感の伴わない予測だろう。

確かに、日経平均に反映される上場企業の多くは、過去最高益を叩きだしているが、そのかなりの部分は『日本市場における日本人相手の商売の利益』ではない。中国人観光客のインバウンド消費が消えたら百貨店や電気量販店など今の業績を維持できなくなる恐れがあり、自動車・機械・電気も欧米・中国の購買力に支えられる。

アベノミクスの実施当初は『円安歓迎ムード』だったが、ここに来て分かったのは『円安になっても過半の国民の所得は増えない・円安で国内の製造拠点は活性化しない(自動車・機械は生産設備のかなりの割合を既に海外移転している)・円安が長いと生活物資が値上がりする』ということであり、輸入品価格上昇の負担も高まる。

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