ユニクロの冬季の売上減少による業績予想の下方修正:ユニクロの価格引き上げ戦略が壁にぶち当たる

ユニクロが11~12月の売上減少を受け、通期の業績予想を下方修正した。暖冬による冬物衣料の売上不振を理由に上げるが、利益率を上げる価格引き上げ(GUとユニクロの格差路線)が顧客離れを招いたかも。アパレルの王者ユニクロの経営でも「永続的な右肩上がりの成長」は不可能で、当面の成長の天井に当たったと見る。

ユニクロの国内市場は成長の余地が見出し難いが、2016?2017年は『世界的な景気減速・南欧の財政・チャイナリスク・中東の政情』と『消費税増税の予定(景気条項はない)』が悪影響を及ぼす可能性がある。国内市場が飽和する中、ユニクロの成長持続の活路は海外店舗の増加だが、先進国以外での価格競争力は弱い。

ユニクロの主力商品は下着・シャツ・パンツ・靴下などの『カラフルなベーシック衣料品』だが、すでにこれらの商品はユニクロの購買層の大半に行き渡ってしまい、『前年度を越える需要』を喚起するほどの新商品・話題商品がない。『顧客の購買力』も漸減傾向にある状況だ。売上に貢献するアウターは毎年は買わない人が多い。

ユニクロは初期には『安さの価格競争』でライバルのアパレルチェーンを圧倒して、ベーシック衣料品の国内シェアの牙城を固めて、『価格以上の品質・年代を問わない着まわしの良さ(無難・無個性なデザイン)』で顧客の幅を広げてきた。奇抜さ・新規性を競わないノームコアのファッション感覚に国際的な影響力も振るった。

ユニクロの転機は“G.U.の新ブランド”を立ち上げ、『安い価格帯・10代の若者向けの商品』をできるだけG.U.に回して、既存のユニクロ商品をジリジリ上げる戦略に転換した事だ。安売り路線での持続的成長が困難になったからだが、昨年まで上手くいった単価上昇戦略がブランド価値・顧客マインドの壁に当たった。

今冬のユニクロのアウターは、チェスターコートや厚手のダウンパーカーなど1万5千円程度の価格帯にまで値上げされた。確かにダウンなどは数年前のものより質感は良くなっているが、1万円を超えるとユニクロ以外のブランドでももう少し出せば買えるものが多く、そちらに流れる。登山ブランド・モンベルの標準的な質の良いダウンよりも高い。

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