GPIF(年金積立金管理運用機構)の株式投資の是非と超長期の経済成長の信仰

長期的な年金財政・人口動態・金融市場の要因による「年金減額・給付開始年齢引上げの可能性」は高いが、GPIFの株式投資で確定給付が望ましい公的年金に確定拠出型(401k)の性格が出て来る。

年金給付減額あり得る=GPIF運用悪化なら―衆院予算委・安倍首相

GPIFの年金積立金を株式に投資してはいけないという話ではなく、世界的にどこの国でも現金だけで年金積立金を保有し続けることはまずないが、「世界市場の中長期の予測成長率」に不透明な要素が増えており日本経済もGDPのマイナス成長に陥りやすい状況に陥っている。低成長でも持続的に成長するなら投資は有効だが。

社会保障制度の年齢別人口ピラミッドと賦課方式に基づく構造的問題としては、『50代以下の現役世代の負担と給付のバランス』が大きく負担増に傾き、20代の若年層では人生でマイナス3000万超とも言われる負担増に人生設計が圧迫される。社会保険が毎月の税金としてのしかかるのに、給付の時期・金額の保証はない。

超高齢化社会で賦課方式の社会保障制度に長期持続性がないことは明らかなのだが、「老後は年金だけでも生活できる」という昭和後期までの感覚をひきずっている50?60代のサラリーパーソンは今でも多く、現状で65歳からの給付が68歳に延長されると生活が成り立たない高齢層は倍増を超えて増加するだろう。

日本政府は「公的年金制度は破綻しない・公的年金の所得代替率は大きく下落しない」という建前を変えないが、破綻しない根拠は「給付開始年齢の後ろ倒し」で社会保障費をコントロールできるからだが、長期持続性を保つためには「持続的な経済成長」が必要条件である。マイナス成長なら10年先も危うい。

政府がポジティブにGPIFの株式投資をするのはその条件を踏まえれば当たり前というか、「株式はリスク資産だから投資できない」と宣言するのは「日経平均に反映される日本経済の潜在成長可能性の否定」になってしまう。政府は年金制度を維持できるとするのだから超長期の成長・株価上昇があると認めて投資すべきとなる。

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