共和党のドナルド・トランプの台頭によって混迷する『アメリカ大統領選』の雑感

アメリカの共和党の大統領候補であるドナルド・トランプ氏の非現実的とも見える排外的・攻撃的な政治主張が注目を集めているが、保守的な強硬派・福音派・市場原理主義のテッド・クルーズ氏もトランプ氏以上の極端な政策を主張していて大差ない。バランス感のあるとされたマルコ・ルビオ氏は急速に支持を落とした。

全方位外交ならぬ『米国孤立』につながる日本・メキシコ・中国・イスラム諸国などを敵視する『全敵対外交』を標榜するドナルド・トランプが共和党代表になった場合、大統領選で民主党が勝つと見る。そうするとオバマ2期を継承し3期12年の民主党政権になるがヒラリー・クリントンやバーニー・サンダースの方がまだ思想や世界観がまともだろう。

自由貿易と市場主義のティーパーティーの政治家テッド・クルーズは、マシンガンをぶっぱなしてベーコンを焼き銃規制に反対姿勢をアピールしたり、低所得層を締め上げる人頭税(均等税)を提唱して自己責任を強調するなど、トランプ以上にラディカルな国家主義・市場主義の持ち主で、ISに対する絨毯爆撃も主張している。

ネオコン一派を率いてアフガン・イラク戦争で世界をかきまわしたブッシュ一族のジェフ・ブッシュが大統領選を撤退したと思ったら、ブッシュらを超えるような極右・好戦的な政治家が台頭し、『劇場型の仮想敵を叩く対決政治・偉大なる軍事国家アメリカの復権・市場主義の徹底』を主張するなど、米国政治も混迷している。

面白いのは、外国から世界のスーパーパワーとして軍事力で世界秩序を担ってきたと見られるアメリカの有権者のかなりの部分が、ドナルド・トランプの語る『アメリカは日本・中国・メキシコ・ISなどから騙され利用されてきた』という被害者意識があるという事だ。自称・世界の被害者として、トランプ支持者は怒っている…。

日本人の保守的な反米主義者は『日本はアメリカの保護国・植民地のようなものだから主権を回復しなければならない』と被害者意識を持っているが、共和党のトランプ支持・愛国的な反日主義者は逆に『アメリカのほうが狡猾な日本に騙されて富を奪われた』と被害を訴えているのだが、どこの国にもそれぞれの被害妄想がある。

スポンサーリンク