中国の南シナ海・東シナ海への軍事的な海洋進出:『遅れてきた帝国主義の中国』を日本の近代史から見る

中国は世界二位の経済大国で常任理事国だが『政治体制・人権・人民の豊かさ・報道や表現の自由』で先進国になりきれず、中国が非難する戦前日本に似た孤立外交・軍事優先・拡大主義の過ちに陥りつつある。

<防衛白書>中国海洋進出「強い懸念」 北朝鮮の脅威強調

西欧列強と並ぶ帝国主義国として大陸・太平洋への侵略を経験した日本、その過去を非難されてきた立場であればこそ、『満州国建設+太平洋進出+絶対的国防圏の設定』を中国が非難するなら、『東シナ海・南シナ海への進出+核心的利益の主張』が周辺国を無視した旧日本の力による現状変更・ゴリ押しと同じだと詰め寄るべきか。

日本の軍国主義や過去の侵略を批判して再軍備化を警戒する中国に対し、日本は『中国側の軍事費増大・海洋進出・孤立外交(周辺国無視)』に恐れを抱いている事を率直に示し、『過去の大日本帝国が中国・アジアに与えた軍事的威圧感』を今度は中国が日本や外国に与えていないかを自覚させるべきだろう。

その為には、日本の富国強兵と庶民の貧しさから過去の戦争の過ちがどのようなプロセスで生まれたのかについて共同で検証し、大日本帝国期の『国内の不満を回避するナショナリズムや軍事的冒険主義のリスク』を中国が繰り返さない為にどんな対策を打てるか、日・中・ASEANで合理的解決案を交渉すべきだ。

現代中国は大日本帝国が『遅れてきた帝国主義国』とすると、『100年の昏睡状態から覚めた中華帝国』なわけで…先進国としての経済・娯楽・文化を持つ一方で前近代的な野蛮さ・侵略性も併せ持つ厄介な存在になった。中国エリートは独裁が良いと思わないが、今の中国で民主主義を実施するのは至難でもある。

中国がどんどん強大に発展拡大していって世界一の国になるというナショナル・ドリームが、中国人の愛国心と忠誠心を熱くする。『今が貧しく苦しくても俺たちは今後も成長し続けるアメリカに迫る中国の一員だ』という自意識によって、中国共産党の体制に不満があっても反抗が抑制され治安も維持される。

もちろん、華僑のビジネスパーソンだとかマルチリンガルなチャイナ・エリートだとか、大都市の中流階層は、中国共産党の一党独裁体制やナショナリズムの夢などには余り酔わないだろう。国外に出てグローバル経済でどんどん活躍の場を広げており、中国人内でも『共産党との距離感・国家や軍事に対する意識』は相当な格差があると思う。

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