『居場所のない待機老人の増加』と『需要増加の施設介護』に対応できない政府:超高齢化社会の介護・住居・ケア

政府は最も需要のある『施設介護の増加』には後ろ向きで、社会保障削減の意図もある『在宅介護・通所介護と家族の互助』に頼ろうとしているため、『居場所のない・家族のない・資産のない・認知症のある高齢者』は増えるがどう対応できるか……。

待機児童より深刻 行き場を失った待機老人問題

一つの対応策は、緊急性のある状況以外は自分たちで生活してもらう『高齢者向けのグループホーム・シェアハウス』を増設し、比較的元気な時期に入所して他の高齢者の最低限の介護・世話をすれば『自分の入所資格』が得られるような仕組みを作る。『高齢者間の互助』でケアの質は低くても施設運営を成り立たせる事だろう。

現行の特別養護老人ホームの人員や介護のクオリティーを維持しながら、安価に入所できる施設を増加できるのが理想だが、今以上の社会保障費の増大には限界があるし、現行賃金では介護職のモチベーションに問題が起こりかねない。長期の家族間介護は大家族でもない限り、施設介護以上に家族の疲弊や絶望、虐待の誘因になる。

2000年代に入って、高齢者の人口が急激な増加を続けているが、団塊世代が概ね75歳以上の後期高齢者となる『2025年問題』からの10~20年間が『高齢者福祉の正念場・家族の介護負担のピーク』になるのだろう。そこを越えれば、時間経過と共に高齢者人口率は下がり、家族・施設・財政の負担も減るかもしれない。

高齢化率が30%に迫る現代日本において、老後の生活保証や介護・ケアのすべてを家族や社会保障、財政出動に依拠することは困難になりそうだが、『老後の人生設計・高齢者参加の介護の互助制度』の見直しで、資産のない高齢者でも元気なうちに何か役割をこなすことで居場所作りできる形の制度に可能性があるかとも思う。

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