安倍首相が2020年に改憲の目標を掲げる:現行憲法の三大原則特に人権規定は守るべきと考える

日本国憲法の三大原則『国民主権・基本的人権の尊重・平和主義』は人類の理性や啓蒙精神にとって普遍的価値を持つが、戦争の記憶が薄れて他の不満が増えた現代では再び国家中心の統制論が勢いを得る。

改憲の国民投票に現実味 先行の住民投票で浮かぶ課題

現行憲法は平和主義の戦争放棄の理想を掲げながらも、自然権の一部である個別的自衛権の行使は可能であり、現実には日米同盟を基軸とした集団的自衛権も機能している。国家の存立危機や国民の生存危機にあっては脅威度に応じた武力抵抗ができる以上、個人の尊厳原理に立脚した三大原則を覆すレベルの改憲の必要性は薄い。

自民党の改憲の問題は、北朝鮮問題・中国脅威論を例にした『国防力強化の理由』を掲げながら、外敵に対応するため『個人の基本的人権の制約』を盛り込もうとする事にある。外敵の脅威と国内の統制(人権制約・国民動員)をバーターにする憲法・内政は、外敵がいるから国防委員長に強い権力を与える独裁の図式とも似る。

人類の国家と人民支配の歴史を振り返れば、『外敵から殺される・滅ぼされるリスク』と同等以上に『国家(君主的な主権者)や政府(権力者・富裕者)から日常的に支配・監視・弾圧・使役されるリスク』もあったわけで、日本国憲法は後者の日常的な国家や政権からの直接支配のリスクをヘッジしている。

『国民主権・基本的人権の尊重・平和主義』という日本国憲法の三大原則は、どの国でも一般庶民なら自分が国家・権力者から直接に支配・命令・搾取されないための『立憲主義の防波堤』になるが、現代日本のような安定した平和な国(戦後長く政府・軍による内での強制を免れた国)ではその価値は実際より低く見られやすい。

近代国家は『殺す権力(戦争国家の殺権力)』と『生かす権力(福祉国家の生権力)』の両面を持ち、それぞれ長短はあるが先進国では自衛戦争以外の戦争をやるべき、国民が国家の軍事目標のために命も自由も財産も投げ出して従うべきとする世論はない。北朝鮮問題は特殊だが専守防衛・対話(条件交渉)・国際的外交が問われる。

スポンサーリンク




楽天AD