“お金・地位・名声”を得ているのに一人の相手に本心から落ち着かない男は、『女遊び（不特定の魅力的な相手との刹那的な快楽主義）』に逸脱しがちな傾向はある。10～20代の若い時期以上に、女性関係を諦めない30～40代の力のある男性の異性への興味は衝動的・粘着質になりがちで、実際に据え膳のようなチャンスが来れば衝動の押さえが効かないことが多く、『社会的・職業的・家庭的な信用失墜』の罠に落ちやすくもなる。
『今の自分の年齢・立場』で、この状況でその相手に手を出して関係を持ってしまえば『後で相当に面倒な事態になる（今まで築いてきた仕事のキャリアや社会的信用を失う）』か『法的な責任追及の恐れ（青少年健全育成条例などにひっかかって性犯罪者として指弾される）』があることが分かっているのに、俳優の小出恵介氏のように『目の前にいる押せば落ちるであろう若い女性との快楽』を制御できないケースは少なからずあるだろう。
昔は10～20代の若い頃のほうが性欲が強い（40代以降は自然に性も枯れていく）というのが半ば常識だったが、若い頃の性欲は純粋な恋愛感情とセットになりがちであり、単純な欲求発散の生理的な勢いはあるが、性欲の中身が生理的であるだけに複雑な観念を伴っておらずあっさりしているという見方もできる。
酸いも甘いも噛み分けて何人もの女と関係を持ってきてまだ足りずに新たな刺激を求める中年男のように、女性の肉体そのものに対して未練がましい変態的なフェチシズムや精神的な癒しの救済願望が若者にはそれほどない。
若者と中年以降の性欲の強度を単純比較することには意味がない理由であり、中高年になれば性欲が枯れていくというのは厳密には殆どの人には表面的な抑圧以上の部分は当てはまらない。若者同士の男女の性的関係よりも年の差のある中年男性と若い女性の性的関係にどこか不健全でいやらしいものを感じるのも、中年以降のその場の刹那的関係というのは、ゴールのない未練がましいフェチシズムや精神的な癒しの救済願望に傾きやすいからだろう。
中高年になると単純な生理的感度が低下するので『異性に対する快感取得』のための観念・感情・嗜好が複雑になりすぎて（純粋な恋愛感情から逸脱して執拗に貪る感じが出て）しまうため、一般に中高年者の若者に向けられる性欲は気持ちの悪い不適切なものとして認識されることがどうしても多くなるだろう。違法行為でなくても、極端に年齢差のある男女のカップル（生物学的魅力・生殖適応度の格差が大きすぎる）に嫌悪感を抱くような人も少なからずいたりする。
30代以上の男の未成年相手の『淫行条例違反』というのは、犯罪の被害そのものよりも倫理的・生理的に受け容れられない犯罪（未熟・無知な未成年者を煩悩の深い中年者が快楽取得の道具として執拗に利用する犯罪）として認識されるために、イメージが非常に悪くて感覚的な不潔感のようなものを感じられてしまいやすい。芸能人のような人気商売にとっては致命傷に近くなる。
また健康寿命が延びて50～60代以降でも身体的・性的な能力や欲望を維持している男が増えており、40代以降になればそんなに若い女性への性的関心がなくなるはずという思い込みは、現代ではまず通用しないと考えたほうが良いのである。
小出恵介氏の淫行問題と同時期に、40代の地方巡業の演歌歌手・宇都宮晃氏の買春問題も頻繁に報じられていたが、顔・名前が世間に売れていて不適切な男女関係によって今までのキャリアを失うリスクがある芸能人の場合は、特に相手の年齢・素性が良くわからない非常に若く見える女性との『ワンナイトラブ』はハイリスクだと考えていた方が良い。
相手が18歳以下で高校生であることが暴露されれば、それだけで淫行条例違反の性犯罪者に転落して、今まで築き上げたもののほとんどを失うリスクがあるからであり、その場での見た目や話し方などが20代に見えた相手であっても『事後の言い訳』などはまず通用しないからである。
顔と名前が広く知られている人ほど、いくらイケメンで人気のある芸能人であっても、『フリーランチのようなワンナイトラブ（無邪気なファンみたいな女の子が近寄ってきて、その場だけの関係で一切の後腐れがない）』はまずないと考えていたほうがいい。
顔と名前が知られていて事務所に所属している以上、相手からツーショットの写真を撮影されたり、不適切な関係につながる動画・音声を記録されていたりすれば、『常に見られている有名人』は匿名のどこの馬の骨か知れない一般人とは違って簡単に逃げて無かったことにすることなどできない。
現代の男女関係や性交渉は過去に比べて『適切か不適切かの線引きのルール』が明確化されてきており、いくらイケメン・美人・お金持ちで相手が棚ぼたな感じで近づいてきたとしても、名前・顔が売れていて社会的信用が重要な仕事をしている人ほど『フリーランチ的なワンナイトラブ』は、甘い誘惑ではあるが本質的に非常に危険なのである。
その場で少し押して誘えば目の前にいる魅力的な女性と関係を持つことが可能であっても、相手の年齢・素性・本音がわかるほどの付き合いの履歴ができるまでは、慎重な判断をしてできるだけ焦って飛びつくことは避けたほうが無難なのである。
“言うは易し、行うは難し”で大半の30～40代男性は、決まった相手以外にはそういったチャンスが棚ぼたのように降ってくることがまずないから、倫理的立場から誘惑に負けた男を自分のことを心配せずに叩くことができるが、実際、目の前に魅力的な若い異性がいて自分にかなり積極的な好意を向けてきているような状況下で、敢えてその相手を拒絶したり関係を持つ時期を慎重に先延ばしできるかは『当事者の心境』になってみないと分からない部分はある。
しかし冒頭の命題に再びループしてしまうわけで、“お金・地位・名声・魅力”を得た男はどうしてもそれらを活用して“不特定の魅力的な好みの異性”と遊びたい下衆な欲望が強まりやすくなったりもする、お金・地位・名声があっても魅力的な異性とのふれあいや性的刺激がなければそれらを得た意味がないと感じてしまう男もいて煩悩は更に強い煩悩の引き金にもなるので、英雄色を好む（力を持つ自分が快楽を得ることの自己正当化）という流れもあって誘惑に屈する堕落のパターンはやはり多くなる。
小出恵介氏も人気のある俳優だったが、それ故に『自分の積み重ねてきた人気・魅力・成功・経済力に見合うだけの女性関係の快楽』に対して強欲になり過ぎたがための失敗とも言える。
現代社会では真面目に特定のパートナーとの恋愛・結婚のロマンティックラブや一夫一婦制の社会道徳規範を誠実に遵守することができないのであれば、『適切か不適切かの線引きのルール（既婚者・未成年・買春・合意が曖昧・口が軽い人はNG）』だけは踏み外さないようにしないと、昭和期のCMにあった『私はこれ（小指・女）で失敗しました』の典型例に落ちて情けない思いをすることになる。
小出恵介氏が自分の芸能人としての人気や知名度に物を言わせて、17歳の女性とその場のノリだけで遊ぼうとした下衆であるという落ち度は覆せないが、小出氏はなまじ自分の男としての魅力や芸能人としての成功を過信していたために、自分に惚れている17歳女性とフリーなワンナイトラブを後腐れなく楽しめると思い込んだのが甘かった。
現代日本の33歳の人生や仕事、異性関係が上手くいっている未婚の男性（結婚していてもお金・健康・影響力があってハイテンションで浮かれて落ち着かない30代男）というのは、まだまだ自分もイケているはずという現役気分を捨てきれず、若くはないという中年期の自己アイデンティティも持ちづらい年代ではある。
小出氏は事後に17歳女性と関係者から500万円の示談金の請求をされたともいうが、200万円まで交渉で減額した金額を支払わなかったために週刊誌に暴露されたという報道もある、まさに無料のフリーランチなどではなく500万円の高級ランチを皿ごとくわえ込んでしまったようだ。
18歳以上の高校生でない女性であれば法律的にOKで、同じ18歳でも高校生であればなぜ違法なのかという意見もあるし、18歳の高校生と20歳の大学生でどこがそんなに違うのかという意見もあるかもしれない。
だが、『法律的な児童生徒と性交渉してはならない、18歳以下の未成年者は性的な自己決定ができる能力や経験がない（いかに合意があっても無効であり成人側が騙して搾取したと見なされる）』というのは現代の先進国に概ね共通のルールであり、『18歳以下の学生＝性的主体としての能力・経験が不十分であり、大人は性非行を保護・制止すべき立場にあり、合意の有無を問わず性的対象にしてはならない』という定義になっているのである。
資本主義体制では、性は恋愛や結婚などの持続的な関係性（継続的な責任・負担の分有）と分かちがたく結びついており、基本的に経済や家庭の秩序のある拡大再生産に貢献しない『フリーな性』というのは極めて限定的であり、（恋愛感情に熱狂する若い男女でもない）特に中高年世代の男にとってはほとんどないのである。経済的にフリーなように見える関係であっても、感情的にフリーでないものが多く、小出氏などの芸能人は特に『いいように遊ばれて感情的に許せない』という風に相手から思われればどんな意趣返しやマスコミへの暴露が待っているかは予測できないものがある。
直接に金銭の授受のある売買春ではなくても、性行為には何らかの約束・責任・負担が伴いやすいし、その方が結果として『不適切ではない性関係（恋愛・結婚のカテゴリー）』になりやすい。
男性には確かに、魅力的な好みの異性を多く惹きつけるために、『お金・地位・権力（影響力）』を必死に積み重ねる原初的な行動傾向も持つタイプの人もいるが（中途で巨額のお金を持って急に人が変わって家庭を顧みなくなるような人も少なからずいる）、人気芸能人や若手経営者といった現代の成功者から『（恋愛・結婚のカテゴリーではなくて）魅力的な女性と遊ぶ時にはどうすれば良いのか？』という馬鹿げた質問が来たら、フリーランチをがっついて食べるような判断能力停止に陥るなとしか言いようがないが、性的な煩悩の拡張をほどほどにして一人に決めて諦めるのがもっとも安全な道筋だろう。
『強欲・貪欲』を募らせた挙句の末路は往々にして悲惨なものであり、何もかもを思い通りに手に入れて貪りたいと思う煩悩（色々な異なるタイプの女性への知覚・感覚の差異を味わう欲求というのは基本的には終わりがない）を消せない時点で、身近な人を大切にできずに最後は自分が見捨てられるか、現在の職務を軽視して地位や収入を失ってしまうという意味において『破滅に半分足を突っ込んだ危うい状態』だと自覚したほうが良い。