石郷岡病院事件と精神疾患患者の治療方針・入院治療の処遇:原精神疾患の重症度や暴力性にもよるが多剤処方の副作用は恐ろしい

30代精神病患者が職員の暴行で頚椎損傷して死亡した石郷岡病院事件はニュースで知っていたが、当事者のブログを目にする機会があったので考えたことをメモしておく。具体的内容を見ると精神病院の誤診・多剤処方の犠牲者である可能性を疑いたくなるような状況や処置が多い。入院5か月で17種類も処方されているが、精神病か否かさえはっきりせず(初期の診断名と異なってくるなど)診断にも曖昧さが残っている。

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この被害者の運命の岐路は、大学生時に『気分が落ち込む』というだけで、中堅規模の薬物療法中心の病院を受診したことだった。明確な精神疾患の鑑定診断や危機的な精神状態にあるわけでもないのに、抗精神病薬(メジャートランキライザー)を処方されて、筋肉が不随意に動くジストニアの副作用がでて短期で薬漬けになった。

睡眠導入剤や抗不安薬(精神安定剤)までは、不可逆的な脳神経系の機能障害にまでは至らないが、統合失調症治療薬とされる抗精神病薬は一般に副作用が強く、多剤処方・長期連用によって本当の精神病患者であっても薬の副作用と元の症状の区別は困難になる。自傷他害でよほど追い詰められていない限り安易に服用すべきでない。

気分が落ち込むという主訴で初めは病院に行き、大学をやめて暴力事件を起こしてから、重症の統合失調症扱いにされているが、本人のコミュニケーション能力そのものが著しく低下していて医師とまともなやり取りができなかった、家で激しく暴れていて家族が面倒を見きれないような状態だったなどの理由があるのかもしれない。

しかし、多剤処方の副作用が次々にでて、ジストニアやアカシジア、ジスキネジアのような重症の慢性的な副作用(基本的に完全には治らない)がでると、元は正常な精神状態や知的能力があった人でも、端的に『異常な精神・まともな知能がない・話が成立しない』などの状態に落ち込んでますます薬を投与されてどうにもならない。

30代で自分の排泄もコントロールできなくなりおむつ介助が必要になり、言語的な理解・発話もできなくなるというのは、相当に重症かつ異常な状態だが、ピック病などの脳萎縮を伴う器質障害でもない限りはそこまで悪化するとは考えにくい。重症統合失調症の予後不良の人格破綻に近いが、多剤処方の神経損傷もあるだろう。

全身が痙攣するとか、筋肉が不随意的に硬直するとか、脳機能が異常なほど低下して自我を維持できないとか感じた時に、抗精神病薬の投与をやめていればというのは後付け論にはなるが、脳神経に作用する向精神薬はやはり怖い部分がどうしてもある。しかし電気ショック療法に長時間の身体拘束など、本当に危険な措置の連続で治療方針や治療法の選択などに違和感・不信感は感じざるを得ないとは思う。

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