北朝鮮のICBM(大陸間弾道弾)を用いた対米の瀬戸際外交、 グアムへの威嚇と北朝鮮の要求の曖昧さ

○核弾頭を搭載したICBMは北朝鮮のような人民抑圧の貧困国が『体制維持』を図る手段だが、『国体(体制)』を第一義として国民や経済を切り捨てでも核兵器で抵抗する覚悟を示すので、交渉が通じづらい。

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アメリカが今すぐに北朝鮮の金正恩体制を転覆する意思を示しているわけではないが、北朝鮮の上層部には米国や国際社会、北朝鮮人民に対する『独裁で人民を洗脳・抑圧している負い目(責められたり反逆されかねない要因)』に心当たりがあるのだろうか。米国が何もしてなくても一人で怒りミサイル発射や宣戦布告で威嚇する。

北朝鮮が何を要求しているのか分からないので、決定的な交渉による軍事的緊張の緩和ができないというのは政府・外交筋から漏れる不満であるが、北朝鮮自身も米国や日本に対して何を要求したいのか分からなくなっている恐れがある。北朝鮮人民や国際社会に対して胸を張れない体制をずっと維持していきたいが中心にある。

北朝鮮が国体護持に固執するのは『一億玉砕』を掲げた旧大日本帝国とも似るが、天皇と金正恩では『権力の直接性・歴史的権威』が大きく違うので、旧日本は国体が壊れても天皇は処刑されなかったが(国民支持も大きく失われなかった)、金正恩や労働党・軍の最高幹部は殺される恐れが強い。それも体制へのこだわりになる。

北朝鮮は侵略戦争はしてないが、恫喝外交・核開発によって『国体が引き起こす独裁支配・人権侵害・情勢緊張を今後も見逃してくれ(国内の体制や支配にどんな問題があろうと外部が口を出すな=国家主権は絶対)』という暗黙の要求をしている向きもある。口約束で体制保証しても、自分がならず者だけに信じられず核に頼る。

○その気になれば米国領グアムを攻撃可能とする北朝鮮の瀬戸際外交だが、『不測の事態の懸念』と『北朝鮮の要求の曖昧』で外交も軍事も決定的な妥協点を見つけられず、無意味な緊張だけが煽られる。

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PAC3のミサイル迎撃態勢や日米共同のミサイル防衛システムの構築だけでは、北朝鮮のミサイル実験・核開発を止めることはできないが、『核弾頭搭載のミサイルを空中迎撃しても核爆発は起こらない』とする菅官房長官の発言が事実ならば迎撃の余波の脅威は幾分か和らぐ。外交の為の条件整備が全く進展しない問題は大きい。

北朝鮮の要求の曖昧さには『問題山積の金正恩体制及び最高権力の世襲』をずっと続けていきたいという願望があるからで、そういった無理筋の体制保証のために具体的に何を求めればいいのかは定かではない。人道的・倫理的に間違った国体を永続したい願望は困ったものだが、無干渉で放っておいても一方的に暴れる事はある……。

北朝鮮の難しさは、外国を侵略したいのではなく、自国を勝手に支配できる体制を維持したいことにあり、朝鮮戦争が停戦、米ソ冷戦構造が終わっても『時代錯誤な独裁国家』が東アジアにぽつんと残された。産業が弱いため、中国のような経済成長による変化もなく、金日成体制を傀儡で作った世界革命路線のソ連は消滅して久しい。

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