日本精神とは何なのか?、天皇の戦争責任問題、日本の修士号・博士号の取得者減少について

日本の精神は「和(争い回避)+儒教道徳(上下と礼節)+ムラの共同体主義(庶民の血縁・義理・互助)+背景の天皇制」によって歴史的に規定された。現代では「同調圧力」と受け取られやすい。

義理と人情、敬意…あなたが思う「日本の精神」ってなんですか? http://mixi.at/adfjCdV

日本の精神は、少なくとも「観念的・抽象的・個人的な精神や思索」からは遠く、世俗・社会・ムラの現実から遊離した思想・観念が一般に広まった時代というものはない。自らが所属する身分や共同体・縁との距離感・関係性によって「自分の分・役割・扱い」を他律的に決められて受け取る精神性である。

日本で人権意識が低いと言われやすいのも、「他律的な個人の自由意思を弱化させる日本精神」の帰結である。日本精神は歴史的・現実的に見ても「個人単位の尊厳・自由・権利」への関心や配慮はない。「村落・階層・国家の内部における序列や役割の享受」を前提に、自分を捨てて尽くす無私の美学や無常の諦観もある。

○昭和20年8月以前には、「戦争は悪・国民の生命を優先」の価値観自体がなく、昭和天皇も「爾臣民の君主意識+国体護持の帝王学」で教育されてきた。敗戦がなければ反戦・平和が善との判断軸が無かった。

昭和天皇「細く長く生きても…」 元侍従の日記に発言 http://mixi.at/adhvTND
極論すれば、戦前日本では国民は「労働力・兵隊要員・人口再生産の単位」であり、個人としての国民の生命や自由そのものに価値があるという考え方自体がなく、むしろ「国家・天皇・政府・企業・共同体」のために生命を投げ出してでも貢献することが正しい生き方とする儒教的なコンセンサスがあり、現代とは話が噛み合わない。

平成の今上天皇になると変わるが、昭和天皇は帝王学の影響が強く、本当の意味では民主主義や人権思想に賛成していたわけではない可能性も高い。立憲君主という存在自体が、自由・平等・人権の近代啓蒙思想に矛盾する旧制的・例外的な存在でもある。立憲君主と国体優先が結合すれば、自発的な自己犠牲と献身こそ道徳になる。

敗戦がなければ反戦・平和が善との判断軸が無かったというのは、むしろ「自分や近しい人の生命が一番大切との価値観」のほうが臆病者・利己主義の非国民とされた大衆世論のファナティックな同調圧力を示唆している。軍部が強い国家では、軍隊の戦争のほうが政治の利害調整よりも正義だとする世論が暴走しやすい。

○http://news.livedoor.com/article/detail/15188095/ 1989年の「女子高生コンクリ詰め殺人事件」で犯行場所を提供していた男が殺人未遂で逮捕された。非怨恨型・虐待型の殺傷事件で反省や更生はやはり難しい。本質の人間性や共感的良心を再構築する事は可能なのか

戦後犯罪史の中でも、最も残酷で猟奇的とされる「女子高生コンクリ詰め殺人事件」だが、この事件の主犯格である元少年には再犯者が多く、少年法の矯正教育の趣旨に疑問を呈した事件でもある。ある閾値を超えた残酷性・猟奇性・利己性が突出した犯罪者が、本当に人の痛みを知る人間として更生できるかを懐疑させる再犯が続く。

常識的に考えれば、なぜこんなことをしなければならなかったのか、大勢の加害者の誰も制止しなかったのかという部分から理解困難な事件で、通常の行動基準や欲望充足のあり方から余りに逸脱し過ぎている。良心や共感の素地があれば初めからできないという正論はその通りなのだが、集団心理・環境・人格歪曲の怖さでもある。

○http://news.livedoor.com/article/detail/15181398/  AI進歩で5年後、高学歴の大量失業時代が到来か 学歴と知識だけを基盤とした専門職種は中期的に雇用・存在意義の喪失のリスクはある。逆に現場労働・物理的作業と人間にしかない感性・魅力の需要が高まるかも。

これからの仕事は「ホワイトカラー」と「ブルーカラー」ではなく、「クリエーター」と「サーバー」という分類になるというのは興味深い指摘だ。クリエーターとは「プログラムコードを書く人」、サーバーとは「規則に基づいて決められた仕事をこなす人」とあるがAI進歩の過渡期が多くの人にとって受難の時期になりそう(汗

○日本の修士号・博士号の取得者減少のニュース。日本は「大卒・新卒の優遇社会」ではあるが「大学院修了・学位の優遇社会」では無いから当然の結果で、東大でエリート官僚になる権威的キャリアも「3年次合格・中退からの入省」で大学・大学院での学問や学位自体は、特別な専門職以外で実利が薄くなっている

欧米と比べて学位・教養を重視しない(一部の専門家を除いて博士号での優遇は乏しい)という意味で、日本は学歴社会ではないが、大卒・新卒でないと大手に就職しづらい(生涯賃金で損をしやすい)という意味では、日本は学歴社会であるという捻れた構造を持っている。日本は文系学部のPh.D取得は欧米と比べ極端に少ない。

毎日新聞のニュースで「日本の取得者は自然科学に偏るが、他国では特に修士で人文・社会科学の取得者が多く、全体の取得者数に影響…」「日本の博士号取得者は06年度をピークに減少…取得後も多くが雇用が不安定な任期付き研究員にならざるを得ず敬遠…」とあり、端的にコストをかけて取得しても報酬や高待遇が少ない。

米国ではGoogleやマイクロソフト、フェイスブックなどのIT巨大企業が多く、バイオテクノロジーや製薬も盛んなので、理系の博士号取得者を優先的かつ高待遇で大量に採用する雇用基盤がある。欧米で人文学博士号が仕事・収入の面で特別に優遇されるとも考えにくいが、学位を求める職業領域が広いのかもしれない。

楽天AD