海音寺潮五郎の人を斬らない「剣客論」、「ビットコインゾンビ論」、「若さ・美しさ」の呪縛にはまる現代人 など

○海音寺潮五郎が「剣客論」で、宮本武蔵が高弟の青木又右衛門が他流試合を受けようとした時、格下の相手でも勝負を受けてはならず、世評で相手を自発的に屈せさせることを上策としたエピソードを紹介していた。江戸から幕末にかけて一流の剣客として名前を残せた者の多くは勝てる勝負だけをして、多くは名声で屈伏させたという。

孫子の敵を知り、己を知れば、百戦危うからずではないが、江戸初期や幕末期に実力で一流の剣客なのに無名で終わった者は、「常に強い相手との真剣勝負をして死んだ者」「奥義を極めようとして心身を限界まで鍛練して自滅した者」であった。また実際に剣術が優れていて名前がある剣客の多くは、人を斬った経験がなかった。

関ヶ原の前後、自流を大きくした兵法者は、実力もあったが、プロパガンダの宣伝家や自己顕示のテクニックに優れた人物でもあった。一定以上の大勢力となり、流派の奥義や過去の果たし合いの超人的エピソードを世の中に広めることで、並みの剣客や兵法家は自発的に屈伏することが多かったのである。

元禄時代に日本一の剣客とされたのは、堀部安兵衛の師の堀内源太左衛門であるが、この人も実際に人を斬ったことはなく、果たし合いもない。幕末の三大剣客の斎藤弥九郎、千葉周作、桃井春蔵も斬った経験はなく、真剣も使わなかった。西郷隆盛は言わずもがな、大久保利通や木戸孝允、高杉晋作らも一度も斬っていない。

○男女交際・結婚で経済的に一円も損したくない、貯金や資産を毎月一円でも増やして積み上げる人生設計をしたいなら、お金を貸してという男とは別れるしかない。

「お金貸して」という彼氏、どう思う?だらしがないと思いつつ「それでも結婚する」女性は●割! (Suits-woman.jp – 04月05日 08:00)

その経済・金銭・職業の価値観は絶対ではないが、安定を望む過半の女性にとって優先度の高い価値観になりやすい。学生を除けば、勤勉にサラリーマンで働き続けて無駄遣いしない人なら、貯金はあってもお金を借りなければどうしようもない状況に陥ることはまずないは言える。無論、将来どうなるかは分からない要素も多いが。

少額のすぐ返せる金額で、実際に滞りなく返すなら問題はないが、キャッシュレス化で「現金の持ち合わせがないから貸して欲しい」という状況もなくなっている。まあ、異性や話し相手・遊び相手として好きで、自分が稼げるか十分なお金があって、それほど無理な金額を貸してといわないなら、許容範囲という人もいるだろう。

○俗に「ビットコインゾンビ論」と言われる考え方がある。2018年にビットコインは約90回の死亡宣告を受け、価値がゼロになるとの意見も多かった。だが、2017年のビットコイン報道も約125回にわたってビットコインは死んだと報じ、2016年以前は暴落の度に死亡と無価値のニュースが数千件以上も繰り返された。

現実のチャートは2016年以前はどん底まで暴落する動きを何度も繰り返したが、その何倍もの価格で復活し、2017年後半はビットコインバブルで220万円という最高値をマークした。黎明期のAmazonの株価チャートとの類似性を指摘する声もあるが、ビットコインは数十回は暴落から立ち直ったゾンビ的特徴を持つ。

ビットコイン急騰で検索回数が3倍になった。ビットコイン検索の多かった国は、ナイジェリア、オランダ、南アフリカ、オーストリア、スイス、米国というが、金融立国のスイスやオーストリアでも注目されているのは興味深い。今後10年でVISAやMasterCardに迫る強気なコメントもあるが、技術的課題が多い。

ビットコインのウォレット数は2500万、VISAとMasterCardのカード発行枚数は53億枚だが、ビットコインの歴史はまだ10年しかない。最大の問題は、ビットコインのブロックチェーンの1秒あたりの取引数は7で、VISAは6万5000ということであり、ライトニングネットワークの高速な実用化が必要。

○それでも現代の女性は、生活と子育てに徹底して追われて栄養状態も悪く美容関連アイテムもなかった半世紀前と比較すれば10歳近く若返っている。加齢や老化には完全には抗えないが、男も女も昔より現役期間を延長したがる向きが強まった。
年齢じゃない!「オバサンになる人とならない人」の違い http://mixi.at/a6xsx60(04月05日)

おじさんやおばさんというのは、異性・若い美の客体としての現役を退く不可避なプロセスで、「おじさん・おばさん」と呼ばれることを嫌がる人も多い。いずれにせよ、中年以上では、若い人たちと対等なフィールドで若さ・美・恋愛・魅力を競うことはできず、年齢相応の生き方や居場所、価値観を見つけるしかない。

なぜ現代では、若さに価値が求められやすく、加齢や老化が嫌がられるのかの理由は「科学技術の進歩+情報知識の洪水」によって「人生経験の豊かさや成熟した生き方」などが昔より格段に評価してもらえなくなり、本質的に敬老精神が瓦解しかかっているからだろう。年を取るほど深まる価値や楽しみが分かりづらくなっている。

もう一つは、大家族制度や儒教的な老人尊敬の道徳が崩壊して、若い世代ほど結婚や出産が遅かったり、そもそも家族や子孫を持たない人が増えたことも、若さ至上主義を煽りやすい。親や祖父母の立場になれば、現役から退きやすいが、その節目がないと個人として老化・衰退して魅力も落ちる暗いイメージになりがちもある。

森高千里や相田翔子といった美魔女でよく引き合いになる人も、40代後半の年齢を無効にできる超人ではない。吉田羊や常盤貴子、鈴木杏樹なども各種美容整形もあるにせよ、一般では考えにくい程度に若さを維持してはいるが。昨日、テレビで内田有紀を見かけて、やけに若いなと感じ検索したら、自分より2歳年上で驚いた…

○平均所得前後の人では高額になる種類の不妊治療は難しいが、現代は結婚も出産もしたい人としたくない人(どちらでもいい人)の温度差が相当に大きくなった。

「体外受精」は1回50万円以上 不妊治療費が高額化 (毎日新聞 – 04月03日 19:07)

結婚も絶対にしたい人は、相手のステータスを厳選した高額な会費の結婚相談所的な婚活サイトまで利用する。不妊治療も絶対に子供がほしければ、数百万円以上の不動産が買えるほどの不妊治療費を投入する人もいる。結婚や子供の根底にあるのは、子孫繁栄や孤独回避・安定的承認の関係なのでそれが一番欲しい人も多いのだろう。

法律的な裏付けや経済的な助け合いがあって、長期間つれそうパートナーが欲しい結婚に関係する欲望、自分の血・遺伝子を引き継ぐ子孫が欲しい妊娠出産に関する欲望。この2つの欲望は現代の少子高齢化社会で停滞しているが、今も本当に大きな時間や労力、お金は結婚・子育てにかける事は多い。人の生物学的経済行動である。

先進国を中心に、人間が自己愛・理想化の欲望の肥大やテクノロジーの進歩、経済格差(意欲格差)によって、恋愛・結婚・子育てといった動物的欲望から遊離する人も増えている。この現代ならではの必死に子孫繁栄を目指さない傾向性は、優生学的な半意志的な自然選択の実験にも見えるが、環境と技術、情報が意識に影響する。

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