「心理」カテゴリーアーカイブ

結婚は“オワコン”なのか?3:特定の異性と生涯連れ添う契約としての婚姻とその心理

欧米ではその伝統的な家庭生活の前提(男性への長期的な経済的貢献の期待とそのための我慢・忍耐)が崩れたがために、『結婚のオワコン化・相互に縛らない男女関係・シングルマザー(シングルファザー)の社会保障の充実』が進んでいると見ることができる。

『事実婚(同棲・民事契約)なら良くても、法律婚をするのは嫌だという心理』は突き詰めると、血縁のある子供であれば生涯の付き合いを続けていく(縁をずっと切らずに困った時には助けて上げたい)という覚悟があるが、パートナーの人生全体にまでは相互に責任を負いたくない(今は好きでも死ぬまでの好意や貢献を持ち続ける自信がない)という気持ちの反映なのだろう。

日本でも既婚者全体に占める離婚経験率は30%を超える高さになっているが、特に女性は『子どもとの縁の強さ』と比べれば『男性との縁の強さ』は相当に弱い傾向があり、『配偶者と生涯連れそうという婚姻制度の前提』は既にその屋台骨がかなり揺らいでいる状況にある。昔であれば、何らかの理由や原因、変化で口を聞きたくない(顔も見たくない)ほどに嫌いになった配偶者とでも、離婚はせずに家庭内別居や相互不干渉(冷戦)のままで人生を終えていたが、近年ではそこまで我慢せずに熟年離婚を決断してしまう人の比率が増えている。

結婚はオワコンかという問いについて、日本ではまだ子どもを育てるという男女共通の目標と非嫡出子の不利益・偏見があるために、子どもが欲しいというカップルでそれなりの雇用・所得があれば結婚するだろう。

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結婚は“オワコン”なのか?2:なぜ欧米では婚姻率が減ってシングルマザーが増えたのか。

男性が『終身的な家計の大黒柱(家庭・子供の過半の経済的負担を担う柱)』としての働きを期待される比率は、家庭・育児・教育の社会保障制度の不十分な日本では欧米よりも圧倒的に高いので、男性雇用が崩壊すると婚姻率は必然に下がる。既に新卒者では、女性のほうが男性よりも就職内定率が高くなっており、平均所得も20代半ばくらいまでは女性が上回るようになってきている。

欧米で婚姻率が低下したにも関わらず、男女の事実婚や女性の非嫡出子の出生数がそれなりに多いのは、日本以上に男女の雇用格差が縮まっていることや社会保障の生活や育児、教育の支援があるために、『長期間にわたる男性の扶養能力・家族への責任の履行』に頼ることを初めから諦めているというか期待していないという要素もあるだろう。

特に北欧・西欧の先進国では別れてシングルマザーになっても、社会保障の育児・教育・生活の支援によって一人で子供をそれほど無理せずに育てやすく、社会的な偏見も殆ど無くなってきている。良くも悪くも女性・子供にとっての『男性パートナーの経済的な必要度・人間的な魅力・家族への貢献度』がなくなれば切り捨てやすい社会に移行しているわけだが、同じような事態(失業・怠惰・貧困化・ローン返済の滞納などによる離婚)は近年の日本の家庭でも少なからず起こってはいる。

リンクした前回の記事でも、『欧米では男性は種だけを与えれば後は要らないような存在になっているのではないか・事実婚(離れやすさ)とシングルマザーの手厚い支援は母子密着の家庭から男性の居場所を奪いやすくする』といった意見が書き込まれているが、婚姻率が下がれば確かに男性が家庭・子供に果たすべき責任や貢献の重圧は弱まる。

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結婚は“オワコン”なのか?1:若年層の雇用問題と婚姻率の相関

『女性手帳』を配布するという少子化対策の検討について様々な意見が出ていたが、日本政府は出生数が減る少子化を政治的・社会的問題と捉え、その原因を『晩婚化・未婚化・若者の平均所得低下(雇用の不安定化や雇用からの脱落)・待機児童の多さ(保育所の少なさ)』などに求めているようだ。

20~30代の未婚率の上昇を受けて、結婚する若者(出産適齢期の女性の婚姻)の減少が少子化の一因であり、結婚する若者を支援して増やすことで少子化が多少なりとも改善するという前提に立っている。

結婚しない若い人にも、結婚をしたくて今の時点で相手もいるのに、経済的不安の理由によって結婚できない人はいる。そういった人を経済的に支援することには、婚姻数を引き上げる効果があるのだが、『結婚したいが相手を見つけられない人』や『相手がいるか見つけることはできるが結婚はしたくない人』に対しては、経済的支援のみによって結婚数を増やすことは期待できないだろう。

結婚は欧米社会では『終わったコンテンツ(=オワコン)』であり、今後かつてのような『皆婚』が当たり前の社会は戻ってこないという記事があったが、欧米では確かに『事実婚・民事連帯契約(仏のPACSに代表される婚姻より制約の少ない制度)・シングルマザー(シングルファザー)の増加』によって法的な婚姻制度を利用する若者の比率は劇的に減っている。

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かかってきた電話にわざとでないのは、“不確実性のリスク(自分にメリットのない面倒な話)”を避けたい心理の現れ。

固定電話かケータイかによっても変わると思うが、若い人には自宅に固定電話の回線を引いていないという人もいるように、『固定電話の応答率』というのは高齢者を除いてはかなり下がってきているのではないかと思う。

出ない電話の60%以上はわざと? 大事な用なら留守電入れろの声
http://news.livedoor.com/article/detail/7677587/

高齢者の場合には『個人用の携帯電話番号』をそもそも持っていないという人も結構いるが、『誰かと話したいという人寂しさ(もしかしたら子ども・孫からかかってくるかもしれないという期待)+時間的な余裕』があるために、かかってきた電話には必ず応答するという人の比率が高い。

家にかかってきた電話に出ないことは相手に失礼に当たるとか、居留守を使っているようで気が咎めるとかいった価値観を持っている高齢者(中高年世代)も少なくなく、他の家族が営業からの電話だと分かっているのでわざと出ないような電話にも敢えて出て(出ないようにと事前に言っていても出て)、無益なテレアポの長話に付き合ったりもする。

ケータイが無かった頃の電話は『家・世帯』につながるものであり、ピンポイントで個人と個人をつなげる回線はなかったため、かけてみないとその家の家族の誰が出るか分からないという側面があった。そのため、友達・恋人でも電話をしづらかったり、電話がリビングなどの家族共有スペースに置かれていて長電話ができなかったりもした。

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