「社会」カテゴリーアーカイブ

シェアハウスは『合意による家賃折半』と『業者の脱法ビジネス』かで全く実態は変わる。

都心部の家賃の高さと雇用の不安定化・低所得化によって、『家族以外の他人』と一つの部屋の家賃を折半するシェアハウスが増えている。メディアでは家賃が数十万円以上する床下面積の広い高級物件を、定職のあるシングルマザーがワリカンで賃貸する『プチセレブなシェアハウスの事例』なども取り上げられていたことがあるが(仕事で長く留守にする時や子どもが病気になったりした時にはお互い様で助け合いやすいなどのメリットもあるが)、その対極にあるのが『貧困ビジネスとしてのシェアハウスの事例』だろう。

脱法ハウス:窓無し3畳半に2人 退去強要、行き先なく

同じシェアハウスでも『気の知れた友人知人(信頼できる相手)との快適なシェアハウス・自分の部屋がある同居』と『利益至上主義の業者(大家)が管轄するシェアハウス・狭小なスペースへの押し込み』では全く異なるわけで、『6畳以下の狭い部屋に2人以上を強引に詰め込む型』は、ただ寝るためだけに屋根がある場所を提供する貧困ビジネスである。

外と換気できる窓さえない狭い部屋への詰め込みは、安全上の問題があり消防法に違反している疑いもある。それ以上に、自由に動いたりのんびりくつろいだりできる専有スペースがほとんどなく、風呂・トイレも共有で遠慮しなくてはならない『精神的ストレス・作業効率や集中力の低下』の問題は大きく、基本的に一日の大部分を屋外で過ごすライフスタイルにならざるを得ないだろう。

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奨学金の滞納増加問題と日本が目指すべき『高等教育無償化』の方向性

日本学生支援機構が、2008年以降の利用者で3ヵ月以上返済を滞納している人の情報を、全国の銀行個人信用情報センターに登録してブラックリスト化するなどの『回収強化策』を検討しているという。ただそれなりの大学を卒業するだけでは、安定した長期の正規雇用(正社員・公務員での就職)が保障されない時代となり、『大卒資格=平均以上の年収があるサラリーマンの登竜門』だった時代の意識で奨学金を借りることがハイリスクになりつつあるということか。

奨学金を返済できない人間は“ブラックリスト”に載せられる

奨学金の返済に困って、生活が圧迫されたり自己破産するといった同種の問題は、有利子の貸与型奨学金(学士ローン)が多いアメリカでも起こっている。働く意志があるのに、職(仕事)に恵まれない人が『貸与型奨学金(学生ローン)』の返済の困難によって、更に働きづらくなるという悪循環は改善しなければならないだろう。

子供を大学に進学させようとする家計の平均所得が低下してきたことで、大学の学費全額を出してあげられない親世帯が増加し、『奨学金返済の問題』がクローズアップされるようになってきたが、現在では何らかの奨学金を借入れている学生が約50%に上るようになっている。

大学生の奨学金問題の背景には『日本の国家としての教育政策の欠点・予算の少なさ』と『大学教育のインフレ化・大衆化(大学進学率の50%超え)』があり、日本は国際人権a規約(13条2項b、c)に示される『高等教育無償化』以前に『高等教育の負担軽減策』も殆ど講じないまま、国公立大学の授業料上昇にも歯止めを掛けてこなかった。その結果、入試難易度や大企業就職率が高い大学・学部では、入学者の親の平均所得が高い傾向を示し、親の経済格差(親の教養・趣味など社会資本要因)が子の教育格差(教育環境)に連鎖しやすい構造問題が生まれているなどの指摘もある。

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“個人経営のタバコ屋”がここ10年で半減というニュースの感想:なぜタバコ屋は減ったのか?

たばこ店の数がここ10年で半減しているというが、『喫煙人口の減少』は『喫煙者を迷惑とする風当たりの強さ・喫煙可能な公共スペースの激減・タバコ税の増税傾向』を考えれば必然的な結果だったといえるだろう。

たばこ店」この10年で半減――NTTタウンページ調べ

NTTタウンページが、自社のデータベースに登録されている『たばこ店の件数』を調べると、2003年の2万177件から、2012年の9042件へと半数以下に急減していることが分かったという。街角のたばこ屋さんが急速に減った理由は、健康維持のために禁煙した人が増加したというのもあるだろうが、『タバコを吸っている人に対するイメージ・評価の悪化』や『WHO主導の世界的な禁煙キャンペーン=公共空間での全面禁煙の義務づけ』の影響が大きいと思う。

自宅や誰もいないような田舎・道路以外では、外でタバコを吸える場所が激減しており、駅でもバス停でも飲食店でもショッピングモール(デパート)でも会社でさえも、全面禁煙にする場所が増えた。高いお金を出してタバコを買っても、『タバコで一服できる場所や人間関係』が減っている。

かつては上司も加担することで当たり前の権利のように思われていた『随時の一服休憩』も単なるサボリ行為と見なされるようになり、一服休憩できない非喫煙者との不公正さが批判され始めた。近年では会社で喫煙すれば厳重注意を受けて始末書を書かされ、複数回の喫煙が発覚すれば懲戒解雇するというクリーンな就業規則を明示する会社さえ出てきているし、(会社で吸わないと誓約しても)喫煙者というだけで採用をしぶるタイプの会社も増えているのである。

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