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仏教用語の「般若(パンニャー)」とは何か?、京アニ放火殺人事件の実名報道問題について

○「般若(はんにゃ)」の語源はサンスクリット語プラジュニャー(パンニャー)で、「悟りにつながる真実の智慧・真理」が原義だが、なぜこの言葉が日本に伝来して「鬼女のお面」になったのかの過程が不明というのは面白い。奈良の般若坊という面打ち技師が鬼女の面作りを得意にしていたらしい以上の伝承・由来は殆どない。

般若の一般的イメージは「おどろおどろしい鬼女の顔・面」に固定されてしまった観がある。だが般若心経でもおなじみの「完全かつ最高の智慧を完成」させるという意味を持つ「般若波羅蜜(はんにゃはらみつ)」は、大乗仏教の修行方法としてはかつては他の波羅蜜(彼岸到達の方法・最高の状態)よりも重視された。

彼岸に至るあるいは悟りのための「完全かつ最高の状態」を意味するのが、「波羅蜜(パーラミター)」である。大乗仏教・菩薩行の「六波羅蜜」として知られるが、「布施・持戒・忍辱・精進・禅定」を成立させるための前提的かつ完全的な智慧が「般若(後に空)」とされた。なぜそんなものが「鬼女の顔」と連結されたのか……

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川崎市無差別殺傷事件のような加害者に狙われたら終わり、「ミソジニー(女性嫌悪)」の概念の解説、ドラマ「白い巨塔」の感想など

○秋葉原無差別殺傷に相当する川崎市の無差別殺傷事件だが、容疑者の男は51歳にもなって、自分の不幸不遇・怨恨を自己処理できず、無抵抗な小学生に八つ当たりする精神性が卑劣かつ未熟である。

川崎・登戸殺傷 児童ら18人襲われ小6女児と男性死亡 確保の男も死亡 (毎日新聞 – 05月28日 08:46) http://mixi.at/a8wKsO8

この種の事件の恐ろしさは、犯人が最終的に自殺する覚悟で、自分よりも弱い子供を確実に殺傷しようとする悪意と計画性がある場合、どうやっても防御や対抗が難しいことだろう。保護者の外務省職員の男性が亡くなっているが、保護者でなくてもその場に居合わせたら、素手で何とか制止しようとして殺害されるリスクは低くない。

現代の先進国では犯罪者・粗暴者以外に日常的に武器を携帯している人はまずいないので、本気で人殺しをするつもりの狂人が、鋭利な刃渡りのある刃物で襲いかかってくると、有効な抑止力はほぼない。手近に鉄パイプや木材など長さのある武器が偶然落ちていればいいが、刃渡りのある包丁は一撃で出血性ショックで意識喪失する。

社会憎悪・疎外感や幸せそうに見える人への怨恨を抱えた潜在的な無差別殺傷の予備軍も多くいるだろうが、「他者の殺傷+自殺」と「自己の救済」を結びつけるテロリスト的な発想は、論理矛盾で本質的に何の解決も救いももたらさない。決定的に絶望して無実な子供・弱者を殺害しようという悪意が芽生えたら自決すべきだろう。

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優生保護法に基づく強制不妊手術の背後にある現代的感覚、マスメディアの政治的公平の問題、農業支援アイドルの16歳女性の自殺など

○現代では自発的な優生思想や性選択が内在化されややすく表面化しないが、知能や責任、虐待、犯罪で「子供を持つ資格がない・親になるべきでない」の発想は根深く、出生前診断・自己客観評価も増大した。

強制不妊手術:拒否した親に「無知と盲愛」 侮蔑の言葉 (http://mixi.at/a5cZBF5)

強制不妊手術は人権侵害だが、戦前戦後の日本は貧しく幕末まで健康な赤子でも口減らしされ身売りさせ労働力にならない家族を食わせることが難しかった時代状況も合わせて考える必要はある。現代でも「働かない人への非難・否定」は根強く、人によっては人権を認めないレベルだが過去にも労働可能性が優生判断の一つだった。

人間の優生思想の淵源は、ダーウィニズム的な「自然選択・性選択」であるが、近代以降は男女が対になれば子供が産まれる生殖必然の運命を、避妊技術・知性・恋愛文化や美意識によって、より「意識的な選択性」に傾けた。優生保護法は権力の強制の人権侵害だが、現代は自発的・個人的な無意識下の優生の価値判断は強い。

○精神の落ち込みの制御でアルコールや薬物に頼る人も出てくるが、僕は自分である種のトリガーを引いてフロー(ゾーン)に入った時に襲ってくる強烈なナチュラルハイに身体機能が追いつかなくなって逆にきつい。「酒・タバコ・薬物」などの中枢神経の刺激・麻痺を用いずとも、内面から滾滾と意欲・興奮は自然に湧いてくる。

10代の頃からフローな「怒涛の勢いに乗る感覚」があり、ハイテンションとバイタリティー強化はあるが、30代後半から長時間の仕事やハイな運動・成功・異性・読書の後に身体が疲れやすくなった。昔、精神医学的な躁(manic)かと思ったが、精神運動のアップダウンがないので意図的な瞑想・運動・休養が要る。

しかし、あまりに爽快で嬉しい面白いとか、興奮してやるぞという気力が湧くとかいう状態は、相対的には幸福な状態かもしれないが、年齢相応の脳にとってかなりの負荷がかかっており、ハイに自律神経系が興奮し続けたり運動し続けると、中長期的には睡眠不足も含め中枢神経・循環器などにダメージが及ぶ可能性がある。

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牛乳石鹸のCMに集まった賛否の意見:元気のない夫に指示する妻、父権の喪失と状況に流される人生か。

牛乳石鹸のCMが話題になっていた事さえ知らなかった。『牛乳石鹸の販促CM』としては買いたくならないので効果が薄いと思うが、『現代で失われた父権・父の存在感・男の生きがい』みたいなジェンダーのノスタルジーを匂わせるCMの造りではある。

http://blogos.com/outline/241174/

父親の目がぼんやりうつろだからうつ病ではないかと引用記事にあるが、そういったアンニュイな焦点のぼけた目線が俳優の新井浩文氏の味みたいな所がある。しかし、家庭か会社かで何か悩みを引きずっていて覇気を失ったような目線にも確かに見える、このCMのメインキャストには余り向いていなかったのかも。

会社の行きがけにごみ捨てをして、子供の誕生日にケーキとプレゼントを買ってという父親の行動が、自発的なものではなく妻からの指示に従うどこか機械的・うつ的で不満げな行動である事に違和感が生じるのか。子の誕生日に帰ってこないので妻から電話があるが、急ぎの用事・会話もないのに、なぜ一言もなく完全無視なのか…

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『趣味は何ですか?』の質問にどう答えるか、 Facebookの広告収入が4割増で予想を上回る

○趣味にも『自己充足・興味関心の為の趣味』と『社交・集まりの為の趣味』があって趣味偽装するのは後者だろう。『読書・学び・ネット』はテーマを定めたり変えたりでライフワークにもなる。

「趣味は?」の質問に答えるためだけに… 「趣味偽装」してませんか?

僕も何でも興味関心を持つ方で、インドアなら『読書・学問・映画・ネット・芸術・音楽・飲食』、アウトドアなら『登山・旅行・地図を見ながら散策(行ったことない地点に歩いて行ってみる)・トレーニング』などが好きだ。大半の事はやればそれなりに面白い要素はある。ただ車など道具や物がいる趣味は経済的制約はある。

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狩野英孝の青少年健全育成条例違反の疑いを持たれた問題と現代における年齢差のある異性との関わり方

青少年健全育成条例の規制する『18歳未満(高校生以下)とのみだらな性行為』は、条例制定当時は『援助交際・ブルセラなど不特定の買春類似行為』を想定していたが、次第に18歳未満の性の全面禁止条例に変質した。

交際前の身分証チェックが今後常識に?狩野英孝さん問題に端を発し話題

狩野英孝問題もそうだが淫行条例で騒がれるケースは、『年上の成人男性』が相手の場合に概ね限られる。性行為があっても高校生同士の男女交際が淫行として処罰される事はまずない、警察に未成年の性行為の情報が伝わるのは『ウェブ上の売春疑惑(不特定の男性募集)+女子学生の連絡履歴』からだろう。

狩野英孝などの芸能人や大学生前後くらいの近しい世代なら、18歳未満との特定的な恋愛関係が成り立つ余地はあるかもしれないが、初めから知り合いでもない年齢差のある男性といきなりホテルに行くような関係(更に別の男性との連絡・会合も多い)は恋愛ではなく不特定多数の売買春の疑義が出る。禁止事由に包摂される所以でもあるが。

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