冬山登山もBC(バックカントリー)のスキーも自己責任が前提だが、

遭難したり死亡したりすれば何らかの非難は免れない。またどれだけ身体を鍛えて装備を整えていようがどれだけ注意深くしていようが、『気象遭難・雪崩事故・落石や落雷・体調急変』などの確率的リスクをゼロにすることまではできない。

アウトドアに限らず、人間は確率的に病気になったり事故に遭ったり死んだりするものだが、アウトドアの事故は特にメディアが大きく取り上げやすく、遭難事故には人間関係や物語性も絡むので詳細な報道がされやすい。

富山雪崩:地鳴りのようなごう音 「残念でならない」

『生活のためにしなくてもいいことを敢えてして救助の手間・コストがかかったり死んで迷惑をかけた(間接的な迷惑行為に当たったり税金の負担になる)』というロジックで非難する人は当然いるが、それはその人の『リスク回避・公費負担の最小化』を善(正義)とする価値観であって否定されるべきものでもない。

自分の好きな趣味や活動を全否定(バカに)されると、それに対して『そうではないとする材料・根拠・経験・事例・主張者側の問題点(他の迷惑やコスト負担)』などを言いたくなるものだが(そのための労力を惜しまずに膨大な論点や事例を集める人もいたりするが)、各種の趣味の分野に限らず、生き方・性格にしろ価値観・視点にしろすべての人に認められる必要はないし、認められることはおよそ不可能である。

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中国の防空識別圏(ADIZ)設定と中国の核心的利益の強硬外交への対応:中国の内政問題・薄熙来失脚・強硬外交のつながり

尖閣領土を巡る日中間の争いは、『歴史的な領有権の検証』と『地下資源の共同開発協議』によって解決を図るべき問題で、『武力・恫喝による死傷者や国民感情の沸騰を伴うような問題解決』は領土問題を永続化させるだけである。

無論、中国の狙いは『国家観念(仮想支配領域)の強大化』によって『国内問題の争点・経済格差の怨嗟』から人民の意識や関心を逸らして、共産党一党体制の温存を図る点にもあるのだから、『反日感情の高まり』を左右する外交・情報公開の匙加減も内政の延長線上にはあるといえる。だが、日中経済の相互依存性や中国の国際社会への影響力が強まっている中、そういった国際法違反を厭わないような危険な匙加減を調整することは至難である。

中国は核心的利益と称する『中国固有の最大領域の仮定線』を引っ張ることで、『本当の中国はここまで大きくてもっともっと豊かなのだ』という幻想を人民に与え、国内格差の急拡大と地方農村部の閉じ込めで沸き返る『内政への不満』に対して、ギリギリのラインで『暫し待て(核心的利益の配分を待て)』の号令をかける。

しかし、国内における富の再配分と共産党体制の腐敗(不正な権益独占)の一掃、居住地移動の規制緩和なくして、人民の高まりゆく不満を抑制し続けることは不可能と悟るべきだ。

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“悪(斜に構える)の魅力・自由”と“生真面目(不正を糾弾する)の窮屈・不自由”

というのは場合によっては有り得るだろう。悪い男といっても『暴力暴言を伴う恐怖感・実際の負担が生じる借金のツケを与えるような悪い男』はやはり好かれないし遠ざけられるものではないかと思うが、多少のルーズさや格好つけ(見せかけだけ)の悪さがあっても『愛嬌・興味関心の強さ(新しい事に対する行動力)のある悪そうな男』は人によっては好ましいキャラクターになることはある。

生真面目過ぎて融通が効かないような人がなぜ好かれにくいのかというのは、やはり『真面目な人に不真面目な話題を振ってはいけないのではないかという道徳的な萎縮効果』があってどことなく堅苦しく、対話や精神の自由度が自ずから落ちるからである。

解明!良い男じゃなくちょっと悪い男に惹かれてしまう理由―研究結果

生真面目過ぎる人は、『この人にはこういう話題を振ると不機嫌になるのではないか、こういうちょっと不道徳なところのある価値観は絶対に受け入れない人だろう』といった事前制約が多くなり過ぎて、自由にモノを言いにくいという短所が生まれやすい。

本当の悪人まではいかない悪っぽい人というか、ちょっとちゃらんぽらんに見えるくらいの人(道徳的な正論でのゴリ押しをまず打ち出してこない人)のほうが、『さまざまな話題や経験、価値観を受け容れる懐の広さ』が広くなりやすいという部分はあるかもしれない。

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映画『ルームメイト』の感想

総合評価 70点/100点

ルームメイトになった女性が、異常に独占欲が強くて自制心の働かないサイコパス(精神病質者)だったという話だが、ネタバレしてしまうと面白みのなくなるストーリーでもある。過去の性的虐待のトラウマと関連したプロット自体はかなり使い古されたもので、サイコホラーサスペンスの定番になって久しいが、先入観なく見れば心理的な切迫感の感じられるホラー映画としての怖さは所々にある。

派遣社員の萩尾春海(北川景子)は、交通事故に遭って片足を骨折してしまい、仕事を辞めざるを得なくなる。収入が途絶えることになりこの先の生活に不安を覚えていた春海だったが、入院中に話があって親身に接してくれた看護婦・西村麗子(深田恭子)がルームシェアを申し出てくれた。

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映画『悪の法則』の感想

総合評価 80点/100点

『悪の法則』の英語版の原題は“The low of evil”ではなく“The counselor”なのだが、カウンセラーだと日本語の語感では『心理的な問題や悩みを抱えた人たちを各種の検査・理論・技法を用いてケアする専門家』といった意味に受け取られてしまうため、題名を『悪の法則』と変えているのだろう。

作中で主人公のマイケル・ファスベンダーが演じる弁護士は、マフィアの強面の連中から『カウンセラー』と呼ばれて一目置かれている。冒頭でフィアンセのローラ(ペネロペ・クルス)と、猥談でいちゃつくベッドシーンが5分くらいのかなり長い間尺で流されるが、優雅で豊かでエロティックなセレブの日常の背後を流れる『ブラックマネーの魅惑・恐怖』を描いた映画であり、ローラとの幸福な日常はGreed(強欲)によって侵食され破壊されてゆく。

カウンセラー(マイケル・ファスベンダー)はまっとうな弁護士としての仕事の稼ぎで満足することができず、友人の陽気で太っ腹な実業家ライナー(ハビエル・バルデム)が持ちかけてきたメキシコ・マフィアが管轄するコカイン密輸に関連した法務処理の相談役の仕事を引き受ける。

ライナーは美男美女を高級車をずらり並べた豪邸に集めて、飽食とセックス、娯楽に明け暮れ、地元の顔利きとして権勢を振るっているが、自らの栄耀栄華がいつ終わってもおかしくない刹那のものであることを裏社会の住人として自覚してもいる。

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由布岳(1583.3m)の登山(11月21日):初冬期の豊後富士は絶景だが寒かった。

「にちりん3号(宮崎空港行)」から「ゆふ2号」を乗り継いで、一番早く由布院駅に着くのが9時7分。温泉リゾート地としての規模は小さいが、由布岳が間近に迫る露天風呂に浸かるのに絶好のロケーションと町馬車・自転車で気軽に回れるコンパクトな温泉街の作りが受けて、今では別府と同程度の観光客を集める町になっているようだ。

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料理付きの温泉旅館は結構高額だが、立ち寄り湯の温泉そのものは一般のスーパー銭湯よりも安いくらいの価格で入れる所が殆どである。温泉の泉質は酸性度が高いのでやや刺激感があるが、創傷・皮膚疾患・神経痛・疲労等への効能があり、お湯の肌触りはとろりとした感じで気持ち良い。割安な温泉スパリゾートのような施設もあり、駅から離れた場所にも温泉は無数に点在している。数そのものは別府よりは少ないが、硫黄臭が弱いので人によっては湯布院の温泉のほうが好きなのかもしれない。

少し前の風邪が完治していないようで、電車内で軽い吐き気がして胃の調子が余り良くないのが気になったが、登れないほど体調が悪ければ途中で引き返して由布院観光でもして帰ろうと思い、とりあえず登山口まで行くことにした。由布院駅から由布岳登山口までのバスを待ち、10時ジャストに登山口に到着。登山口は広い駐車場とトイレなどがあり整っているが、峠特有の強い風が吹きさらしの場所だけに停滞しているとさすがに寒い。すぐに登り始めることにした。

由布岳は標高1583.3mの独立峰で、富士山にも似たその山容は極めて個性的でどこから見ても他の山と間違うことはなく、湯布院の町からはどこからでもその姿を眺めることができる。別名を『豊後富士(ぶんごふじ)』と称されるが、万葉集に四首の歌が収載されるなど、飛鳥・奈良の時代の古くから霊山としての信仰を集めていた。

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