映画『るろうに剣心 伝説の最期編』の感想

87点/100点

前作『るろうに剣心 京都大火編』を見て続きが見たくなった人なら、間違いなく楽しめる作品になっている。

緋村剣心(佐藤健)と志々雄真実(藤原竜也)の最終決戦で、映画の大半は剣と剣の激しい戦いだが、明治新政府から『人斬り』として利用され切り捨てられた共通体験を持つ剣心と真実の対照的な信念がぶつかり合う。

新政府に裏切られてその身を灼熱の炎で焼かれ、全身に大火傷を負った志々雄真実は、強い者が生き弱い者が死ぬという『弱肉強食の信念』を掲げ、残忍な戦闘と支配に明け暮れる復讐の鬼と化した。

志々雄の側近である天才剣士・瀬田宗次郎(神木隆之介)は、抑圧していた攻撃性を開放して、子供時代に自分を虐待していた親戚全員を殺害して以降、志々雄が説く弱肉強食の信念に心酔している。

志々雄は大火傷で全身の汗腺を失い、体温調節が困難な特異体質になったが、体内に蓄積した膨大な熱量を外部に放出することによって、燃え盛る炎をまとった剣撃を繰り出すことが可能になった。残酷無比な気質と人間離れした身体能力、狂気的な暴力・破壊への没頭によって、殆ど無敵の剣士になっている。

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映画『猿の惑星:新世紀(ライジング)』の感想

総合評価 89点/100点

人類から老後の災厄を取り除くはずだったアルツハイマー治療の新薬は、チンパンジーのシーザーを首領とする類人猿の集団に『ヒトに迫る知能・言語』を与えただけではなく、人類の生存を脅かすパンデミックのトリガーとなる『猿インフルエンザの突然変異』を引き起こした。

前作『猿の惑星 創世記』のエンディングでは、育ての親であるウィル・ロッドマン博士(ジェームズ・フランコ)から『家に帰ろう』と呼びかけられたシーザーが、森の中でリーダーの自分を頼りにしているサルの大集団を振り返って『シーザーのうち、ここ』と答え、ヒトに等しい自我がシーザーに確立した所で終わった。

ウィル(ウィルの父親)やキャロラインに大切に育てられて『ヒトの優しさ・思いやり』を知るシーザーだったが、ウィルの父親を助けようとして人間に襲いかかったことで、劣悪な保護施設に閉じ込められて職員からの虐待を受け、『自分はウィルと同じ人間ではない』という自意識を持つことになった。

更に檻から逃げ出した類人猿を捕獲・殺戮しようとする人間の敵意にも晒され、『ヒトの恐ろしさ』も知ったシーザーは、人間界との境界線を明確にして、自然公園の奥深い森に閉じこもって暮らすという棲み分けの決断をした。

あれから10年の歳月を経て、森に足を踏み入れる人間の影がパタリと消え、森から見える街の風景は次第に荒廃してきた。伝え聞く情報によるとヒトは猿インフルの大流行と社会的パニック(殺し合い)によって大幅に人口が減少したか、あるいは絶滅したのではないかという……シーザーはそれでも安易に境界線を超えることをせず、ヒトの住む街には近づくべきではない(接触しない限り争いは起こらない)という判断を維持した。

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