自民党の小泉進次郎氏の“全世代型・応能負担・生涯現役”を掲げる社会保障制度改革:高所得の高齢者の負担増と若者世代の疲弊

自民党の小泉進次郎氏が『2020年以降の経済財政構想小委員会』で、社会保障制度改革について意見を述べた。『人口減少を強みに変える新たな社会づくり』として、高齢化率は現役世代の定義を『18~74歳』に変更すれば下げられるとしたが、生涯現役で年金支給開始を75歳に延長したい思惑もあるだろう。

参院選から選挙権年齢が18歳に引き下げられる事を前提に、『高齢者給付の社会保障』から『全世代型・応能負担・若者支援(育児支援)の社会保障』への転換を掲げた事は評価したいが、『現役世代の定義変更・原則老後なしの生涯現役』は若者世代も支持しそうにない。生涯現役なら社会保険料負担の減額とセットで論ずべき。

確かに現代日本における65歳は『老人』と呼べるほどに老いて、何もできないほど無力化しているとは言えず、戦前戦後の1940年代と比較して平均余命は10歳以上延びた。『老後の社会保障費』は医療・介護・年金・高齢人口増によって支出が増える一方で、無所得で悠々自適の年金生活の前提は既に半ば崩れている。

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平成28年・熊本地震(震度7・M6.5)が発生:15日午前の段階で死者9名・660名以上が負傷

スマホの聞きなれない音が鳴り、『緊急地震警報』が入った。熊本県熊本市で最大震度7の地震が起こったようだ。福岡県は震度3~4だったが、短時間だが結構揺れを感じた。阿蘇の震度5より熊本のほうが震度が大きいので、阿蘇山や霧島連山の噴火リスクなどと直結する地震ではないのだろうか。体感のある地震は久しぶりだった。山口県まで揺れたようだが。

九州中部に居住している人は、引き続き警戒が必要だと思いますので、十分お気をつけください。震度3~4まではそれほどの恐怖やパニックを引き起こさないが、震度5からは体感の揺れだけでなく室内の家具転倒、建物の倒壊もでてきて冷静な判断も難しくなる。熊本内陸部が震源のようだが、余震が起こらないことを願います。

昨日午後9時26分発生の熊本の地震は、阿蘇山に近い益城町で震度7を観測した。熊本市・玉名市で震度6。九州地方の震度7は1923年からの観測史上初という。死者も9人出ており被害が懸念される。

強い余震続く、死者9人に=重軽傷770人、3万3千人避難―熊本

熊本県益城町は震度7、マグニチュード6.5の大地震に見舞われたが、南北方向に断層が横に動いた『横ずれ断層型』の地震だという。地震のメカニズムは一般的な型だが、震源の深さが11キロで浅かったため震度が大きくなり余震も多くなる。熊本県内には南北101キロを縦断する布田川・日奈久の活断層帯が走っている。

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現代の日本は意地悪化しているのか?『高所得の満足していないオジサン』による炎上:貨幣経済と評価経済

現代には『貨幣経済(お金を稼ぐ)』と『評価経済(人から好かれる)』の二つの側面があり、高収入の中高年男性は前者で優位だが後者で不利になりやすく、地位・経済力と主観的満足がズレやすい。

意地悪ニッポン “炎上”主犯は「高収入だけど満たされないオジサン」

『昔の日本』が『今の日本』より倫理・治安・マナーが良かったわけではないが『相互扶助・存在認知の地域コミュニティ』が機能していて『中高年男性の居場所や自尊心(他者の関心・敬意)』が家父長制や女性・妻の持ち上げ、企業コミュニティ等で担保されていた。現代は経済・仕事・男と愛情・承認の結合は弱まった。

豊かになったから他人に意地悪になって攻撃するという因果関係はなく、ただネット社会になって『個人の主張・意見を不特定多数に発信できる場』が増えただけだろう。全体の約1%しか炎上に参加しない事もその裏付けだが、現代は『意地悪化』よりどちらかというと『メリット・興味のない他者への無関心化』が進んでいる。

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吉田修一原作+李相日監督の映画『怒り』の公開が楽しみ:妻夫木聡・松山ケンイチ・宮崎あおいらのキャストも良い

吉田修一と李相日の『悪人』は地方の若者の閉塞やネットの出会い、年の差の男女等をテーマにしたコンテンポラリーな作品だった。妻夫木聡・深津絵里・満島ひかりらの演技も良かったが『怒り』も面白そう。

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李相日は『怒り』でも妻夫木聡を起用。良い意味で突出した個性のない普通っぽさのある俳優で、20?30代のどんな役柄・属性も自然にこなす演技の幅がある。森山未來も癖のあるキャラの怪演で存在感が出た。渡辺謙・松山ケンイチ・綾野剛・宮崎あおい・広瀬すずのキャスティングでどんな役に配置されるのか楽しみです。

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『生まれてきて良かった』と思える人間(自己)になれるか否か:親子間の殺傷事件と人生の責任受容

■長女の首絞めて殺害した疑い 父「暴力ひどかった」
(朝日新聞デジタル – 04月12日 13:20)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=3943024

人間の究極的な幸福と不幸の基準は『この世に生まれてきて良かった・生きていることがありがたい・社会や他者と協力して生きていきたい』と思えるか否かに尽きると言ってもよい。

現代の未婚化にせよ少子化にせよ、その根本にあるのは『生まれてきて良かった(お父さんお母さん、産んでくれて育ててくれてありがとう。この両親の元に生まれてきて良かった)』と素直に思える楽観的な人が減ってきたということであり、『人生の感動や喜びを自分の子にも伝えたい』と思えない人が増えたということだろう。

生物学的な天敵を失ったホモ・サピエンス・サピエンス(知恵あるヒト)が絶滅するリスクがあるとしたら、全面核戦争・人口爆発の資源欠乏でなければ、科学技術主義・遺伝子操作の進歩の行き過ぎの副作用か、生きる意味を本質的に考える自意識・無常観のこじらせかのいずれかだろう。

『難しく考えすぎ・考えずに感じればいい・本能や勢いでいけばいい・ありのままに生きれば良い・人間も動物の一種で生殖は自然の摂理である』と言える人は、近代的自我が『禁断の知恵の実の毒(賢しらな人生の意味の先読みと諦観)』に冒されきっていないそれなりに幸せな人であり、動物的な生命力と共同体の再生産の意志を失っていない。

気づけばこの世に投げ出された実存的な主体である私たちにとって、第一に直面する不条理が『誕生』であるとも言えるが、何びとも誕生に対する拒否権や生まれ落ちる環境・遺伝子についての選択権を持ってはおらず、実存的な存在形式そのものが本人の同意とは関係のない不条理と所与の現実を前提(スタート地点)にしている。

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