イギリスのEU離脱問題(ブレグジット)で離脱派のボリス・ジョンソン前ロンドン市長が保守党党首選を辞退:EU離脱交渉の混迷

イギリスのEU離脱問題、離脱派の扇動役だったボリス・ジョンソン前ロンドン市長が保守党の党首選を辞退した。あれだけ離脱の必要とメリットを訴えていながら、EU離脱交渉の困難を前に辞退とは無責任だ…EUは『EU単一市場のアクセス』と引換えに『人の移動の自由』を求め、離脱派の望む移民制限は出来ない恐れがある。

英国独立党のファラージュ党首も、EU拠出金を英国民のNHSの医療費に回せるという公約を撤回、EU離脱をしてもEU拠出金によって国民の実質負担が減らせない事を認めた。離脱によって生じるメリットとされた『移民制限・社会保障負担軽減』の実現可能性が狭まり、EU市場参加に規制をかけられるリスクが懸念される。

ジョンソンの辞退によって、保守党党首の座が近づいたのは、サッチャーの再来とも言われるテリーザ・メイ内相だ。ジョンソンを補佐していたマイケル・ゴーブ司法相も出馬するがメイ優勢は固い。メイ氏は『EU残留派・移民制限派』だが、9月に首相に就任しても『年内の離脱協議』を拙速に開始すべきでないと発言している。

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夏・冬の公務員のボーナスのニュースについて思うこと

夏・冬の公務員のボーナス報道は『日本の中流のものさし・子供を公務員にさせたい親の増加』につながるが、将来不安・財政危機の中、実質的な擬制身分・メンバーシップ制の階級分化現象でもある。

国家公務員、夏の賞与1.6%増 首相は約359万円

国家公務員が槍玉に挙げられやすいが、実際は地方公務員のボーナスは国公よりも2~3割くらい高い水準に据えられており、政令指定都市でも平均賞与が90万円台になる自治体もある。非正規雇用の年収以上を2回のボーナスで稼ぐわけだが、『正規・非正規の格差』と合わせ『官民格差(上場企業除く)』も拡大傾向にある。

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利用者の自己負担額の引き上げなどで『特別養護老人ホームの待機者』が各地で急減

利用者の自己負担額の引き上げや低い要介護度の入所制限などで『特別養護老人ホームの待機者』が各地で大幅に減少しているという。公的年金が少なく費用面で入所できない人、徘徊・排泄問題の認知症はあっても身体が動くため要介護度が低くて入所できない等、どこにも行き場のない『介護難民の増加』が懸念されている。

国は介護費用の急速な負担増を受け、介護予算を削減するため、『特養を中心とする施設介護から在宅介護・民間施設への方向転換』を行っている。財産のない低年金の高齢者は、家族の介護を求められるが、経済状態が悪い人ほど家族関係も疎遠・険悪な事が多い。居場所のない高齢者は増えるが、お金がなければ受け皿がない。

“要介護度”に併せて認定されても、症状や行動様式、介護者との相性や施設での対応の限界も考えられます。なので、”行き先のない介護難民”の中には、民営の非公認団体の介護ハウスなるものも増えているようです。

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子供を産んで『母親』としてのアイデンティティーを持つことと友人知人との関係性が変化すること

結婚・出産で『人間関係・友達づきあいの範囲や距離感』は変わる。子供・家族が中心の忙しい生活にならざるを得ず、『類似した境遇にない友人』とは話題・関心・気持ちのズレも開きやすい。

子どもを産んでも完全に「母」にはなりたくない “自分らしさ”のありか (ウートピ – 06月28日 21:01)

男性も中年期以降は、会社の同僚などを除けば親密な友人関係を維持している人は減るが、女性は男性とはまた異なる理由で『ライフステージによる友人知人関係のシャッフル(入れ替え)』が起こりやすい面がある。結婚するかしないかだけでも、人生の生き方や価値観・生活感はかなり違って、話題のズレも生じやすい。

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参院選と憲法改正の問題、自民党憲法草案は何を変えようとしているのか?:立憲主義と国家権力・個人の関係

近代憲法の立憲主義は『国家権力の有効範囲』を示すことで『国民の人権・自由』を守るが、自民党草案では『公益及び公の秩序』によって『個人の権利の有効範囲』が狭まり国権が強化される。

何を変えようとしている?自民憲法草案(4)権利と義務 公益と責務重視 (THE PAGE – 06月28日 14:11)

近代憲法では『個人の生存権・自己所有権』は国家によって保障される以前の『天賦人権・自然権』に由来すると想定されるから、国家が認めてくれなければ『生命・身体・内面(思想)の自由』が認められないわけではない。その意味で『人権と義務の相互性(義務を果たさないと人権がない)』の主張は間違いである。

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東京都知事選で小池百合子元防衛省が出馬,共産党の藤野保史政策委員長の『防衛費は人殺し予算』の失言問題

自民党都連との調整で小池百合子と桜井俊のいずれかに一本化するとしたら、出馬自体に消極的な桜井氏が小池氏を推して辞退する可能性も高い。しかし、小池百合子が自民党都議連に何の報告もせずに、唐突に出馬宣言をしたために、石原伸晃氏らは不快感を隠せず、自民党は小池氏を公認しない流れになっている。

自民としては官僚の桜井氏の方が政治家よりも不祥事回避の安全牌に見えるが、桜井氏は未だ『家族に迷惑がかかる』という理由で自民党からの出馬の説得には応じない構えのようである。

<都知事選>小池百合子元防衛相が出馬表明 (毎日新聞 – 06月29日 11:27)

桜井俊氏は総務省事務次官のキャリアで行政能力の高さも期待されるが、それ以上に『嵐』の櫻井翔の父親というネームバリューが選挙では効くだろう。桜井俊氏本人は嫌かもしれないが、世間一般的には『エリート官僚なのに人気アイドルの父親・顔も似ている』という固さと親しみとのバランスが集票力・安心感につながる。

小池百合子氏は自分で手を挙げていてそのやる気は評価できるが、仮に桜井俊氏が密かに『都知事になっても良い』という思いを持っている場合には、日本人は『自薦よりも大勢に推挙されてやむを得ずに立ち上がる構図』が好きなので、桜井俊氏が優勢となるか。小池百合子という人は政界で勝ち馬に乗り続けてきた嗅覚はあるが。

小池百合子氏の政治家のキャリアは、小沢一郎が自民党を離党した政界再編の政局に乗った事に始まる。細川護煕の日本新党で初当選、新進党・自由党と小沢一郎の側近としてその地位を固め、小沢に陰りが見えた2000年の自由党分裂後、勢いを増す自民党(小泉・安倍政権)に移り、生活の党での小沢の凋落の巻き添えを避けた。

○共産党は『格差縮小・最低賃金引き上げ・労働条件の適正化・貧困対策』等に集中した方が議席を増やせると思うが、『共産主義・自衛隊否定・大企業敵視・財源無視の非現実路線』を突き進めば民意は得にくい。

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