女性殺害の元名古屋大生のサイコパス的な性格傾向の問題について、 「若者の恋愛離れ」はなぜ進んでいるのか?

○“金銭・怨恨・性・逃走”が関係しない自己制御困難な殺人衝動による連続殺人や毒物の傷害は、日本では極めて稀有なサイコパス型の事件である。殺人嗜癖のある精神病質の矯正・治療の方法はいまだ確立していない。

<女性殺害の元名古屋大生>「人殺したい気持ちまだ」控訴審 (毎日新聞 – 10月27日 http://mixi.at/agzk8Za 10月29日)

だが、容疑者は性自認や自己アイデンティティーに問題を抱えていたともされ、遺伝的なサイコパスと断定できるかは微妙だ。自己肯定感や人生の意味を毀損する何らかのトラウマ体験が背後にある可能性はあるが、それが本人の口から語られることは恐らくなく、ある意味で「表層的な殺人衝動」で自己防衛しているとも言える。

サイコパスやソシオパスの「人を殺したい衝動」の根底には、この世界・社会を完全否定したいと思うほどの屈辱・怨恨・自己嫌悪(典型的には児童虐待・性的虐待・苛烈ないじめ・近親者の死の異常解釈など)を生むトラウマが存在することも多い。他者を否定する殺人が、自己の無価値・無力の補償作用となり依存する。

実際に連続殺人を行ったサイコパスに対する矯正教育や精神療法の有効性は、臨床事例が少ないかサイコパスの自己主張(持論展開)が強すぎるかではっきりしないことが多いが、加齢による脳内ホルモンのバランスの変化や過去のトラウマの希薄化で自然寛解するケースもある。パリ人肉事件の佐川一政も後年は寛解の印象が強い。

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中学・高校では「茶髪(髪染め)」を絶対悪と見なしやすいのはなぜなのか?、女性・年下を「お前」と呼ぶことの問題など

○まだこんな馬鹿げた頭髪の指導をやっていたのかとは思うが……髪色・服装を「非行・迷惑行為の象徴」として認識する教師と不良生徒の相互作用は馬鹿げてはいるが、完全にはなくならない認識だろう。

「黒染め強要で不登校」生まれつき茶髪の女子高生が提訴 (朝日新聞デジタル http://mixi.at/agzYSQD 10月28日)

近代日本の学校の原点は、外見上・行動上の生徒の個性をできるだけ消して「画一的な要素」として扱うことで一方的に組織適応させるために規律訓練することにあった。「同じ服装・同じ髪型をさせられることによる服従性の高まり(自己主張性の弱まり)」があるので、学校側は生徒の反抗を防いで扱いやすくはなるのだろう。

近代の学校システムは緩やかに個性尊重や能力開発の方向に変わってきた学校もあるが、学校制度の基盤には「規則(ルール)や権威への無条件の従属性」がやはり残っている。「なぜそれをしてはいけないのかの理由の追求」よりも「とにかくみんなで決まりを守って、上位者に言われたことに従うこと」が求められるものである。

無論、大人になって現実社会に出て働き出してからも「個性の発揮・自由なアイデアだけで稼いで生きていける人(場の秩序感覚に無理に従わずに勝手にやっても稼げる人)」は全体ではかなりの少数派で、大多数は「理不尽な組織の規則(ルール)」や「権威的・形式的な上下関係」に何とか適応しなければ生きづらくなる。

その意味で、「この学校では黒髪以外の髪色は認められません・なぜなら日本人の大多数の地毛は黒いからです(例外的な人は染めて合わせて下さい)」という融通の効かない差別的・形式的なルールも、それが現行法や組織の慣習法の擬制ならば、似たおかしな規則・慣習に無意識に従って丸く収める大人はやはり多いだろう。

学校側は、地毛が金髪でも無理やり黒色に染めさせると強弁しているが、白人の自己主張と知的レベル(法的対抗手段を理解する)の高い家族の金髪の娘が通学していて、その白人の少女の金髪を黒色に染めさせるかといったら染めさせないだろうし、強行すれば人種差別問題として非難される。黒人の天然パーマも同様である。

日本の学校社会における人種的・文化的なダイバーシティへの適応は前時代的に遅れているが、現代においてなお、日本人はみんな黒髪・黒い瞳・直毛であるべきだという「単一民族国家の外見均質化の幻想」が学校の中で崩れていないというのは、現状では白人・黒人・ハーフの外国人子弟があまり学校に入ってきていない現れでもある。

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乾癬・アトピー性皮膚炎は医学的には軽視されやすいがつらい病気、 人間性はコインの裏表など

○乾癬やアトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能損傷や免疫応答反応の過敏性などが関係するので治りにくく、医学的治療も対症療法になる。皮膚疾患は、見た目の悪化が主観的苦悩になる。

10月29日は世界乾癬デー、イベントに道端アンジェリカさん登場 (QLife(キューライフ)

虫刺されや薬品・日焼けによるかぶれなどの原因が特定可能な急性の皮膚疾患は完治しやすいが、乾癬やアトピーなどは生得的な遺伝・体質・環境(雑菌・寄生虫との接触が少なすぎるのも一因となる)が関係するので、自然寛解しないと慢性的な経過になりやすい。皮膚疾患は実態に比べると医学的には軽視されやすい分野ではある。

乾癬・アトピーなども重症化すれば、外出困難なほどに顔や全身がボロボロになる症状・外見の悪化が有り得る病気で、そのレベルでは医学的に効果のある治療も乏しいため(現代医学の限界として自然治癒以外の薬による根本治療は不可能である)、怪しげな高額健康食品や詐欺的な民間療法の草刈り場になっている側面もある。

医学的に自己免疫反応の関係する(内部の免疫反応で自然に炎症が起こり悪化する)皮膚疾患が軽視される理由は、基本的にステロイド以上に有効な治療薬がなく治療法の選択肢が塗り薬・抗ヒスタミン以外に乏しいことがある(手術で治る類ではない)、遺伝・体質が関係するので症状を軽快させられるレベルの個人差は大きい。

また現代医学では「救命・患者を死なせないこと」を第一の価値にしているので、どんなに見かけが悪化したり主観的な苦悩があっても、乾癬・アトピーの皮膚疾患では死なないと見られていることが大きい。がん・心筋梗塞など致命的疾患と比較して、どんなに重症例でも軽い疾患と見られやすい。

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