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小泉純一郎元首相の唐突な『原発ゼロ論』と安倍政権の原発回帰路線について

日本国内における原発再稼働に留まらず、トルコをはじめとする中東・アジアの国々に最新型の原発インフラを売り込もうとする安倍首相は、原発依存度を下げて最終的にゼロを目指す『脱原発路線』を放棄したかのように見えるが、ここに来て小泉純一郎元首相がカウンターパンチの『原発ゼロ論』を叩きこんできた意義はどこにあるのか。

財政再建との兼ね合いで博打的な要素も強いアベノミクス、使用済み核燃料の最終処分を棚上げしている原子力発電、福島第一原発サイトの汚染水タンクの増加などを冷静に見据えれば、小泉元首相は消費税増税による支持者離反も含めて、おそらく『安倍政権の賞味期限』をレイムダックを経た後の次期衆院選辺りと見積もっているのかもしれない。

小泉純一郎氏は『政局と大衆心理の読み・ワンフレーズポリティクス』の嗅覚は異常に鋭いところがあり、現在の自民党内や地方の支持者・青年局の間で急速に人気を高めている息子の小泉進次郎政務官に『ポスト安倍の求心力となるアジェンダ』のヒントを出していると見ることもできる。

世襲議員はダメだという世論は強いが、それでも自民党内の過半数の議員は世襲や親族に議員がいて地盤を持つ者であり、小泉進次郎はその中でも『容姿や弁舌・メディア露出(全般的な人気度)・押し出し・論争に耐えそうな気質』の上で抜きんでた存在感を示すサラブレッドであり、高齢・固陋のイメージが強い自民党において数少ない『若さ・改革の象徴的存在』にもなっている。

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宮城県石巻市の『水産業復興特区』でカキ出荷が始まる。東北被災地の水産業の再活性化を。

カキ(牡蠣)の養殖が盛んだった宮城県石巻市の養殖場・処理場は、東日本大震災の津波で壊滅的な打撃を受けたが、今年から地元漁協だけでなく民間企業も加わった『水産業復興特区』を中心にして、カキの出荷が本格化するという。

水産特区でカキ出荷始まる=全国初「想像以上の注文」-宮城・石巻

先日、ほっともっとで『カキ弁当の宣伝の幟』を見て、反射的に買ってしまったほどにカキが好きなのだが、残念ながら石巻市のカキの出荷は当面は県内のスーパー向けに限られるという。これからの季節は、リンガーハットのカキちゃんぽんとかカキを入れたチゲ鍋とかも美味しくなってくるが、鮮度が高い臭みのないカキはやはり生で食べるところに醍醐味がある(魚介類が当たりやすい人などは敬遠することも多いが)。

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福島第一原発の汚染水問題の抜本的対応策の難しさ。

オリンピック招致のプレゼンでは、安倍晋三首相が何が何でも東京に五輪を招致するために、『汚染水問題は完全なコントロール下にある・沿岸の0.3km2の範囲内に汚染水は閉じ込められている』としたが、汚染水問題の難しさと怪しさは誰も直接的に福島第一原発の排水領域には足を踏み込めないこと、東電・政府関係者が出してくる数値を半ば鵜呑みにする形でしか汚染状況を把握できないところにある。

セシウム濃度測らず排水=7タンクエリアの滞留水―福島第1「緊急措置」・東電

海洋流出した汚染水に含まれる各種放射性物質の正確な濃度も不明であり、今までも繰り返し想定外の海洋流出が起こっていることから、不安が高まらざるを得ない部分もある。安倍首相のいう0.3km2の範囲外であれば一切の放射性汚染がないというのは『直接の実測値』ではなく『理論的な推測値』であり、また東電が出してくる相当に低い(実際の人体への悪影響も低いと予測される)汚染濃度に依拠した話でもある。

汚染水問題は抜本的解決をやり遂げない限り、毎日約400トンの量で増加を続け、それを貯蔵するタンクだけでも膨大な数とコストが必要になり、『既存のボルト締め型の貯蔵タンク』では既に接合部に隙間が生じて、そこからの汚染水の漏れが懸念され始めている。

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高速増殖炉もんじゅの技術面・安全面のハードルと核燃料サイクルの見通しの悪さ

高速増殖炉もんじゅは、『MOX燃料(プルトニウム・ウラン混合酸化物)』を燃やして、MOX燃料の消費量以上のプルトニウム燃料を生み出すことを目的にした原型炉であり、核燃料廃棄物を半永久的に再利用できる『核燃料サイクル』の実現を目指すものである。

『使用済み核燃料(長期にわたり有害な放射性廃棄物)』を再利用できる核燃料サイクルの技術を確立することができれば、『ウラン235の枯渇リスク(資源高騰リスク)の回避』と『使用済み核燃料の処分問題』を同時に解決できる夢の技術であるとして、もんじゅ建設当初は大きな期待が寄せられた。

核燃料サイクルを実現するための施設・原型炉として、青森県六ヶ所村の『再処理工場』と福井県敦賀市の『高速増殖炉もんじゅ』があるわけだが、残念ながら両方とも現時点ではまともに稼働しておらず、当初予算を越える莫大な施設・設備の建設費と維持費だけが積み重なり続けている。

何より2012年11月に、もんじゅは保安規定に基づく機器の点検漏れが9679個あったことを原子力規制委員会から指摘され、更に重要な非常用電源に関する点検漏れも発覚したことから、『もんじゅの無期限の使用停止命令』が日本原子力研究開発機構に対して出されている。財政的にも法律的にも技術的にも、『もんじゅの八方塞がり感』は深刻になっており、無期限の使用停止命令がいつ解除されるのかの目処も立っていない。

原子力規制委員会は原発事故の反省を踏まえて、内閣・国策から独立的に原子力関連機関・装置について調査と指導をする権限を保有しているため、政権が『原発推進・もんじゅ再稼働の方針』を持っていても、原子力規制委員会の根拠法そのものを改正しない限りは、短期間でもんじゅを再稼働させること(使用停止命令の即時解除)はできないのである。

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