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アンガス・ディートンのノーベル経済学賞受賞,ドラマ『エンジェルハート』など。

ノーベル経済学賞が、アンガス・ディートン米プリンストン大教授(69)に授与された。『消費と貧困・福祉の分析』が受賞理由だが、インドのアマルティア・センと同じ経済活動を通した社会的な公正・改善を模索する『公共経済学』の学者だという。

貧困の削減と福祉の増進を図る経済政策の根拠として、利用可能な消費選択の経済指標を作ったのだが、当時の経済学では『生産の量・効率』ではなく『消費の量・選択』に着目する視点がとても斬新なものであった。

アンガス・ディートンは、先進国よりも途上国の貧困・福祉の問題を改善する政策提案に役立つ経済指標を確立した功績が大きい。GDPを人口で割った個人の平均所得(一人当たりGDP)だけを見ると『格差の問題』は見えづらくなるが、具体的な消費データの品目・量の変化を把握すれば貧困度が見えやすくなると指摘した。

国力の指標とされてきたGDPや個人の平均所得よりも、『消費行動の定量的な分析』の重要性を示した経済学者である。消費税率の引き上げが、家計の消費支出に与える影響についての研究もある。消費税の逆進性及び低所得者対策の必要性などとも関係する研究だが、貧困でも生存の為に必要な最低限度の消費水準がある。

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近年のハロウィンブーム:コスプレの仮装行列まで参加する人の比率は低い。

昭和生まれの日本人にとっては、『ハロウィン』というのはそこまで馴染みのある行事でもなく、9~10月の時期にかぼちゃをデザインしたお菓子の詰め合わせ・雑貨の小物などが売っていたくらいの記憶しかないのではないかと思う。

現在の年齢で、20代半ばより下の世代にとってはハロウィンは、一年の中であって当たり前のポピュラーな行事として認識されているというが、『ハロウィンだからこういった祝い方(イベント)をするという定型的な過ごし方』があるわけではなく、大人も一緒にコスプレをして仮装行列を組むイベントへの参加は、日本全体ではごく一部(主に東京都心部)の人たちがやっているに過ぎないように思う。

大半の人はハロウィンらしいパッケージのアイテム・お菓子、かぼちゃを使った料理・スイーツなどをちょっと楽しむくらいのものではないかと思うが、経済効果が約1280億円でほぼバレンタインと同じくらいの規模だという。

食品・菓子・コスプレ雑貨・パーティーグッズなど含めた経済規模の大きさを考えると、『10月にも何か大きな商機となるイベントが欲しいというビジネス上の要請』があって、2000年代後半くらいから大手チェーン店の商品開発(季節商品)の協力も取り付けながら、電通・博報堂などがマーケティングを仕掛けていった結果なのだろう。

しかし、日本経済の大きさを考えれば約1300億円はそれほど巨大なマーケットではなく、『各世帯がいつもよりちょっと多めに季節物商品でお金を使うハロウィンの過ごし方』が定着していったということかもしれない。渋谷でやっているような数万人以上が押し寄せるような仮装行列パーティーというのは人口が多い都心の局所的な現象であり、地方の人口100万程度の政令指定都市レベルでもそんなに仮装行列が至るところで行われている風景の印象は薄い。

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第3次安倍改造内閣が発足:小泉・中曽根に迫る“安倍政権の長期化”

安倍政権は2012年12月から第2次・第3次で既に3年近く政権を担い更に3年近い任期を残している。近年では小泉・中曽根に続く長期政権だが、自民総裁の連続任期は2期6年でこれを延長する議論もある。

第3次安倍改造内閣が発足 守りを優先、サプライズなし

安倍首相の周辺では自民党総裁の連続任期を2期6年から3期9年にまで延長しようという意見が出ている。2020(平成32)年の東京五輪・パラリンピックを招致した安倍首相で迎えたいという事だが、6年の任期では安倍氏は2018年までしか総裁の座を維持できず、自民党は異なる議員を総裁にしなければならない。

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ベラルーシの女性作家スベトラーナ・アレクシエービッチがノーベル文学賞受賞,シリア戦争の激化

ベラルーシのジャーナリスト作家・スベトラーナ・アレクシエービッチの作品は未読だが、『第二次世界大戦の女性・ソ連占領下のアフガン・チェルノブイリ原発事故』など歴史的な重要事件を題材にした骨太なノンフィクション作品を描く。

ノーベル文学賞、ベラルーシのS・アレクシエービッチ氏に

フィクションで個人の心象風景を精細に描写する作品が好きな村上春樹、ノンフィクションで社会的・歴史的な大事件を分析し世に訴えるアレクシエービッチは、良くも悪くも完全に対照的な作家だと感じる。小説の面白さを抜きにして、より社会的インパクトがある作品という意味では、アレクシエービッチに軍配が上がるか。

しかし日本人で、スベトラーナ・アレクシエービッチの作品を読んだ人は殆どいないのではないかと思う。Amazonで検索すると日本語で読めるのは『チェルノブイリの祈り』『戦争は女の顔をしていない』『ボタン穴から見た戦争』『死に魅入られた人びと―ソ連崩壊と自殺者の記録』だが在庫がないものが多い。

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栗城史多氏がエベレスト再挑戦で登頂を断念:プロ登山家にも色々なチャレンジやスタンスがある。

栗城史多氏は2008年までは世界の高峰に順調に登頂したが、09年のエベレスト敗退から登頂率低下、12年に凍傷で指9本を喪失した。記録挑戦の登山家というより、ウェブを介した高峰登山の共有化の先駆者だと思う。

<エベレスト>栗城さん、登頂に再挑戦するも下山

栗城氏に対する批判は過去の冒険的な登山家と比較した時に『ストイックさ・フィジカルな体力・テクニカルな技術・公称記録の正確さ(単独無酸素・アルパインスタイル等)』で劣るというものだが、エベレストの単独無酸素も七大陸最高峰登頂も既に前人未到の記録ではなく、栗城氏は困難なバリエーション開拓の登山家でもない。

それでも一般の登山者から見れば、かなり危険で困難な世界の高峰の登山に挑戦しているプロ登山家ではある。

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国家公安委員長・行革担当相で入閣した河野太郎氏が、政権批判の内容も含まれるブログの公開中止!

思想的・政策的に合わない所の多い河野太郎の閣僚取り込みは、安倍首相の『党内異論の融和策』の一貫ではある。過去の『政権・政策批判的な持論』を自主的に閲覧不可にしてくれるのは即効性がありすぎるが。

入閣の河野太郎氏「脱原発」どうする ブログの公開中断

脱原発論・格差是正にせよ安保法制の慎重論にせよ、安倍政権にとって目障りに映っていた『党内のリベラル的な異論』を国家公安委員長・行革担当相の閣僚ポストで牽制できるのは十分にお釣りが来る。無任所・特定担当相の端役なら河野太郎氏も蹴っていた可能性があるが、それなりに重要なポストで礼遇する辺りは手練である。

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