丸山和也議員の『オバマ大統領は奴隷(の子孫)』の失言の真意はどこにあったのか?

丸山和也議員の発言の主旨は『旧奴隷の子孫でも大統領になれる』という米国の人種差別撤廃の歴史と人種構成の変化を礼賛するものだが、アメリカの黒人が皆、過去に奴隷であったような『歴史事実の誤認』が根底にあったのだろう。

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丸山議員はオバマ大統領の出自・祖先について米国の旧奴隷身分だと誤解しているが、言いたかったのは『過去に差別されていた黒人(非白人)でも大統領・議員になれる』とか『白人が支配層を形成していた米国の権力構造が大きく変化して有色人種の有力者(人口)が増えている』とかいう事なのだろう。

『日本が米国の第51州になる夢』について語る文脈で丸山議員は、『黒人のオバマ大統領は奴隷ですよ、はっきり言って』とか『建国時に黒人・奴隷がアメリカの大統領になるとは考えもしない』と言っている。単純に『黒人=昔は全員が白人に屈した自由・公民権のない奴隷』という誤った歴史認識を持っていたのだろう。

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女子高生によるデートDVの増加:若い女性からの暴言・暴力は『恋愛の力関係・本人の性格』の現れだが。

女性から男性が身体的暴力を受ける確率は低いが、DVをする人は性別を問わず『自分に精神的に依存・従属する型の相手』を探して選ぶ。『対等な立場での対話・付き合い』に不快を感じるので、『親密さと従順さが一致しない相手』に深入りしない特徴があったりもする。

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DVやモラハラを受けるリスクがみんなにあるかといえば、生まれながらの気質・人格やコミュニケーション・付き合い方の姿勢によって『受けやすい人と受けにくい人の違い』はあるだろう。DV・モラハラをする人は『理不尽・わがままな要求含め自分を全面的に受け容れる依存・従属しやすい人』を見分ける嗅覚が鋭いものだ。

反対に、なかなかDVやモラハラを受けない人は、『好きな相手でも超えることを許さぬ自己の尊厳領域を持つ人』であり、『親しき仲にも礼儀あり』で打ち解けた間柄と何でもむちゃくちゃやっていい関係とを区別している。『相手の人間性・生き方・倫理の評価が大きく下がれば自分から切り捨てられる姿勢』を示せる人でもある。

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清原和博選手の薬物による転落:斉の孟嘗君(史記)のエピソードを思う

一流選手の挫折には伊良部氏の自殺があったが清原氏も一時自殺寸前までいったという。華やかな生活・名声・人脈・結婚からの転落と人間不信は辛いが自殺や薬物の逃避から何とか立ち直って欲しい。

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多くの有名人や落伍者が、脳に直接的な快楽・陶酔・高揚をもたらしてくれる薬物に逃避する。何も頑張らなくても使用するだけで心地よくなれる薬の誘惑は、精神状態や過去の使用歴によっては耐えがたいものになり得る。だからこそ一回も使用すべきでないし薬物を使いたくなる心理・環境・人とのつながりが既に自滅的である。

違法薬物を使用する者は、不可避的に『嘘をついて生きる人生』を歩まざるを得ず、清原和博氏もその例外ではなくテレビ番組で『薬物使用歴はないとの嘘』をついてその場しのぎをしたが、嘘をつく生き方というのは必然に自尊心と前向きな意欲を奪い取っていき、自己嫌悪から更に薬物に依存する認知を再生産するリスクを孕む。

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釈迦(ブッダ)とイエス・キリストの死から『無常・不死願望』を考える:知識・教養の効用とは何か?

東洋の仏教(釈迦)と西洋のキリスト教の最大の違いは『死の捉え方』にある。釈迦は死を『無記』として諦める他ない人の無常の定めとする(浄土思想はキリストに近い)が、キリストは『死と復活の物語』で人間の不死願望(消滅の不安・無意味さ)を満たそうとする。この『魂の不死+理性による救済』はソクラテスまで遡る。

ソクラテスの毒ニンジンの自死とキリストの十字架の刑死は『ヨーロッパ文明の礎石』だが、仏教や釈迦の涅槃と比べれば人が死ねば消滅するしかない現実を受け容れられない人間臭い思想だろう。『理性(ソクラテス)と信仰(キリスト)』で死(消滅・無意味)に抗い、理屈好きのギリシアの哲学者達さえも非理性的な『魂の不死』を信じた。

ヨーロッパ文明の源流にあるギリシア哲学とキリスト教は、『死ぬ人の有限性の限界』を理性教と宗教で克服しようとした営為だろう。ソクラテスとプラトンはイデア思想によって『肉体が滅びた後の愛知者の魂は不死』という理性信仰を掲げ、キリストはより大衆的に『神を信じれば死と復活で永遠の幸せが約束される』と説いた。

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山口智子の『産まない人生宣言』と結婚・労働・出産を巡る世間体の圧力:なぜ『産まない人・産まない人生』は批判されやすいのか?

世間一般では、他者に危害を加えない限り、あらゆる生き方や価値観の多様性を認めるという人(相互不干渉の自由主義者)はそれほど多くないし、「自分の選択した人生の生き方」を直接的あるいは間接的に正当化してその正しさや幸せを他人にも認めてもらいたいという人(普通の人生モデルを提示してそれに沿うか否かで価値を判断したがる人)はやはり多い。

■山口智子の「産まない人生」宣言で考える 子どもを持たない選択した女性にも優しい社会

結婚していなければ結婚すべきだという人もいるだろうし、出産・育児をしていなければ出産・育児をすべきという人もいるだろうし、フルタイムの正社員で働いていなければ正社員で働くべきだという人も当然いるだろう。

それが世間一般の『(現代ではやや多様化・個別化が起こって拡散してきてはいるが)普通の人生モデル』だからである。更に、その『普通とされる人生モデル』に沿って生きるためには、現代では特に膨大な時間・労力・コストをかけて、およそ自分の人生のほぼ全体を投資するくらいの覚悟・努力がなければできないのであり、普通だから簡単で気楽にやれるわけではない。

平均所得前後を稼ぐくらいのサラリーマンになるにしても出産して子育てをするにしても、片手間で余力を残して『あれもこれも』でできる生半可なことではなく、中には仕事で心身の健康を崩したり、子育ての仕方を間違って犯罪(虐待死・非行誘導)に転落してしまう人も出て来るわけだから、本人にとっては正に『一度限りの人生を賭けた真剣勝負の取り組み』といっても過言ではない。

結婚生活や出産・育児に関しては、学歴・職業エリートで躓く人も多いのだが、その理由としては『普通・平均に対する侮り(今までの自分は普通・平均レベルの成績・実績まで落ちたことなど一度もないのだからとの過大評価)』があるからという側面があるだろう。

現実には、大多数の人は結婚して子供を育てて夫婦関係・家庭を維持して年老いていく『普通の人生モデル』をまっとうするために、ほぼ自分の持つ能力や経済資源、時間の殆どを賭けなければそうそう上手くいかない。

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シングルマザーの連れ子に対する虐待死事件:暴力・体罰によるしつけの必要を強調する人

近年は女性の平均初産年齢は30歳をやや越える所まで上がっているが、これは30歳前後で出産する女性の大勢が産んでいるのではなく、20代前半くらいの早産のゾーンと30代半ばくらいの晩産のゾーンとの二極化が進行していると言われる。

女性の出産年齢は概ね『女性の学歴・職業キャリア』と逆相関があり、統計的に見れば学歴・職業キャリアが低い、かつ結婚・家庭への願望が強い人のほうが、早く結婚して早く子供を産む傾向がある。

■3歳暴行、病院行かず1日放置 「息してるから大丈夫」

高学歴・キャリアの女性は子供を産まないことも多いが、晩産の人のほうが出産後の子供と自分の人生設計・教育方針について慎重過ぎるくらいの人が多い傾向はあるだろう。統計的な傾向に過ぎないので、早く産めば良いとも遅く産めば良いとも言えないし、どれくらい十分な心理的・経済的な準備がいるのかも一概には言えない。

『子供を育てることを最優先にして自分の人生の遊び・楽しみを暫くは我慢する価値観』と『子育てを途中で諦めてしまわない=子供に愛情・保護を与えることをやめない覚悟・愛情・行動』があるかないのほうが重要であることは言うまでもない。

ここで問題になりやすいのは、『みんなが産んでいるから自分もという周囲に流されての安易な早婚早産・自立や育児において耐えられない労働や経済の状況の問題・母親(父親)としてのアイデンティティーの確立の挫折・早期離婚からの育児環境の混乱(好ましくない相手との新たな異性関係による虐待リスクの上昇)』などだろう。

子育ては産みの母親であっても我慢しなければならないことだらけの基本的に大変なものであり、相当な覚悟と意志がなければ遂行できない大事業である。実の血を分けた母親でも大変なことである現実を考えれば、(離婚したり未婚で産んだりでシングルマザーになったとして)そういった大変な育児の負担を本心から分かち合って助けてくれる男(血のつながっていない男)というのは、よほどその人間性と意志を吟味して選ばないと失敗する(子供が邪魔者扱いされるようになる)ということは自明でもある。

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