『日本人の親切さ』と『上位国の人の親切さ』のイメージの違い:日本人の文化・態度とgenerousの指標

翻訳記事のタイトルは“Guess Which Nation Is the Most Generous in the World”とあり、”generous”という単語は日本人がイメージする一般的な『親切さ・優しさ』とはやや語感が異なるのではないかと思う。

日本は”generousな国民性の順位”において90位だが、これは”gender equality(男女同権の度合い)の順位”と同じくらいに低い順位であり、文明的で先進的な経済大国としてはやや不本意なランキングといった印象は受ける。

単純に辞書的な意味を取っても、”generous”は『寛大な・好意的な・金などで気前の良い』といった意味である。

世界で一番親切だと認定されたのはあの国とあの国!

『日本人が外国人と比べて親切ではない』と言われると不満・反論がある人でも、『日本人が外国人と比べてあけっぴろげにフレンドリーではない(困っている人のために物質的・経済的に気前が良いというわけではない)』と言われるとそれほど違和感を感じないのではないだろうか。

社会心理学の比較実験では、日本人はアメリカ人やイギリス人よりも個人主義的な判断をするという意外な実験結果が出ているが、これは『職場・学校・地域での持続的な人間関係のない相手に対しては(一回限りの人間関係という実験環境ならではの状況では)』という前提条件がついているからである。

日本人は長らく欧米人よりも集団主義的だというステレオタイプが形成されていたが、それは『企業・学校・地域の一員としての自覚や役割が要求される場においては集団主義的な同調圧力(世間体・他者との横並び)に従う』といった意味であったというのである。

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血液不足解消のために『献血者』を増やすにはどうしたら良いか?

輸血用の血液不足と若年層の献血率の低下は長らく指摘され続けているが、今までと同じやり方と宣伝方法では、献血者を増やすことは恐らく困難だろう。

日本の献血は、輸血(血液製剤)が必要な事故・病気になった時にはお互い様という『相互扶助』や少しでも重症(重傷)で生命の危機に陥っている人の力になりたいという『利他精神』に基づくボランティアであり、献血者が得られるメリットは無料の飲食物以外は概ね精神的なものに限られる。

血液不足、20年度に44万人分か 若年層の底上げ目標

簡易な血液検査を兼ねているとか、献血をしたほうが体調が良くなったように感じるとかいうような個別の動機はあるかもしれないが、『注射・自分の血液の視覚化』にどちらかというとネガティブな印象を持っている人が多い。

そのため、自分から敢えて血液センター・献血ルーム(献血カー・出張献血所含め)にまで足を運んで献血しようとする人は、献血が習慣化している人(定期的な献血をすることが当たり前になっている人)以外には少ないだろう。

献血者を確実に増やす方策は、『無償の献血』を『有償の献血(売血可能な献血)』に転換することだが、日本では献血をはじめ『人間の身体資源(健康状態)』に関わるものを金銭で売買することをタブー視する倫理観は強い。

また、献血は注射針による神経損傷やウイルス感染、血液成分の異常(献血後の長期的慢性的な体調悪化)などの前例もあり、100%安全な医療行為とは言えない側面(原理的に侵襲的医療行為のすべては100%の安全性は有り得ない)もある。

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アニメ『HUNTER×HUNTER』のキメラアント篇の感想

冨樫義博の『HUNTER×HUNTER』は読んだことがなかったが、huluで見ていたらドラゴンボール的な強さ(念能力のバリエーション)のインフレの乗りにはまって、キメラアント篇の終盤の途中まで早送りしながら見てしまった。

『キメラアント』というのは、人間を食糧として捕食する巨大な昆虫の怪物なのだが、蟻からありとあらゆる種の動物や節足動物へと突然変異を繰り返していき、一匹の女王蟻(唯一の生殖能力を持つ)を頂点とする『巨大な軍事国家NGL』を建設する。

昆虫は遺伝子のプログラムに沿って本能的に行動するだけであり、その行動原理は『全個体の母である女王蟻への絶対的忠誠』と『NGLの領土拡大・食糧となる人間の捕獲』のみで徹底しており、人間のいかなる情緒・倫理をも超越した残酷さ(利己主義)を示す。

自らよりも劣った他種の個体を食糧として管理するというのは、人間の他種(牛・肉・鶏)に対する扱いのアレゴリー(類比)として皮肉が効いているが、自然の摂理に従うのみのキメラアントにとって『知能の高さ・感情の有無』は生命の価値とは何ら相関していない。

女王蟻は次世代の王となるべき強力無比な個体を身ごもっている。『王』を出産するための膨大なエネルギーを人肉団子から得ているが、女王蟻は我が子である王を愛する感情は持っており、王を補佐する側近となる『特殊な三個体の親衛隊』を生み出している。

猫型のネフェルピトー、蝶型のシャウアプフ、魔獣型のモントゥトゥユピーの三個体の親衛隊は、驚異的な念能力と特殊な攻撃形態を持ったキメラアントであり、人間の討伐軍であるゴンやキルア、モラウ、ナックル、シュートらと対決することになる。だが、母胎から生まれでた残忍な王は、母親である女王蟻をもはや用済みであるとして瀕死の重傷を負わせ切り捨てる。

キメラアント篇の面白さは、人間を食糧として狩猟捕獲している冷酷無比なキメラアントの王とその親衛隊が次第に『人間的な感情』に目覚めていく所にある。『王』は驚嘆すべき学習能力の持ち主であり、『戦闘能力以外のありとあらゆる分野』で人間の一流のプロや王者、専門家を打ち負かしては殺戮を繰り返し、自分自身よりも優れた個体がこの世界に存在しないことを立証しようとする。

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豊かな先進国の自殺率は途上国よりも高いが、なぜ日本は特に高いのか?:システムのレコードと他者(世間)の目線

現代の先進国は医療水準の向上と栄養状態の改善、交通事故死の減少傾向(飲酒運転など交通違反厳罰化・速度の出ない渋滞の慢性化)によって、『乳幼児死亡率・病死率・事故死率・餓死率(戦死率)』が下がるので、必然的に『自殺以外の死因で死ぬ若者の比率』は減ることになる。

生きることそのものが目的化できるほどに、『戦争・飢餓・病気・虐待(身分差別)による淘汰圧』が十分に強い社会では、『動物的な生存・生殖の本能』が先鋭化しやすく、自殺という行動選択が現実的なものとして考えられる頻度が少ない。

学校教育や知識教授による自我意識の肥大も抑制され、大多数の人が自分と同じように貧しく苦しい境遇で必死に生きているため、『自分が何者であるのか・自分の人生がどのようなものなのか・なぜ生きなければならないのか』の自省的・意味論的な思考が人生の中心になる余裕そのものがない。自意識の拡張(優越・豊かさ・見栄への欲)や周囲との差異がないために、『生きるために生きることのハードル』が低くなるので、自殺するリスクは必然的に低下していく。

先進国の学校教育の多くは『生きる力・サバイバル力』よりも『競争する力・専門性を身につける力』と相関するものなので、『学校・企業・役所などの決められた帰属(関係性)と枠組みから逸脱した個人』は経済的にも精神的にも脆弱となりやすいが、先進国では学校・企業・役所と相関しないコミュニティ(ゲマインシャフト)や持続的な自営業は概ね衰退しやすくなっている。

バブル崩壊後の一時的な自殺の急増は、『企業の雇用・社会保障の枠』からの篩い落としから立ち上がれなかった人たちの影響が考えられるが、2000年代前半までの自殺率の高さは、高度経済成長期から日本経済の最盛期までの『一億総中流社会の意識との一体化(人並みのライフステージの進行から脱落することの恥・恐怖と自己否定)』によってもたらされていた側面がある。

2000年代後半からは、格差社会の進展が客観的なジニ係数というよりも『若年層の雇用格差・出身家庭格差・学力格差(意欲格差)の意識』によって露見するようになり、どんな家(親)に生まれても努力すれば中流階層のライフスタイルに大多数の人がありつけるという『一億総中流社会の幻想』が崩落した。

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アメリカの軍事外交と日本の自民党政治が志向する『グローバリズム+ネオリベラリズム』は自国民に何をもたらすか?

ブッシュJr.政権時代のアメリカは9.11の米国同時多発テロに対する報復措置としてアルカイダのウサマ・ビンラディンを匿ったという理由で『アフガン戦争(2001年)』を断行し、客観的証拠の無いまま大量破壊兵器(化学・生物兵器)を保有しているという疑惑でフセイン政権を転覆させる『イラク戦争(2003~2010年)』を強行した。

アフガン戦争もイラク戦争も広義の『テロとの戦い』を大義名分として戦われたが、独裁者の圧政とイスラム原理主義の狂信を排除して欧米先進国の基本統治理念(人権思想・自由民主主義)を教え込むという『アメリカの上から目線の占領統治政策』は概ね失敗に終わった。

『イラクの自由作戦』と銘打たれた戦後の占領統治作戦は、アメリカの持てる軍事力と経済力、兵員の生命・健康を甚大に消耗疲弊させたが、アメリカがイラクの国家と人民をマリキ政権の下で革命的に転換させようとした試みはことごとく徒労に終わり、戦争開始から10年以上が経過した現在でもイラク国内の情勢は自爆テロが繰り返されるなど極めて不穏で危険な状態が続いている。

米軍は石油利権の市場開放を行って石油メジャーと外国人投資家を喜ばせはしたが、中途半端な戦後処理によってイラクの内政と経済はガタガタとなり、反米感情の高まりとテロリズムの続発を放置したまま米軍は撤退せざるを得なかった。

結局、アフガンのタリバン(イスラム過激派)もイラクの反米武装勢力(アルカイダ残党・新派閥)も一掃されることはなく、戦争以前よりも反米勢力・テロ組織の活動が活発化してもはや収拾がつかない。更にイラクとシリアのイスラム国(ISIS)という『反欧米主義・シャリーア遵守のイスラム過激派集団』が拡大傾向を示して、『中東全域の民主化・近代化・市場開放・武装組織排除』という欧米の悲願は打ち砕かれつつある。

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複数の夫の連続不審死事件(財産詐取疑惑):毒婦・保険金殺人の策略と『結婚・恋愛の原理(優位性)』における卑劣な男女の悪意

筧千佐子(かけひちさこ)容疑者(67)は、結婚相談所で夫の筧勇夫さん(75)に青酸化合物の致死性の毒物を盛って殺害し、約1億円の財産と土地・建物を不正に前倒しして相続した罪に問われている。筧千佐子容疑者は、20代の頃の初婚の相手(結局死亡してはいる)とだけは20年程度の結婚を続けたが、その後は結婚相談所などを経由して複数の男性と結婚を繰り返し、その全ての配偶者は死後の体内から毒物が検出されるような不審死を遂げている。

千佐子容疑者が、死亡した複数の結婚相手から相続した財産は少なく見積もっても『5億円』を超えているとされるが、現在の千佐子容疑者は筧勇夫さんから相続した1億円を除けば無一文の状態で、5億円の相続財産のすべてを先物投資や為替取引などのリスク投資で食いつぶして、更に1000万円以上の有利子の負債を抱えていたという。千佐子容疑者は、金銭に終わりなき貪欲さを持つ『守銭奴』であると同時に、財産保有の高齢男性をただの金銭詐取のための道具としか見ない徹底したサイコパス的な気質を持つ『冷血漢(冷血女か)』でもあるのだろう。

青酸不審死、夫が妻にメール「新年は一緒に過ごしたい」

典型的な『生活とカネのための結婚』であるが、60代で出産可能年齢を大幅に超えていながら、千佐子容疑者は『入籍すること(相手の財産を分有できる妻の立場を得ること)』に過度にこだわっており、結婚相談所で希望する相手の条件として『年収1000万円以上・(年収が低い場合には)相応の資産があること・(結婚に反対したり財産の動きを監視するような)子供がいないこと』などかなり強気な条件を立て続けに上げていたという。

特別な美人でも何でもない60代の女性が、そんなむちゃくちゃな厚かましい条件を突きつけて結婚相手など見つかるのだろうかと、20~40代くらいのまっとうな結婚観・男女関係の捉え方をする女性であれば思うだろうが、『年齢不問・自分の異性の好みを度外視・金銭的利害だけに着目・自分の感情的判断を遮断する』であれば、50代でも60代でも甲斐甲斐しく尽くす素振りを見せる(最期まで一緒にいてあげるような態度を見せる)女性であれば、人淋しい(弱気になった)高齢男性をターゲットにすれば可能であるのが現実だろう。

性的魅力が維持された20~40代女性で、『良い出会いがない・安定した結婚生活ができそうな男性がいない』という不満や不安をこぼす人は確かに少なくないが、それは『自分の性的魅力や年齢との一定の釣り合い(職業・収入・財産以外の人として男としての魅力の要素)』を求めているからで、いくら外見(容姿)や年齢にこだわらないといっても、60~70代以上で、異性としては見ることが難しくなった年齢の金持ちの男性などは『年齢要件』によって初めから完全に除外されているからである。

人生の晩年になって人恋しくなり気弱にもなったお金は持っている高齢男性が、結婚相談所(婚活サイト)に登録している場合には、一般的な若い男女の結婚願望とは大きく異なる『男女のカップリングの盲点』が生まれる。

こういった高齢男性は、結婚相手に『若さ・美しさ・性的魅力』などは殆ど求めておらず、『一緒にいて安らげる女性・身の回りの世話や介護をしてくれそうな女性・最期まで離れずに人生に寄り添ってくれる女性』を優先的な条件として探している。

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