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橋下徹市長の『慰安婦発言』から戦争と性の問題を考える2:男性原理と女性原理

近代以前の戦争では、占領後の一時的な略奪・強姦を徹底して禁止すれば、指揮官そのものが部下たちに殺されるというケースもあった。『共和政ローマの拡大』にせよ『十字軍の派遣』にせよ『戦国大名の天下一統』にせよ『ロシア革命・太平天国の乱・辛亥革命』にせよ、建前としての正義(大義名分)の背後には、末端の兵士たちの誇ることができない略奪・乱暴・強姦(戦争の分かりやすい報酬の容認)もあった。

総力戦で泥沼化・長期化した第二次世界大戦の時代は、戦争に参加したほぼ全ての国が『男女同権の普通選挙』さえ認めていない“男性中心主義(家父長制)・男性原理”で運営されており、『男性が女性を支配(保護)する・女性が男性の権威(偉さ)を立てる』という意識によって、総力戦の遂行が可能な社会の空気を醸成していた。

女性主義・女性原理が強くて男性中心の戦争に協力しない国、女性が必ずしも男性の権威(家長としての役割)を承認しない国では、総力戦(戦争)はおよそ実現することが難しい。女性で『戦争もやむなし』という価値観や考え方をする人はやはり男性よりも少なく、現代においても戦争紛争・テロリズムが多く発生する地域・国は、『男性中心主義・男性原理で運営される国(女性の権利や発言力が弱い国)』になっている。

戦争や国防のモチベーションを上げる方策として、戦争に負ければ(抵抗せずに従えば)自国の女性、妻・娘・恋人が敵国の男たちに蹂躙されて強姦されてしまうという『戦意高揚のプロパガンダ』は定型的なものだ。

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