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『農協改革』を推進しようとする自民党の内部対立と農協が果たしてきた役割が通じない時代の到来

農協は農家間の競争原理を抑え、規定の農作物を生産すれば利益が出る買取制度を維持し、銀行がない田舎の金融ネットワーク(農業近代化の融資網)を作ってきた実績がある。

農協が介在する『農家のサラリーマン化・安定収益』が歓迎された時期も長かったが、『農家の高齢化・市場原理(グローバリズム)の圧力』によって、今まで通りの農政や農協依存の農業を続けていける目処が立たなくなってきた。

<農協改革>揺れる自民 選挙実動部隊、無視できず

農協に加入して規定の作物を生産し減反制度も利用すれば、『食いっぱぐれリスク』を回避しやすいメリットは大きかった。当初の殆どの農家は『生産した米・野菜・果物』をどのように市場に流通させるか、価格をどうするかなど『商売のノウハウ』がなかった為、生産以外の部分を丸ごと面倒見てくれる農協は必要だった。

時代は変わり保護された農業は『自力で稼げる競争力』を失い、『農家の後継者不在・高齢化進展・耕作放棄地の増加』によって、日本の農業の持続可能性そのものが危ぶまれている。農業従事者の平均年齢は60歳を超えるが、農地転売の規制など岩盤規制や高齢者の農地へのこだわりによって、農業改革の歩みは遅い。

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“減反”という米の計画生産システムの終焉は何をもたらすか?:TPPの荒波と“米(瑞穂)”に対する日本人の宗教観

米(コメ)は大量生産が可能な農作物であり、自由競争経済ではかなり安い値付けがされるため、日本のコメは『減反による生産量+市場価格の調整+輸入の禁止(外国米への778%もの高率の関税)』によって守られてきた。しかし政府は農業の成長戦略の一環として、今までの減反政策の廃止も含んだ抜本的な見直しに着手する構えだという。

外国産の米には1kg当たり341円もの異常な関税がかかるのだが、これは実質的に『日本は外国企業がどんなに安価で良質な米を持ってきても輸入はしません』という国際貿易の禁輸シグナルとして機能している。

日本人はこの関税障壁によって国産米以外の米の選択肢がないわけだが、日本の米は『減反・供給元による価格調整』があるので市場原理とは異なる形で定価が決められており、外国産米の約4倍以上の価格で消費者は米を買うしかない(米は世界的には非常に安価な主食だが国内では比較的値段が高い)。

日本の米の市場規模は約1.8兆円規模、この小規模な個人経営の農家群が担っている計画生産体制を支えるために、『農家戸別所得補償の約5000億円+消費者の市場価格以上の負担約数千億円』が投入されているという試算がある。

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