佐世保市高一殺害事件と加害者のパーソナリティー形成:マンションの一室・大金(現金100万円)を与える親子関係の問題

小動物の殺害・虐待は共感性や道徳観念を欠く行為障害(反社会性人格)の兆候で、サイコパスの生活歴に含まれやすいが、『親子間の愛着・対話・感情の共有』が欠如した家族歴の問題も想定される。

<高1同級生殺害>冷蔵庫に猫の頭部 現金100万円も所持

弁護士・資産家とされる父親は、謝罪文の文面を見ると法律家・常識人としてまっとうな文章を書いているが、父親の『生活態度・女性関係・妻や子供との向き合い方』などを見ると『子供のためにできる最善のことをしてきたつもり』の部分には疑問も感じざるを得ない。社会的地位や公的言動を踏まえた外面はしっかりしてるが。

海外のサイコパスや大量殺人犯の生育歴は様々ではあるが、経済的には比較的裕福な家庭で育った者もいて、『金銭と愛情を混同させるような育て方・親との愛着(アタッチメント)や共感感情の欠落・虐待や差別感情(世の中には生きる価値のない人間がいる等)の正当化』が人格形成に一定の影響を与えたと推測される例もある。

親子間に一定以上の信頼関係や親密感が成り立っていれば、『高校生での一人暮らし・大金を与える事』は人格形成への悪影響にはならず、むしろ『ラッキーという反応』になるが、親密・共感の少ない関係では『当たり前のような大金』が『自分に愛情・関心がない事の埋め合わせ』という逆の受け取り方をされる恐れがある。

お金が貴重な多くの家庭では『子供にお小遣いの金銭を与えること=愛情』にもなるし、大金をくれという子供がいれば『冗談言うな、そんな金あるかw自分で働いてから…』という話題のネタにもなるが、当たり前のように大金を与えて子供に関心の薄い親がいれば、子供は『金銭=代替可能なものの象徴』と受け取りやすい。

子供の人格形成には『自分をかけがえのない存在として大切に接する親(養育者)との関係』も影響するが、『モノ・金銭を愛情や関心の代わりにする育て方』は、親にとって別に自分でなくても良いのだという『人格・生命の代替可能性の意識』を助長する。人格の唯一性や人の命の平等な尊さを、親との共感・対話から学びづらい。

こういった育て方に加えて、『人間の生命や人生には価値のランクづけがある・あいつは人生の落伍者(底辺)だ・成功しない人生や貧しい人は価値が乏しい・職業や地位によって人の価値は異なる』といった冷淡な差別意識や人間の切り捨てを親が無意識的にしている家庭でも、『生命や人格に対する尊重』が欠落する恐れがある。

サイコパスのような情性や共感の欠如を促す価値観伝達では、親が小さな子に対して『ホームレスは人生の敗北者・社会のゴミで死んでも構わない』『別れたお前の母親は薄汚い売春婦のような女だった』『勉強ができない良い仕事ができない人間は社会の落ちこぼれ(そうなりたくなければ頑張れ等)』など露骨な差別発言がある。

反社会的パーソナリティーは先天的な気質・性格に、『好ましくない親子関係・家庭環境・価値観伝達』が重なることで段階的に形成されていくことが多いと思われるが、情性欠如というのは『一緒に喜怒哀楽を共感できる親しい他者(親・兄弟)がずっといないという経験』とも相関する。極端に無感情・冷淡となり興味関心も偏る。