恋愛離れの若者に『お見合い結婚』のすすめは効果があるのか?:お見合い結婚と恋愛結婚の時代背景の違い

すぐにでも結婚したいが恋愛が苦手な人・出会いがない人で、経済基盤がしっかりしてればお見合いも効果はあるが、成婚数でのお見合い結婚の復権は考えにくい。
若者の恋愛離れ対策に「お見合い復権」ってどうなの? 恋人いない男性7割という状況を変えられるか

昭和の皆婚期にはお見合い結婚率は確かに高かった。『結婚しなければならない常識・義務・焦り(結婚しない人生の度外視・困難)』と『家柄・階層・肩書きの釣り合いの考慮』があり、『自由恋愛・好きな人・個人の嗜好とは異なる社会慣習の原理』で周りの干渉を受け結婚する事に違和感を感じにくい時代背景の影響がある。

そもそも若い世代の恋愛・結婚離れの原因は、『経済的要因(雇用・所得・将来の不安定,結婚・子供を最優先で生きる構えのなさ)』と『心理的要因(自分と釣り合ったり向こうから来る相手の拒絶、選別や高望み)』と『社会・技術要因(ネット・娯楽・サービスによる代理満足による時間・労力分散)』が複合している。

お見合い結婚の成婚率は『紹介者・仲人の顔や面子』の義理に関わったもので地域・親族のお世話になっている顔利きが『客観的な条件が釣り合っていると見立てたお見合い相手(それなりのイエの背景もある)』を断ること自体困難であった。そういう義理の強制抜きのお見合いなら今の婚活・相談所からの恋愛と余り変わらない。

『週末婚・別居婚・共生婚・契約婚』など様々な『プライベート重視の新形態』が模索されている事などは、子育てや真剣な夫婦・人生へのコミットの面で甘いと批判されることも多いが、『日常生活・家事を円滑にこなす為に奥さん(旦那)が家にかかりきりにならなければならない必要度』が弱まった事も関係する。

近代が成熟して婚姻数・出生数が減った第一原因を端的に言えば、個人主義・自由主義・恋愛もあるが、根本は子供も配偶者も『生きていくのに必須の労働力のメンバー』ではなくなったからだ。昔は好きだの嫌いだのいう以前に『夫婦・家族=生きていく為、農業家業を維持する為の最小共同体』で、絶対に必要なものだった。

婚姻率が極めて高くて子供の数も多い国・地域ではほぼ例外なく『夫婦・家族=生きていく為あるいは農業家業を維持する為の最小共同体』として機能しており、『配偶者・子供=自分と家族が生き抜いていくために欠かせない労働力(子供は特に農業社会では直接的な労働力再生産)』になっている。

現代でこそ美人・可愛い・イケメン・爽やかや生理的に合う合わない受け付けるか否か等の外見・印象の魅力を見る人は多いが、戦前戦後までの第一次産業主体の社会や見合い・地縁血縁が生きた社会では理想の嫁は『汚れ作業に耐える働き者で子供が沢山産める丈夫な女性』で性的魅力やお洒落の過ぎる女性は逆に敬遠された。

お見合い結婚で皆婚に近づけていった時代背景を考えると、男尊女卑や性別役割分担、個人の権利や自由の弱さが違うというのがあるが、根本の違いは『最低限の生存維持(日常生活遂行)のために必要なマンパワーの多さ』なのだ。昔は夫婦・子供・親族などが一緒に協働しなければ炊事・掃除・洗濯をこなす事さえ難儀であった。

家電・サービス業やコンビニ・外食産業もあるが、近未来ではAI・ロボットが加わって、『日常生活を送るのに絶対必要なマンパワー』は減っていくと予測される。男女関係を含む人間関係が『実際的なニーズ』よりも『精神的・嗜好的な満足度(癒し・安らぎなど必需性の弱い感性的なもの)』に偏倚する恐れもある。

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