フィリピンのドゥテルテ大統領の機会主義な外交戦略,三笠宮様逝去で服喪する天皇陛下がドゥテルテ大統領との面会中止!

○フィリピンのドゥテルテ大統領の内政指針は『ゼロトレランス+ポピュリズム』であり、外交戦術は『実利的なオポチュニスト(機会主義)』だから、日本の安倍晋三、中国の習近平のどちらかだけの不動の盟友にはならない。

南シナ海問題「日本側に立つ」=比大統領

ドゥテルテ大統領の言動を見ると『南シナ海の領有権問題』に限らず、『米国に対する強気な同盟離脱発言』にしても、目の前にある相手と状況に応じてどちらにより強く味方するかのポーズを調整している。『真意が分からない』のではなく『真意を敢えて可変的にする』だろう。領有権問題では中国の力の論理と距離を置きそう。

実際に比米の首脳会談があれば、正面から合衆国大統領に対決姿勢で臨むとは考えにくいのもあるが、同時に中国に対して常に味方するとも考えにくい。常識的には『旗幟を鮮明にしないブレ』は同盟関係や安全保障の信頼を損なうが、フィリピンは領土・外交・軍事で揺れ動くキャスティング・ボートとして影響力を高める利もある。

ドゥテルテ大統領は麻薬犯罪者の即決裁判による殺害方針も転換する姿勢を見せ始めており、ポピュリズムで暴言を吐く独裁的な側面もあるが、半分は過激なことでも何でもやるという印象づけをするポーズのような感じがある。話し合いの不可能な北朝鮮的な暴言・暴挙とは質が異なり、戦略的な機会主義者の狙いがあるのだろう。

○三笠宮崇仁様の100歳での大往生を受けて天皇陛下がフィリピンのドゥテルテ大統領との面会をされるのかが注目されたが、7日間の服喪(11月2日まで)のため中止される事になったようだ。服喪期間は三笠宮妃百合子様は90日、三笠宮家・高円宮家の皇族は30日。1915年の100歳、第一次世界大戦期のお生まれか。

現代で100歳以上まで生きる人は大勢いるが、認知症症状がなく明晰な自意識・理性と言語能力を維持していたという点で、三笠宮様の健康寿命は長くて生命力が強かったと感じる。天皇の生前譲位を認めるべきとの持論にまつわるニュースも出ているが、2003年に三笠宮様は憲法と整合する皇室典範改正私案を出していた。

三笠宮様は戦後憲法と皇室典範制定時に『天皇の生前退位を認めていないこと・天皇が死ななければ地位を去れないことの問題』を指摘し、その論拠に『百年に一度ぐらいでも存命の天皇が譲位せざるを得ないやむなき事情(脳死・認知症・寝たきり等を想定か)も有り得ること』と『最小限の基本的人権としての譲位』を上げた。

ただ100歳まで長生きして高齢であるというだけでなく、『歴史の生き証人』として語り継げるような知識・経験・教養・意欲を持った人物は稀有で貴重なお方だったと思うが、昭和天皇の末弟が28年の後にこの世を去った。いよいよ『昭和の歴史・戦争の時代』が遥かな遠景に霞んで消えいこうとしているかのように感じる。

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