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広島県の女性集団暴行死事件と『家庭機能・学校‐就職の経路・共同観念』を喪失した少年少女の集団心理:1

広島県呉市の灰ヶ峰で若い女性の遺体が発見され、16歳無職の女性が自首してきた事件は当初から『車を運転したり遺体遺棄を幇助した共犯者の存在』が疑われていたが、出頭してきた6人の友人知人が逮捕されたことで新たな展開を見せた。報道では、『LINE』を通じて少女が友人たちと殺害事件に関連する情報・意見のやり取りをしており、警察にその情報の履歴を詳しく解析されれば『共犯者(自分たち)の存在』を隠し通すことはできないと観念したのかもしれない。

『殺害の動機』については、少年少女のグループが仲間内で営業していたとされる『違法な接客業・(私営の性風俗業か)』から上がる『利益の配分』を巡って被害者女性と揉めていたとも伝えられる。

加害者の女性が、昔からの友人だった学生の被害者を私営デリヘルに誘ったことが事件の発端ともされる。『ドロップアウト型の不良集団・違法ビジネス』での金銭が絡んだ仲間割れ(信用崩壊)が、『加虐と同調の制裁的な集団心理(仲間を裏切ったのだからこれくらい罰せられても当然とするローカルルール)』によって殺害までエスカレートしてしまったケースのように見える。

価値観や生き方、利害、仲間意識の共通点で結ばれた反社会的・カルト的な小集団が、『集団の規律を破った仲間・集団から離脱しようとした仲間』を殺害(粛清)してしまう事件は、連合赤軍事件(山岳ベース事件)やオウム真理教事件、暴力団・暴走族関連の事件をはじめとして過去に多く起こっている。性風俗やドラッグ、振り込み詐欺などのアングラビジネス(違法ビジネス)で金銭トラブルの仲間割れを起こして、今回と同じような図式で『利益配分に納得しない仲間(役割を果たさなかったり不正に多くの金銭を盗んだ仲間)』を殺害して遺棄するような事件も過去にあったりした。

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ローソン店内の悪ふざけに限らず、インターネットの文章・写真の投稿では『社会全体に公開しているという意識』が必要。

コンビニチェーンの『ローソン』の店内でアイスクリームを販売する冷蔵ケースの中に従業員(22)が入って寝転がる様子を撮影した写真がFacebookに投稿され、『不衛生ではないかという指摘・クレーム』を受けて、本社が高知県高知市にある高知鴨部店とのフランチャイズ契約を打ち切ったというニュース。

コンビニ店員がアイスの冷蔵ケース内で寝転ぶ写真、Facebookに ローソンが謝罪、FC契約解除

従業員が経営責任のあるオーナーの親族であったことから、全国的な価値を持つローソンブランド(特に食品を取り扱う商売をする上での衛生管理・清潔なイメージ・そのための従業員教育)を毀損する悪質な契約違反行為であると本社が判断し、『冷蔵ケースの廃棄・親族の従業員の解雇・フランチャイズ契約の破棄』という厳しい措置が取られた。

全国展開するチェーン店で働いているアルバイトの若者(学生)が、そのブランド価値を毀損するような悪ふざけや迷惑行為をして、その現場を撮影した写真・動画をSNSやブログなどで面白半分で投稿した結果、SNS(ブログ)が激しく炎上して本社にまで苦情が入りリアルでの制裁・処分を受けるという事例は過去にも何件か起きている。

チェーン店や仕事中の調子に乗った悪ふざけに限らず、若年層を中心にして『現実社会では許されないことだが、仲間内だけであれば看過されやすい悪事(悪ふざけ)』をウェブに投稿して大騒ぎになった事件は多い。また、若者だけではなく、現職の岩手県議会議員(故人)が、自分を順番待ちのための整理番号で呼ばれたことに『ここは刑務所か』と激昂して医療費を踏み倒す『病院でのモンスタークレーマーぶり』を自己顕示的にブログに書き付けて炎上したような事例もあった。

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広島県の16歳少女が自供した同級生の殺人事件に関する動機の連想:『友情関係の変化・崩れ』が影響した可能性

容疑者とされる16歳の無職の少女は『車で二人で灰ヶ峰の林道付近にまで行って口論となり、殴ったり首を絞めたりして殺害した』という供述をしている。16歳では自動車の運転免許が取得できないことや誰の車を使用したのかが明らかになっていないこと、殺さなければならないほどのどんなトラブルがあったのかなど、客観的な事実関係や口論の原因は曖昧である。

猛暑の影響で遺体の腐乱が激しく死因の特定も困難なようであるが、供述通りに凶器を用いない『素手での加害行為』であったのであれば、本当に16歳少女が相手が死ぬほどの攻撃・絞首を加えられるのかに疑問も残る。16歳の無職少女が単独犯でやったのか、車を準備したり殺人を実行(幇助)したりした共犯者(あるいは主犯格)がいるのか、身代わりになって誰かを庇うために自首してきたのかは不明である。

16歳男性による喧嘩・強盗などの結果としての傷害致死などの事例はあるが、16歳の女性の物理的加害による殺人というのは極めて珍しいように思う。被害者と見られる高等専修学校の女子生徒も加害者として名乗り出た無職の少女も、父親のいない母子家庭であるが、学校を中退した無職少女が『職業選択・人生の進路』といったこれからどうやって生きていくか、今の自分は何をすれば良いのかについて悩んでいた事は容易に想像される。

時代状況・雇用市場の変化も急であり、親もおそらく学校をやめた娘に『真面目に何かの仕事を見つけてしなさい』といった以上の進路の方向性を指し示すことは困難だったのではないかと思う。学校をやめた理由も、本人が学校生活・人間関係に適応できなかったり学業への意欲を失ったからであれば納得がいきやすいだろうが、家庭の事情でやめなければならなかった場合などにはどうして自分だけがという腐った気持ちにもなりやすい。

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日本を含む先進国の若年層の雇用情勢・給与水準は当面改善しづらいが、日本は『労働環境・ブラック企業』の問題もある。

20世紀の後半には、『日本・アメリカ・EU先進諸国』に生まれてそれなりに勉強をして能力に見合ったエスカレーター型の就職をするだけで、世界的にはトップレベルの所得と生活水準が保障されるという『先進国の黄金時代』だった。

だが21世紀のグローバル化とウェブ社会の本格化を受けて雲行きが変わり、BRICsやVISTAに代表されるかつての途上国・新興国の産業成長の追い上げが急激となり、先進国が製造業のコスト競争に敗れて、コモディティティな第二次産業の国内雇用(特別な技能・資格がなくても平均所得を得られる雇用)が外部に流出する流れを止められなくなった。

大企業社員・公務員など一部の既得権に守られた業界の雇用は現状でも長期的に保障されているように見えるが、大企業であれば『国際競争・生産拠点(本社機能)の移転・グローバル人材登用』のリスクがあり、公務員であれば『財政危機・公務員制度改革のソブリンリスク』があるため、いずれの雇用でも自己の汎用的スキル(その組織の外部でも通用する何らかの特技実績・技術・資格)がなければ『終身雇用の安心感』を持ちづらくなっている。

ゼネラリストからスペシャリストの時代へが本格化し、就職した会社・役所の社内(役所内)キャリアだけで管理職にまで上がった人でも、リストラや想定外の懲戒で梯子を外されると本当に『代替的な同水準の正規雇用』が見つかりづらくなり、非正規のアルバイト的な働き方しかできなくなる不安は大きい。中国やインドといった新興国が、自然科学の基礎知識と実用英語の習得を踏まえたサイエンス教育に熱心に取り組み、『特定分野のスペシャリスト(英語で専門技能を活用できるグローバル人材候補)』を輩出することを大学教育の実利的目的に据えている所以でもある。

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日本文化の基底にある義理人情・任侠精神とヤクザの相関:権力や法の支配の及ばない領域が広かった時代

そもそも、日本において理性的な法治主義や司法に訴える非暴力主義が本当の意味で根付いてきたのは昭和末期から平成期にかけてであり、それ以前の日本人が『どんな時にも暴力を振るってはいけないという価値観』を共有していたわけではない。

『仲間を裏切った者には暴力的な制裁があっても当たり前・帰属集団に迷惑や危害を加えた者は暴力で多少痛めつけられても良い・言葉で言ってもどうしても分からない奴は暴力で無理矢理に従わせるべきだ』というのはヤクザの仁義・道理であるが、こういった価値観・倫理観はヤクザに特有のものだとばかりは言えず、一般の日本人の中にも形を変えて存在することがあるものである。

友達のグループから離脱する時にいじめられたり嫌な思いをさせられる人もいれば、暴走族などの不良集団から抜けようとして集団リンチを受けた人もいて、個人経営の土木建設業の会社を辞めようとして社長含む荒くれの古参社員からリンチを受けるという事件が起こったこともある。事業規模としては大企業といって良いユニクロやワタミや日本マクドナルドでさえも、『辞職する自由』はあるが従業員を酷使したり暴言で恫喝したり過労死させたりする『ブラック企業』としての側面が批判されていたりもするが、政府は経済的利益や雇用のボリュームを優先して現状以上の指導監督をしようとはせずに労基法違反を放任している。

言葉で言っても不健全な生活態度やひきこもりの問題が変わらないからという理由で、戸塚ヨットスクール・長田塾などに代表される『暴力的な強制・脅し』も辞さないスパルタ教育の私塾を肯定する日本人も少なからずいる。『言ってもわからない奴』には暴力を振るって言うことを聞かせても良いとする、ヤクザの仁義とも親和する価値観(法治主義・人権規定の例外も必要だとする考え方)は意外に日本社会に根強くあるように思う。

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シェアハウスは『合意による家賃折半』と『業者の脱法ビジネス』かで全く実態は変わる。

都心部の家賃の高さと雇用の不安定化・低所得化によって、『家族以外の他人』と一つの部屋の家賃を折半するシェアハウスが増えている。メディアでは家賃が数十万円以上する床下面積の広い高級物件を、定職のあるシングルマザーがワリカンで賃貸する『プチセレブなシェアハウスの事例』なども取り上げられていたことがあるが(仕事で長く留守にする時や子どもが病気になったりした時にはお互い様で助け合いやすいなどのメリットもあるが)、その対極にあるのが『貧困ビジネスとしてのシェアハウスの事例』だろう。

脱法ハウス:窓無し3畳半に2人 退去強要、行き先なく

同じシェアハウスでも『気の知れた友人知人(信頼できる相手)との快適なシェアハウス・自分の部屋がある同居』と『利益至上主義の業者(大家)が管轄するシェアハウス・狭小なスペースへの押し込み』では全く異なるわけで、『6畳以下の狭い部屋に2人以上を強引に詰め込む型』は、ただ寝るためだけに屋根がある場所を提供する貧困ビジネスである。

外と換気できる窓さえない狭い部屋への詰め込みは、安全上の問題があり消防法に違反している疑いもある。それ以上に、自由に動いたりのんびりくつろいだりできる専有スペースがほとんどなく、風呂・トイレも共有で遠慮しなくてはならない『精神的ストレス・作業効率や集中力の低下』の問題は大きく、基本的に一日の大部分を屋外で過ごすライフスタイルにならざるを得ないだろう。

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