シェアハウスは『合意による家賃折半』と『業者の脱法ビジネス』かで全く実態は変わる。

都心部の家賃の高さと雇用の不安定化・低所得化によって、『家族以外の他人』と一つの部屋の家賃を折半するシェアハウスが増えている。メディアでは家賃が数十万円以上する床下面積の広い高級物件を、定職のあるシングルマザーがワリカンで賃貸する『プチセレブなシェアハウスの事例』なども取り上げられていたことがあるが(仕事で長く留守にする時や子どもが病気になったりした時にはお互い様で助け合いやすいなどのメリットもあるが)、その対極にあるのが『貧困ビジネスとしてのシェアハウスの事例』だろう。

脱法ハウス:窓無し3畳半に2人 退去強要、行き先なく

同じシェアハウスでも『気の知れた友人知人(信頼できる相手)との快適なシェアハウス・自分の部屋がある同居』と『利益至上主義の業者(大家)が管轄するシェアハウス・狭小なスペースへの押し込み』では全く異なるわけで、『6畳以下の狭い部屋に2人以上を強引に詰め込む型』は、ただ寝るためだけに屋根がある場所を提供する貧困ビジネスである。

外と換気できる窓さえない狭い部屋への詰め込みは、安全上の問題があり消防法に違反している疑いもある。それ以上に、自由に動いたりのんびりくつろいだりできる専有スペースがほとんどなく、風呂・トイレも共有で遠慮しなくてはならない『精神的ストレス・作業効率や集中力の低下』の問題は大きく、基本的に一日の大部分を屋外で過ごすライフスタイルにならざるを得ないだろう。

快適なシェアハウスであるか否かは、『お互いの間に好感度・信頼感があるか否か(相手のことを居なければいいという風にただストレスに感じるのではなく、たまに顔を合わせて楽しく雑談できるような関係にあるか)』『ある程度のプライバシーが保てる自室(専有スペース)の有無』と『風呂・洗面台・トイレ・キッチンなど水回りの使用人数の少なさ(使用時間帯の分散)』にあるが、面積が広い高級物件では風呂・トイレが2つずつあるようなところ(二世帯住宅のような間取り)もある。

一般の賃貸物件を借りる際には、『職業・勤務先・年収・保証人などの審査』があるので、年収の少ない非正規雇用者や無職者、少額の年金受給者では審査を通らない恐れがあり(よほど現金・資産を持っている人ならその限りではないが)、その場合には必然的に入居者を問わない審査の緩い(大家が同意さえすればいい)格安物件かシェアハウスのような物件に行き着かざるを得なくなる。

仕事・所得が安定しておらず、帰ることのできる実家(自分で購入した持ち家)もない場合には、快適空間からはほど遠い格安物件・詰め込み型のシェアハウスであっても、ホームレスになるよりかはマシで背に腹は変えられないという話になり、住宅関連のグレーゾーンな貧困ビジネスも、都市部の需要の多さに支えられている。

6畳未満の部屋一つで家賃5万6千円というのは都心の家賃の高さを象徴する話だが、政令指定都市(地方の中核的都市)であれば家賃5万を出せば築年数の浅い1LDK以上の部屋を借りられるし、7~9万も出せば(家賃10万以上の物件は地方都市部では多くない)3LDK以上の家族で住めるようなマンションの部屋を借りられるだろう。

東京都心部でなければ雇用がないとか、やりたい仕事の夢を叶えられないという話もあるが、貧困ビジネス化している窮屈なシェアハウスに住まざるを得ない仕事・収入の状況であるなら、家賃が安くなる地域に引っ越してそれなりに稼げる仕事を探すか、バイトを掛け持ちでもしたほうが生活の満足度は高まりそうな気もする。