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沖縄県知事選で“辺野古移設反対派”の翁長雄志氏(前那覇市長)が当選

宜野湾市の『普天間飛行場』は、市街地上空を米軍の戦闘機や輸送ヘリが頻繁に飛行する日本で最も危険な駐留米軍基地であり、日米軍事同盟の負担が偏って集積している『沖縄県の政治的位置づけの象徴』でもある。

普天間飛行場は自公政権下のアメリカとの交渉によって、普天間よりは県民への危険性が低い『名護市辺野古沖の埋立地』に移設されることが決定していたが、民主党の政権交代時に鳩山由紀夫元首相が『県外移設』を切り出したことで、米軍基地の半永久的な滞在を歓迎しない沖縄県民の本音が噴出した。

鳩山氏が米国との具体的な県外移設交渉を進展させられずに暗礁に乗り上げたことで、『普天間飛行場』は再び辺野古沖移設の前案に差し戻された。だが、いったん県外移設の夢を見せられた沖縄県議と過半の沖縄県民は『県外移設案』に留まり、自民党の沖縄県議にも自民党方針に逆らう県外移設を主張し続けて、除名処分を受ける者が少なからず出ている。

沖縄県知事選 翁長氏が初当選

沖縄県知事選では、普天間飛行場の辺野古移設を沖縄県の産業振興・雇用促進の地方交付金と補助金の増額(グアム移転・嘉手納基地返還を含む基地負担の包括的軽減策)によって認める方針であった現職の仲井真弘多(なかいまひろかず)前知事は落選した。

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参院選の論点:第96条・第9条からの自民党の憲法改正の姿勢をどう見るか。

日本国憲法はアジア太平洋戦争(大東亜戦争)の敗戦と総力戦の甚大な被害を受けて制定された国民主権の憲法であり、『天皇主権・国体思想』によって教育した国民(臣民)を皆兵化・道具化したり思想・言論の統制をしていた時代の終焉を宣言する役割を果たした。

無条件降伏を要求するポツダム宣言には、軍事的・統制的(人権抑圧的)な政体の変革、そのための民主的な憲法制定の義務が含まれていたため、GHQの啓蒙主義的・社会契約論的な憲法改正草案を下敷きにして、日本政府が改正草案を完成させ帝国議会で審議し可決した。

戦争被害によって家族や家屋、財産を失って悲惨な状況にあった当時の国民、満州国や戦地からの引き上げの過程で途端の苦しみを味わった人たちの大半は、敗戦によるそれまでの信念・目的の挫折(大本営発表の虚構性への憤り)を味わいながらも、憲法9条の『平和主義・戦争放棄』を好意的に受け容れた。

戦争の被害や危険は、『外国からの攻撃・侵略・謀略』だけによってもたらされるものではなく、むしろそういった仮想敵の危機や難局打開の好戦意識を煽る『自国の支配体制・貪欲な権益追求・教育内容・軍国主義・国民の兵士化(近代国家の戦争機械としての側面)』からもたらされることが多いことを、敗戦時の日本国民は自らの実体験を踏まえて感じ取っていたからである。

国家権力が国策としての戦争を遂行できない、国民が強制的に徴兵されない、勇敢な兵士・忠実な臣民を理想とする軍国主義(戦時動員体制)が再燃しないという憲法9条は、現在では当たり前のものとして恩恵が感じられにくくなったどころか、逆に『平和主義が無抵抗主義のように受け取られて外国に舐められる・憲法9条が国防を危うくして外国に侵略される・軍事力には同等以上の軍事力を持つことで抑止力を形成すべきだ・軍事的威圧を与えられない憲法9条が日本を骨抜きにしている』といった改憲派の批判の標的にさえなっている。

グローバル経済の進展による『国家間の貿易・資源・市場の相互依存性』や『文化交流(民間交流)・トップ会談・普遍的人道的な理念による相互理解』によって、日本・アメリカと中国が全面的に軍事衝突する可能性はまずない。だが、『経済・文化・生活のレベル』よりも『軍事・暴力(喧嘩)・理念のレベル』だけで国際情勢や外交を考える人は、仮想敵に設定する中国・北朝鮮が憲法9条があるために(すべての経済利益・国際社会の信任・国民生活の維持・事後の体制の持続性を捨てて)核ミサイルで不意討ちしてくるかのような恐怖心に囚われることもある。

憲法9条に関する根本的な誤解として、現状の解釈改憲でさえも『集団的自衛権』が行使できるという識者がいる状況なのに、9条が外国からの先制攻撃に対して防衛して反撃する『個別的自衛権』までも放棄しているという誤解がある。攻撃されても一切反撃できないとか、無抵抗主義で殺戮されるとかいう間違った条文解釈が為されていることも少なくない。

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日本をはじめとする先進国の投票率の低さとシステマティックに運営される民主主義国家の疲弊

自由民主主義で運営される国家は成熟期を迎えると、『国家による国民の権利侵害のリスク』が低下することによって、国民の国家・政治に対する興味関心は落ちる傾向がある。あれほど大統領選挙がフィーバーしているように見えるアメリカ合衆国でさえ、『大統領選と同時開催の国政選挙』で60%の投票率に行くか行かないかであり、単発の中間選挙では40%台にまで低下するのである。

ドイツやフランス、イギリスといったEUの大国が、概ね日本と同じ程度の投票率で40~60%台を行き来しているわけだが、『民主主義の成熟・国家権力の無害化』によって起こる投票率の低下を防止するために、イタリアやオーストラリア、シンガポールのように『投票の義務化』を行っている国もある。北朝鮮・旧イラクのような独裁国家も国際社会に民主主義をアピールするため、『選択肢のない信任選挙(武装警官に監視された投票所での実質的な一党独裁体制・独裁者肯定の追認選挙)』を行っているが、これは結果ありきの形式的な投票で意味はない。

罰則・罰金つきの義務化を行った国であれば90%以上の投票率にはなるが、『イタリアの財政内政・国際的影響力』が低迷しているように、投票率が高くなればなるほど国民生活が良くなったり国家の基盤が強くなったりするわけではないので、単純に投票率が上がれば政治の諸問題が片付くとは言い切れない面は残る。イタリアでは積極的に投票する『フリーライダー層』の増大が問題視されているが、フリーライダーというのは公共投資や福祉政策といった税の再配分を求めつつも、自分自身の負担増加には強く反対する層である。

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参院選の演説中に民主党の鈴木寛元文科副大臣が殴られたということだが。

参院選の選挙運動は衆院選と比較すると格段に静かであり、住宅街まで選挙カーが頻繁に回って大声で候補者名を連呼するようなことも少ない。

政党支持による固定票・組織票はほとんど動かないので、日本の選挙運動は『候補者名・政党名の連呼による刷り込み』と『対立候補(政党)が政権を取った場合の危険性・負担増加の訴え』に尽力することになるのだが、演説を聞いてみてその人に投票してみようという変化を起こしてくれる有権者層もやはり一定の割合でいるのだろう。

『政治・政党のことは良く分からない』や『党利や私欲に走らずにとにかく国民の生活が良くなる政治をして貰いたい』という無党派層・(選挙時以外の政治に対する)無関心層に対しては、たまたま聞いてみた街頭演説の効果はゼロではないのだろう。

しかし一般的には、初めからある程度支持している政党や候補者の演説を意識的に聞いて、『自分の支持する感情・基準の再確認』をしている層のほうが多いだろうから、『初めから支持していない政党・候補者』の演説を聞いてみて投票先を変えるという有権者は相当に少ない気もする。

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東京都議選の自公の圧勝。参院選も自民が圧勝する可能性は高いが、その『憲法観に見る理念・楽観的な公約』には懸念も多い。

円高を是正して株価を一時的にせよ押し上げた“アベノミクス”の評価もあるが、理想倒れに終わった民主党政権の失策と失望によって、政権を取る前までは二大政党制の可能性があった『民主党』自身が自滅した恰好になった。

東京都議選:自民59人全員当選 第1党奪還 民主惨敗

都議選の大勝は自民党の支持が一挙に高まっているというよりは、少しでも『現実味のある政策・地に足の着いたビジョン』を出しているように見える政党が、もはや自民党しか見当たらなくなり、票を投じたいと思える政党のバライエティが失われたということ(政治への無関心)の現れである。

金融緩和・財政政策によって財政悪化は着実に進むことになるが、株式市場を刺激する以外には実体経済の成長戦略に説得力がないアベノミクスは、長期的には公的債務を積み上げていくつかの株式市場の好況の波を残すだけで失敗する恐れも強い。

自民党中心の保守政権への懸念は、財政再建・国民所得への還元率を無視した経済政策にもあるが、それと合わせて、個人の自由権を軽視して国家全体の秩序・規律の強制力を強めようとする『憲法改正の内容(米国追随の集団安保と権利規制)・人権感覚の低さ・対外政策(中朝の軍事的・領土的脅威論を煽っての防衛費増額)』なども、衆参で3分の2以上の多数派勢力を得た場合には現実的な問題になってくる。

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