過去の小学生時代の怨恨が関係か?高校3年生が小学生時代の同級生と家族を切りつける

小学校時代の「いじめ・恐喝」に対する意趣返し(復讐)のようにも読めるが、「実力行使(暴力行使)の自力救済」は近代法では違法行為として厳しく禁じられている。だが、子供のいじめの責任追及やその場での反撃は難しく、「奪われた自尊心・学生時代の時間」を取り戻すかのような報復に出る人もいるのだろう。

元同級生ら切りつけた疑い 逮捕の高3「金取り返しに」

今回の事件の過去にどういったことがあったのかは定かではないが、仮にいじめ・恐喝があったとすると、その加害者は昔のやり取りを忘れていても、被害者は自分がされた行為や屈辱的な出来事をいつまでも忘れられず覚えているという事でもある。

「人の嫌がること・相手に恨みを残すようなこと」は子供のいじめに限らず、極力しないに越したことはない。いじめの加害者も家庭問題(親子関係の悩み)や劣等コンプレックスがある事は多く、いじめによる仮想的優越感で自分を支えている者もいて、事前にいじめ関連行為を完全に抑止することは難しい。

対等な人間関係の中での「単純なカネの貸し借り(単純にお金を返してくれなかったという問題)」で、刃物で相手の家族まとめて刺しに行くのはちょっと考えにくいので、お金を貸したというよりは無理やりに脅し取られたという印象は受けるが。

いじめられていて一見すると弱者に見える相手でも、ただ「集団環境に適応できない欠点(数の力に対する劣勢)」があるだけで、「単独の暴力・衝動性」では思いがけない反撃・抵抗を見せる人も少なからずいるので、弱く見える相手をあまりに舐めてかかるのも危険である。

6年間もの時間差を開けて、相手の家まで押しかけ刃物で刺すのは、常識的には「異常な怨恨の深さ」だが、他者から限度を超えた侮辱や危害を受けた被害者のケースでは『心的外傷が解決できるまでの時間の静止』が起こりやすいと言われる。怒り・怨恨の保存とその衝動的暴発もPTSDの症状の一種だと解釈できるので、自分が犯罪者にならないようにするためには、PTSDや消えない怒りに対する専門的ケアも考慮すべきだと思う。

小学生の高学年からの6年であれば『非常に長い時間の流れ』で、過去のトラウマへの強烈な執着・遺恨等がない一般的な生徒なら、『環境も考え方も人間関係も大きく変わる時期』である。いじめ・恐喝という可能性論に限った話ではないが、『他者の貴重な人生の時間の剥奪とそれに対する怨恨』を生む危険については自覚的でありたいものだ。