橋下徹市長が維新の党代表を辞任:大阪都構想と統一地方選に集中

『維新の党』のポリティカル・コンパスなポジションは、『公的部門の徹底民営化・行財政改革(広義の行政コストの大規模な削減と市場原理の導入)』で築かれたところがある。そのため、橋下徹が『大阪都構想の大規模な行財政改革』を進捗させる実績が出せなければ、維新の党の国政での独自性・政策理念も衰える可能性は高い。

橋下氏、維新代表を辞任 都構想や統一地方選に当面専念

橋下徹市長は『大阪都構想の進捗度合い』を見誤り、『国政進出の時期』が思った以上に遅滞した状況にある。その原因の一つは次世代の党(旧太陽の党)の石原慎太郎や平沼赳夫など高齢の右翼主義者に擦り寄って、維新の党のイメージを古びたものに変えてしまった事にある。時にポピュリズム(大衆迎合主義)と揶揄されながらも、民意を読むに敏できた橋下氏に小さくない誤算が生じてきたように感じる。

維新の党は、国家観や憲法改正では『自民党の補完勢力』にも成り得るので独自性・新味はない。非アベノミクスの経済政策や財政コスト縮減の行財政改革で、自民党と異なる選択肢としての存在感を醸成できなければ、『敢えて維新の党を支持する動機づけ』は生まれにくい。ワンマンな強権姿勢だけだと安倍総理との差異も小さい。

橋下徹は地方統一選と大阪都構想に集中するといい、江田憲司代表は『既得権益層とのしがらみのない政治は自民党にはできない』という点に維新の党の独自ポジションを見出そうとしているが、維新の問題点は市場原理主義の傾向を示しながらも、格差拡大を補完する『成長戦略・社会保障改革』に目立ったものがない事だろう。