日本の少子化問題の本質はどこにあるのか?:移民政策とAI・ロボットの技術革新(イノベーション)

今の技術水準や労働需要の延長線上で未来を予測しても、科学技術や意識の変化は予測できない。労働人口不足というが幾ら子供を増やしても移民を入れても政府が働かせたい建築・介護等の仕事を希望する人が増える保障もない。

日本は移民政策が必要、労働力確保で中国に負ける可能性=河野担当相

最もクリティカルな問題は、少子化問題が解消して子供が増えれば、人手不足に喘いでいる介護・建築・一次産業等の労働に進んで従事してくれる人が増えるという予測自体が『非現実的・的外れ』という事である。

よほど待遇・意識が変わらない限り、幾ら人口だけ増えても、その業界の求職者が急増・定着するとは予測しづらいし、そのための職業教育や雇用待遇の充実が進められているわけでもない。

政府や日本人の少子化問題の議論の不思議さは、今既に無職者・女性・高齢者等が『殆ど選択(定着)しない業界の仕事』をなぜこれから生まれる子供だけが進んでしてくれると期待できるのかという事にある。仮想娯楽の多いデジタルネイティブ、理不尽な労働を敬遠する今より後の子供は、より過酷な職場に適応しづらそうな印象もある。

スイスで全自動運転バスが運行を始めているが、2045年に人工知能が人間の知能を超えて知能水準を自己改良するとされる『シンギュラリティー(技術的特異点)』が達成されると、人工知能と機械的労働力(簡易なロボット)の組み合わせで『現在の仕事の約50%』が不要となり、労働力不足どころか大量の失業者が生み出される仮説もある。

中東・北アフリカの国内情勢の不安定さや暴力犯罪の多さの一因は『労働需要に見合わない人口爆発』だ。『仕事・収入・消費や教養の娯楽(余裕)がない環境』に大量の人口が投入されるリスクは、『人口減少』と同等の危険性を孕む。AI・ロボット・IoT等の進化はかなりの人の労働を代替する、その影響の見極めが要る。

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