子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の重い副反応に対する集団提訴:10代でワクチンを打つべきかどうか

子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)で重い後遺障害を発症した10~20代の女性が集団訴訟。国・医学会はワクチンと副反応の因果関係を否定、WHOは強く接種勧奨する。64人の副反応は『激しい痛み・歩行困難・意識や視力の障害・思考力低下』など重いが、医学会はワクチンと無関係な精神疾患や遺伝子異常とする。

子宮頸がんの約7~8割が、性交によるヒトパピローマウイルス(HPV)感染が原因とされる。HPVは性交で簡単に感染するが大半が免疫で自然に駆除されるので、一度感染すれば自然に治らないわけではない。HPVに感染してもがん化せず自然に免疫で消滅するが、一部が感染持続(長期潜伏)してがん化する。

欧米の医学会・WHO・製薬会社を中心として、10代の中高生にHPVワクチンを接種する事が半ば義務的に勧奨されている(巨大市場でもある)が、このワクチンの有効期間は最長でも10年以下だ。日本の20代女性の子宮頸がん死亡リスク(年間10~30人)は元々低いので、『重篤な副反応リスク』があれば躊躇する。

WHOがワクチンを強く勧奨して副反応なしとしているので、国や製薬会社は強気でHPVワクチンと副反応の因果関係を否定してくるが、この集団訴訟で『HPVワクチン接種の義務化・任意化』の風向きは変わる。データを信じれば功利主義的に接種は勧奨されるが接種直後に出た歩けない副反応がストレス反応とも考えにくい。

子宮頸がんで妊娠出産が困難になるの接種理由はあるが、子宮頸がんは40?50代以降に増加する。死亡事例も中高年に多い。欧米の未成年者との性生活の違いもあるが、副反応があれば日本の10代の中高生に義務的に集団接種する差し迫った必要性に疑義は出る。HPV・異形成・がんの関係も確率論で9割以上がん化しない。

疫学的に考えれば、接種しないよりはしたほうが良い。統計的には子宮頸がん罹患率が1%から0.5%に下がる。一方で、重症の副反応を考えるとその効果を大きいと見るか小さいと見るか、国家視点か個人視点かで判断は変わってくるかもしれない。接種しないとリスクが2倍の表現だと効果は大きく感じるが。

重篤な副反応は約4000人らしいが発生率に直すと0.04%、確率でいえば接種したほうがいい。ただ子宮頸がんリスクは『だいぶ先の話』で、今は男女交際や若年の性交渉率が減っているので人によってワクチンなしでもリスクは低い可能性はある。副反応があると10~20代の進学就職の機会や楽しみが失われる問題はあり、いつ症状が治るのかもはっきりとしない(ずっと治らないままだと極めて損失は大きくなる)。

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