「医学・医療」カテゴリーアーカイブ

『混合診療の解禁』は、現在までの公的健康保険が中心の日本の医療をどう変えるのか?:先進医療・新薬・民間保険会社

混合診療は『自由診療(保険外診療)』と『保険診療』を混合して別々に計算できるようにすることだが、混合診療の解禁は『先進医療・新薬の許認可のスピード抑制』や『自由診療をカバーできる民間保険会社の市場拡大』の影響も織り込まれている。

格差生む可能性も…「混合診療」拡大のデメリット

大半の国民には直接の影響はない(一般的な医療行為は保険適応のままなので)が、『経済力による先端医療の格差』をどう捉えるかによって混合診療の見方は変わるだろう。混合診療を認めなければ金持ちでなければ先進医療・新薬利用の持続が経済的に難しいが、認めれば先進医療・新薬を利用できる人のボリュームは拡大する。

現時点でも、本当にお金がなければ『保険診療の費用』も支払えない人や健康保険を失う人(資格証明書が発行される人)がいるので、『経済力による医療の格差』はないわけではない。混合診療による格差の問題は、結局『混合診療ができるなら早く保険診療を許認可すべき』という価値観とセットであり、高い自由診療のお金を支払っているものに、『効果がない無意味な治療(薬)・逆に有害な治療(薬)』があるわけがないという素朴な考え方がある。

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増加を続ける認知症の行方不明者に対して身元確認を強化:超高齢化社会における認知症と脳機能の低下

65歳以上の高齢者で認知症の人は、全体の約15%で2012年時点でも約462万と推計されているが、早期アルツハイマー等を含めれば現在は500万人を超えていそうだ。単身高齢者の認知症では身元確認も難しい。

<認知症不明者>確認強化 照会項目増やし…警察庁通達

認知症者が500万人といえば相当な数で、政令指定都市をいくつも合わせたような巨大な人口を構成するボリュームである。約25人に1人が認知症の高齢者と考えると、日本の超高齢化社会の深刻さを感じるが、今後この割合が高くなることはあれど低くなることはない現実に個人・行政・福祉制度がどう向き合っていくべきか。

認知症は健康と病気が明確に区別されるタイプの『疾患単位』ではなく、健康と病気の間に無数のグラデーション(段階)を想定できる『脳の老化の進行度合い』といった見方も強く、中高年期になると認知症の診断を受けていなくても、記憶・判断・思考・言語といった脳機能は個人差がありながらも多少は低下してくる。

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DSM-5で精神障害の日本語訳が変更される。“disorder”の日本語訳が『障害』から『症』へと変更に。

DSM-5ではDSM-4までの『多軸診断・カテゴリー診断』が廃止され『ディメンション診断(多元診断)』が採用されるが、簡単に言えば『精神疾患か否か』より『精神疾患の度合い・重症度』を重視する診断という事である。

「障害」を「症」に 精神疾患の新名称公表

DSM-5ではパーソナリティ障害と発達障害を中心に『多元的なスペクトラム(連続体)』を想定しており、『人間は誰もが正常ではない偏った人格状態や精神状態を持っている』ことが前提になっている。どのくらい偏ったり不適応になっているのかという度合いが問題であり、それを%で表示しようという姿勢がある。

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食事と健康(肥満・生活習慣病のリスク)の相関をどう考えるか:ジャンクフード・炭酸飲料は不健康な食事とされるけれど…

健康な食事といえば『野菜・果物の割合が多くて栄養バランスの取れた食事(味付けの薄いメニュー)』がイメージされ、不健康な食事といえば『炭水化物・脂質の多いジャンクフードやインスタント食品、スナック菓子、清涼飲料水(味付けの濃いメニュー)』がイメージされるが、ここには食の健康にまつわる一つの錯誤も生じやすい。

野菜・果物をたっぷりと摂取する健康的な食事であれば『一度に食べる量・一日に食べる頻度(回数)』が相当に多くても構わないという錯誤である。一回の食事に山ほどの沢山のメニューをお膳に並べ、丼茶碗に山盛りのご飯を何杯もお代わりしても『不健康な食事』でないのだから健康には悪くないというような考え方をしていれば、いくら葉物・緑黄色野菜・根菜・果物をたっぷりと摂取して肉・魚料理を合わせて食べても、カロリーオーバーで肥満になったり長期的には健康を崩しやすくなる。

不健康な食品には課税必要、「たばこより危険」=国連報告官

先進国の食生活では少なめに食べていても『必須栄養素の不足』は起こりにくいが、腹いっぱいになるまで食べるのを常としていれば『必須栄養素の過剰』は極めて簡単に起こるので、栄養バランスの摂れた手料理でも品数や分量が多すぎれば肥満・生活習慣病の原因となる。

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『頑張らなくても痩せてる人』の食・運動の生活習慣

肥満型か痩せ型かには、親子で体型が似ていることも多いように遺伝要因も軽視できないが、大半の人は極端な肥満や激やせの体型にまではいかず、標準体型である人が『加齢(代謝率低下)』と共にやや太り気味になっていき、身体感覚も俊敏さがなくなって重たくなるという感じになる。

一体何が違うの?「頑張らなくてもやせてる人」の生活習慣10個

頑張らなくても痩せている人は、『摂取カロリーと消費カロリーのバランス』がやや消費カロリーが大目になる生活習慣が自然に確立できている人であり、『食事の分量・頻度・内容』を変えるまでは、ある程度頑張ったり意識して変えたりする必要は出てくる。

これ以上ほとんど食べられないくらいの『満腹感(腹9~10分以上)』にこだわる食事を日常的にしていれば、満腹中枢が刺激される閾値が高くなるので、それよりも少ない分量の食事だと物足りない空腹感が多少つらい、手軽につまめるモノがあれば食べたいという衝動が抑えにくくなる。

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日本の医療費と高齢化社会のコスト、難病(特定疾患)支援のあり方

日本の医療費は『高齢化社会・医療技術の進歩・慢性疾患の増加・軽症受診者の多さ』などの要因によって、今後も継続的に上がり続けると予測される。現時点の医療費総額(公費負担はそのうち14兆8079億円,38.4%)は約38.5兆円であり、65歳以上の医療費が21兆4497億円で全体の55.6%、。75歳以上に絞ると13兆1226億円で34.0%であり、高齢化社会では高齢者の医療費が全体の過半を占める。

今年から来年にかけての10%への消費税増税は、高齢化社会に耐え得る社会保障制度の財源強化のためというのが表の理由であるが、10%に増税しても増収分の約12~13兆円は補正予算・経済対策(企業支援策)・国土強靭化に使われるので、医療・介護・年金の社会保障負担増に『現行制度』のまま持ちこたえられる見通しは、10%の消費増税でも依然立たない。

先進国においては医療は誰もが必要な時に利用できる社会インフラであるべきで、日本的な『国民皆保険制度』もアメリカなど一部の市場主義国を除いては、先進国にあったほうが良いとされる保険制度であったが、高齢化率が20~25%を超えてくる『超高齢化社会の医療費』では若年層と高齢層の医療負担格差(保険の負担と受給のバランス)が著しく崩れてくる問題が深刻化している。

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