スマートフォンの利用時間と読書時間:本を読む習慣は善き習慣なのか?

スマートフォンを使い始めてから“紙の書籍+電子ブック”で読書量は増えたが、スマホで使っている“honto”や“Kindle”の電子ブックは、クレジットカードを登録しているとその場で即座にダウンロードして読み始められるため、実際の書店で本を買うよりも多くの冊数をついつい買ってしまいやすい誘惑がある。

一日に自由に使える時間は有限なのだから、スマホを『電子ブックの読書以外の用途』にも使えば読書時間が減りやすいなどというのは、自然法則のように明らかに予測できる結果だとしか思えないのだが、『読書』というのは実学・知識習得の勉強のためでもなければ、良くも悪くも物語や文章、世界観を楽しむという趣味の一環に過ぎない。

スマホ使うほど読書時間減る傾向…読売世論調査

読書家で『読書する習慣が社会的・知的に良い習慣とされているから読むのだ』という人は恐らくいないのであって、『読みたい本・増やしたい知識(雑学)・味わいたい物語・知りたい対象がそこにあるから読まずにはいられない』というだけである。

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ソクラテス、ロバート・ハインラインの言葉(アフォリズム)より

Life contains but two tragedies. One is not to get your heart’s desire, the other is to get it.  Socrates

人生に二つの悲劇あり。一つは最も欲しいものを手に入れられないこと、もう一つはそれを手に入れてしまうことだ。  ソクラテス

真理探求の哲学の始祖とも称される古代ギリシアのソクラテスは、『産婆術』と呼ばれる反駁の対話法によって、何者も確実な知の基盤となる土台を築けていない事実(無知の知)を暴露しようとしたが、ソクラテスの人生は『問いのための問い』というある種非生産的な試みの繰り返しの中で『共同体の敵』と指弾されて潰えた。

ソクラテスが『心からの本当の欲望の対象』を手に入れられないのも悲劇だが、それを手にしてしまうこともまた悲劇だといったのは、ソクラテスが自身の手によって『著作』を一冊も書かなかったこと(ソクラテスの事跡・発言のすべてはプラトンやアリストテレス以下の弟子の記述に依拠する伝聞である)にも反映されている。

『手に入れてしまった知識(体系化・検証を待つだけの知識)』そのものを、恐らくソクラテスは当時の知識人の探究心を失わせる固定観念(正しさと決められたものを固守するだけのスタンス)として嫌ったのだろう。無知の知は現代科学にもつながっている『終わりなき真理探求・仮説志向の前提』だが、例えば、宇宙の摂理を矛盾なく示す大統一理論が完成したという安堵を得た時に、理論物理学者にとっての大統一理論はドクサとなって、それ以上の真理を求める興奮や感動は弱まる。

より日常的なレベルでいえば、憧れている理想の対象の価値は『手に入らないこと』によって何倍にもなるが、それが手に入らないもどかしさや欲求不満に苦しむ。しかし、いざ自分の所有する物になったり自分を受け容れる人になったりした時に、かつての理想の対象(遠い対象)が持っていた神聖・特殊の感覚は次第に失せて、当たり前の環境を構成するものになってしまう。

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宮城県石巻市の『水産業復興特区』でカキ出荷が始まる。東北被災地の水産業の再活性化を。

カキ(牡蠣)の養殖が盛んだった宮城県石巻市の養殖場・処理場は、東日本大震災の津波で壊滅的な打撃を受けたが、今年から地元漁協だけでなく民間企業も加わった『水産業復興特区』を中心にして、カキの出荷が本格化するという。

水産特区でカキ出荷始まる=全国初「想像以上の注文」-宮城・石巻

先日、ほっともっとで『カキ弁当の宣伝の幟』を見て、反射的に買ってしまったほどにカキが好きなのだが、残念ながら石巻市のカキの出荷は当面は県内のスーパー向けに限られるという。これからの季節は、リンガーハットのカキちゃんぽんとかカキを入れたチゲ鍋とかも美味しくなってくるが、鮮度が高い臭みのないカキはやはり生で食べるところに醍醐味がある(魚介類が当たりやすい人などは敬遠することも多いが)。

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アメリカのデフォルト危機(債務不履行)は土壇場で回避されるか。オバマケアと財政負担

明日10月17日までに、アメリカ合衆国の連邦債務の上限額の引き上げ法案が通らなければ、アメリカは国債償還(国債利回り)の支払い能力が不足していると見なされて、部分的なデフォルトが起こる。

アメリカが債務を支払えないというデフォルトが起これば世界経済は非常に大きな打撃を被り、米国債を大量保有している日本と中国の財政状況・株式市場にも深刻な損失をもたらす。だが、現在の状況は『アメリカの政局(民主党と共和党のチキンレース的な駆け引き)』であって、『アメリカの潜在的な支払い能力の限界』ではないのでこの危機は回避されるだろう。

アメリカが完全に支払い能力を失ったとなれば(フル・デフォルトと呼ばれる米国債のジャンク化が起これば)、日本株の下落と円高の急騰だけではなく、インフレが更に進んで物価の急上昇が起こるため、アベノミクスの楽観的予測は短期間で瓦解して、恐らく1年以内に国民生活が相当に行き詰まって政権は倒れることになる。下手をすれば、安倍政権が決断した消費税増税時期も見送られる可能性があるほどに、重要な世界経済の転機にもなるわけだが。

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三鷹市の女子高生殺人事件2:恋愛に関するリスク回避とウェブ上での情報流出の嫌がらせ

もっともストーカーになりにくい人というのは、自我の独立性や自己の世界観(自律的な関心事)が確立していて、恋愛の盛り上がっている時期にあっても『自分と相手との人生・人格の境界線(何もかも一緒ではなくお互いに踏み込めない領域もあるのが当たり前という感覚)』を引ける人であり、『相手の人格・主張の独立性』を本当の意味で尊重できる人である。

三鷹市の女子高生殺人事件1:元交際相手のストーカー化の問題と人の見極め

つまり、相手が考えた結果として『別れたい(別れて欲しい)・もう付き合えない』と伝えてくれば、多少の説得や翻意を促したとしてもそれが無理だとわかった時点で、『相手の選択・感情』をそのまま受け容れられる人ということである。

恋愛・結婚が『対等な個人同士の双方の合意』によってのみ成り立つという原理原則をしっかり理解していて、『一度はお互い好きになった相手であっても気持ちや状況が変わることは可能性としてある(そうなってしまったらどんなに粘っても脅しても無駄で自分の人間性を貶めるだけ)』ということを知っている。

更に言えば、そういった恋愛・結婚の自己責任と相手の尊重を知っている上で、『信頼できる相手・極端な理不尽や不義理を働かない相手・心の底から嫌いにはならないような相手』を選べる人であり、上手くいかないならいかないで(冷たく理不尽な対応や手ひどい仕打ちをされたらされたで)、『そういう相手を見極められなかった自分が情けない・この相手にこれ以上構っても良い対応は得られず嫌な気持ちになるだけで無駄』として次に行くだけなのである。

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三鷹市の女子高生殺人事件1:元交際相手のストーカー化の問題と人の見極め

東京都三鷹市の自宅前で私立高校3年の女子生徒が、元交際相手だった21歳のハーフの男性に刺殺された事件は、付き合っていたり結婚していた相手がストーカー化した後に、適切な重大犯罪の回避(=加害心理の懐柔・制御)の対応が上手くできずに殺害されてしまった事件のように見える。

昨年はストーカーの相談件数が2万件を超えて史上最多となったが、その内の約7割が元配偶者・元交際相手であり、友人知人を含む面識者となると約9割を占めている。基本的には『過去に一定以上の付き合いのあった相手』が別離・離婚に納得できずにストーカー化するケースが大半である。

『別れるための話し合い』が平行線を辿ったり感情的に激高したりする過程を経て、『対応してくれなくなった相手』にしがみついたり会うことの強要・脅しをし始めることで、元配偶者・元恋人が『恐怖感を感じるストーカー』として認識されてしまうようになる。

殺人・傷害など『物理的な危害』を直接的に加えてくるケースは全体では少数派で、『面会や交際の要求・繰り返しの電話やメール・つきまといや監視』といった迷惑・強要の行為が圧倒的に多いが、『決定的な別離の通告・法的な対応での威嚇(警察への相談)』はストーカー化した相手の心理状態や性格によっては危険な結果を引き起こすリスクが生じる。

今回は、三鷹警察署はストーカーへの対応は所定の手順を踏んでいて問題はなかったとしているが、警察官の声で『容疑者の携帯電話』に警察署まで電話をかけるようにとのメッセージ(留守電)を残した対応は、間接的に『殺害の動機づけ(もう何をしても復縁は無理で殺すしかないという身勝手な思い)』を強めた恐れがある。

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