尊厳死の法制化と“自己決定権・暗黙の尊厳死圧力”を巡る倫理学的な問題点

『尊厳死・安楽死』の問題の根底にあるのは、“人間の身体・生命(生存権)”は自分だけのもの(自分の生死を自由意思によって選択できるもの)なのか、ある程度の公共性を帯びたもの(自分の意思だけでは決められないもの)なのかという倫理学的・直観的な判断である。

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尊厳死が『自己決定権あるいは自己所有権の範疇』に含まれると判断するのであれば、尊厳死は法律的にも倫理的にも道義的にも認められるべきものとなるだろう。

だが、誰も被害者がいない売買春・マリファナ使用が法律や倫理で禁止されている国が多いように、『自己所有権・自己決定権(自分の生命・身体なんだからそれをどのように用いようが他者を傷つけない限りは自由という主張)』には一定の他者のまなざしや印象、影響と関係する制約がつくことも多い。

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張成沢を粛正した北朝鮮は“マフィア国家”というより“前近代の専制主義+個人崇拝型の共産主義体制”

故金正日の義弟で北朝鮮(金正恩体制)のナンバー2と目されていた張成沢(チャンソンテク)・前国防委員会副委員長が、12月に入ってから突如失脚して間もなく粛清(処刑)されてしまった。

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金正恩の後見役として『金正日体制からの権力継承』に成功したと見られていた張成沢だったが、この粛清によって北朝鮮が最高権力者個人(第一書記)と第一書記を領導者として担ぎ上げる軍部に支配された『擬似的な王朝体制・専制主義国家』であることを改めて示した。

共産主義(人民共和国)を詐称する擬似王朝(擬似帝政)である北朝鮮においては、ナンバー1(第一書記の最高権力者)以外のナンバー2や3、4の席次の権力・権威・党内の影響力には『暫時的・委任的な意味合い(第一書記から与えられた形の権限)』しかなく、第一書記の判断ひとつで2番目の実力者でも3番目でも即座に首が飛ばされたり、本当に生命まで奪われてしまう危険な独裁体制である。

この点が同じ共産主義国家でも、党内の席次主義・官僚主義の政治体制をベースとして『個人崇拝・国家主席の世襲』を禁じている中国との最大の違いである。一切の手段を選ばずに膨大な人民・党員を粛清した怪物的な独裁者・毛沢東でさえもその地位と権力を自分の子・孫に世襲させることはなかったし、血縁者の一族で権力を掌握し続けるつもりが初めからなかったとも言われ、自らの子を国共内戦で死なせたり、妻の江青含む五人組と苛烈な権力闘争を繰り広げた。

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皆子山(971.5メートル)でボーイスカウト13人が遭難・無事下山。子供を引率する登山では『遭難しない登山』に万全を。

結果的に、全員無事に皆子山から下山できたようで良かったが、こういった何とか下山できたケースであっても、『下山予定時刻の超過・関係者による遭難したのではないかの心配と当局への通報(捜索救助要請)』があった時点で『遭難』と見なされることになる。

大人の単独行・少人数の入山であれば、道に迷ったり天候悪化に遭ったり怪我をしたりしたことを理由とする『予定時刻を超過した真夜中・翌朝の下山』は他人に生命の危機を知られていないという意味で統計に加算される『遭難』ではないが、『実質的な遭難(ほぼ遭難に近い事態)のリスクを踏んだ登山』としての自省は求められるだろう。

皆子山:遭難情報で捜索の小5ら13人 全員が無事下山

登山は人と一緒に登るのは楽しいけれど怖いものでもあり、特に“初心者・子供”となると、安全登山で時間通りに確実に下山できるように計画するためには、『山の難易度・季節・天気・行動時間・装備』を十分に検討しなければならない。

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