計画経済の閉塞感に包まれる現代社会の老後の不安と若者の憂鬱:若くして老後を心配させられるシステム・負担増加

現代の経済成長・人口動態が停滞した『福祉国家・老後保障制度の不幸』は、生まれながらに80~90代まで生きる計画経済に嵌め込まれ、20代でさえ『老後が心配な老人の精神』に侵されて守りに入りやすい事だろう。

<老後の不安>非正規労働者は76% 正社員69%  (毎日新聞 – 06月06日 10:52)

超高齢化社会・福祉国家の連動は、ただ高齢者が増え経済が停滞するだけでなく、メンタル面のアグレッシブな若者が減る副作用がある。20?30代から『財政危機・高負担を前提とする計画経済・予定調和』のフレームワークで考えざるを得ないから、資本主義の先進国も実質は身動きできない社会主義の末期状態に陥る。

現在の国家予算のうち約5割は『国債償還費・社会保障費』だが、社会保障負担は一般会計よりも特別会計のほうが大きい。保険料負担を含む社会保障総額は年間100兆円を超えた。一般会計で年1兆円増える、トータルでは年3~4兆円で社保コストは増える、今不十分とされる年金・医療介護の現状維持も相当な負担増が要る。

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生殖補助医療で女性は『第三者からの卵子提供』に抵抗が強い:第三者の精子・卵子の提供を自由化(ビジネス化)することの倫理的問題

養子を貰うのではなく、不妊治療をしている夫婦の動機づけには通常『自分の遺伝子を継ぐ子が欲しい』がある。そこを考えれば、女性(妻)だけが第三者の卵子提供を受けるという事に抵抗(代理母的な不本意な思い)が出ることは当然想定される事だろう。

<生殖補助医療>第三者から卵子「望む」男性は女性の2倍 (毎日新聞 – 06月05日 23:15)

アメリカでは第三者からの精子・卵子の提供の自由化(ビジネス化)が進んでいるとも言われるが、突き詰めると好ましい外見・能力・履歴を持つ第三者の精子・卵子を組み合わせる(自らの配偶子と組み合わせる)『デザイナー・ベビー』の倫理的問題も生じ、『不妊治療と異なる優生思想的な目的・動機』が前面に出てくる。

デザイナーベビーや試験管ベビーとかが、生命倫理学的なテーマとして取り上げられる事があるが、その根底には『犠牲なき生命の選別とビジネス化・恋愛(性交渉)の同意なき生殖や育児など科学主義的・恣意的な優生思想』の問題がある。そこに不妊治療の正当性や代理母の要請が絡むと、倫理的是非の判断は複雑になる。

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スイスのベーシックインカム(BI)が否決:労働・不労を選択できる実験的ユートピアは実現するか?

スイスのベーシックインカム(BI)法案が反対多数で否決された。完全BIは巨額予算でそれ以外の社会保障を削減してしまう。更に安価な娯楽の多い(時間価値の高い)現代では、大勢が節約生活に走って労働意欲も落ちやすいから、現時点では持続しない『実験的ユートピア思想』に近い。

スイスで最低限の所得保障めぐる国民投票、反対多数で否決

自己の経済的利益を最大化する為に効率的に行動するという、近代経済学の経済人の前提が通用しないのが、成熟経済状況の過去の富・インフラに依存した高度情報化社会でもある。最低限の生活水準を満たす完全BIではなく、生活援助の部分BIのほうが現実味はあるが、完全BIの強みは行政コスト削減にあるとは言われる。

理論的には日本の物価水準に当てはめて月額二十万円以上を全員に支給するような『完全BI』に実現可能性が出る社会は『労働のロボット化・AI化などによってどんなに働きたくても無給でも人が働けなくなった社会』だろう。人にしかできない社会的需要の大きな仕事が多い社会では完全BIは労働供給減の副作用が出るはず。

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