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ドイツで公共の場で『ブルカ着用の禁止』の法制化:イスラーム圏のブルカと女性の自由度・人権

ブルカ規制は実用面では『テロ防止・顔による個人認証』であり、宗教面では『キリスト教圏の文化維持(ブルカの女性増による自国の異邦化抑制)』である。人権面の『男女平等・女性の主体化』もある。

ブルカ着用禁止、ドイツでも 公共の場対象、法制化へ

ブルカは父権宗教であるイスラム教やムスリム共同体の婚姻・家族制度と切り離しては考えにくい。ドイツのメルケル首相は『ブルカは女性の社会統合の機会を失わせる』と述べたが、ブルカは『女性の財物化(庇護的な家長の父親・夫に所有され他に姿を見せない=社会に直接に統合・帰属・参加しない)』を視覚化する面もある。

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中国の南シナ海・東シナ海への軍事的な海洋進出:『遅れてきた帝国主義の中国』を日本の近代史から見る

中国は世界二位の経済大国で常任理事国だが『政治体制・人権・人民の豊かさ・報道や表現の自由』で先進国になりきれず、中国が非難する戦前日本に似た孤立外交・軍事優先・拡大主義の過ちに陥りつつある。

<防衛白書>中国海洋進出「強い懸念」 北朝鮮の脅威強調

西欧列強と並ぶ帝国主義国として大陸・太平洋への侵略を経験した日本、その過去を非難されてきた立場であればこそ、『満州国建設+太平洋進出+絶対的国防圏の設定』を中国が非難するなら、『東シナ海・南シナ海への進出+核心的利益の主張』が周辺国を無視した旧日本の力による現状変更・ゴリ押しと同じだと詰め寄るべきか。

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トルコの軍事クーデター失敗とエルドアン大統領の市民(ムスリム)に支持される民主的な独裁権力強化

トルコのクーデター未遂事件は、290人以上の死者、1400人以上の負傷者を出したが、反乱軍はエルドアン政権にあっけなく鎮圧され、反乱分子に対して非常に強力な『報復措置(公職追放・身柄拘束など)』が矢継ぎ早に繰り出されている。

トルコ死刑復活ならEU加盟できず、独がクーデター処罰でけん制

反乱軍(トルコ軍の一部)は電撃的なクーデターを起こした。短時間で主要施設を占拠して首都アンカラの議会を爆撃、欧州と中東をつなぐ要衝であるボスポラス海峡とイスタンブル国際空港を封鎖して、反乱軍の優位性を演出した。

反乱軍はクーデター開始後に夜間外出禁止令(夜間に外出した者は反クーデター派として殺害される恐れがある)を出して全権掌握を一方的に宣言したものの、圧倒的な支持率を誇るエルドアン大統領は静養で首都を離れていたものの落ち着いており、ネットやアプリを駆使して国民に『恐れずに広場に集結せよ(非合法クーデターに反対する民意を示せ)』と指示を出した。

トルコ軍は1923年のケマル・アタテュルクによる近代化を目指すトルコ共和国の建国以来、『政教分離・世俗主義(ケマリズム)の守護者』を自認しており、政権が『イスラム原理主義化(政教一致)+非民主主義化(独裁化・骨抜きの全権委任化)』の動きを見せた時に軍事クーデターを起こすことが多かった。

トルコはイスラム教徒が大半を占めるため、自然の多数決だけに任せていれば世俗主義を捨てて政権・議会がイスラム化するリスクがある。軍は1980年のクーデター後の1982年にトルコ憲法を改正し、『イスラム国家化しない世俗主義』を国是とする旨を定め、軍や司法に強い権限を認めていた。

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フランスのリゾート地ニースで起きたシンプルなトラックテロの脅威:連続テロに見舞われ怯え怒るフランス

14日夜、フランスの観光地ニースを襲った大型トラックを用いたテロで、84人が死亡し、202人の負傷者が出た。実行犯は19トンの冷凍トラックをレンタルして、人通りの多いパリ祭(フランス革命記念日)の花火大会の後を狙い、遊歩道「プロムナード・デ・ザングレ」を2キロにわたって暴走させた。

強力な自動小銃や爆弾を使用しない単身のテロでありながら、その被害規模は中東の連続自爆テロを凌ぐような大きさにまで拡大した。フランスは昨年の悲惨なパリ連続テロ事件を受けて複数回にわたって非常事態宣言を出し、テロ警戒レベルを上げていたが、トラックテロを防ぐことはできなかった。『人通りの多いイベント・商業施設』のテロ防止対策や警備の難しさを改めて浮き彫りにした事件である。

トラックテロを実行した男は、チュニジアとフランスの二重国籍を持つ移民のモハメド・ラフエジブフレル容疑者(31)で、トラックの暴走後に銃を乱射して、警官に射殺されている。

トラックが侵入禁止ゾーンに入って間もなく(まだ大勢の人がひかれる前に)、停止命令を無視する運転者に異常を感じた警察官が発砲して制止しようとしたが、警察の拳銃の威力が弱かったためか(あるいはただ射撃の命中精度が悪かったか、トラックのガラスが特殊強化ガラスのようなものだったのか)、高い座席にいる容疑者の運転を止めるほどのダメージを与えることはできなかった。

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イギリスのEU離脱問題(ブレグジット)で離脱派のボリス・ジョンソン前ロンドン市長が保守党党首選を辞退:EU離脱交渉の混迷

イギリスのEU離脱問題、離脱派の扇動役だったボリス・ジョンソン前ロンドン市長が保守党の党首選を辞退した。あれだけ離脱の必要とメリットを訴えていながら、EU離脱交渉の困難を前に辞退とは無責任だ…EUは『EU単一市場のアクセス』と引換えに『人の移動の自由』を求め、離脱派の望む移民制限は出来ない恐れがある。

英国独立党のファラージュ党首も、EU拠出金を英国民のNHSの医療費に回せるという公約を撤回、EU離脱をしてもEU拠出金によって国民の実質負担が減らせない事を認めた。離脱によって生じるメリットとされた『移民制限・社会保障負担軽減』の実現可能性が狭まり、EU市場参加に規制をかけられるリスクが懸念される。

ジョンソンの辞退によって、保守党党首の座が近づいたのは、サッチャーの再来とも言われるテリーザ・メイ内相だ。ジョンソンを補佐していたマイケル・ゴーブ司法相も出馬するがメイ優勢は固い。メイ氏は『EU残留派・移民制限派』だが、9月に首相に就任しても『年内の離脱協議』を拙速に開始すべきでないと発言している。

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米国の大統領候補ドナルド・トランプの偏った世界観と日米安保への主張:アメリカの斜陽の兆しか

アメリカの大統領候補であるドナルド・トランプの台頭は、世界戦略から手を引き自国の事だけに専念したいという『アメリカの斜陽のナショナリズム』の現れで、どの国にも外国に自国の財源が不当に奪われているといった主張はある。

<米大統領選>トランプ氏に意見交換申し入れ 石原・亀井氏

ドナルド・トランプの政策や見識は『偉大なアメリカを取り戻す』というスローガンとは裏腹に『世界・同盟関係における米国のプレゼンスや威信を落とす政策』だろう。大戦後の米国の冷戦・中東経営を経由した『価値観外交・世界の治安維持からの弱気な撤退』を今更行えば、米中関係や太平洋の制海権も歪める事になる。

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