結婚は“オワコン”なのか?2:なぜ欧米では婚姻率が減ってシングルマザーが増えたのか。

男性が『終身的な家計の大黒柱(家庭・子供の過半の経済的負担を担う柱)』としての働きを期待される比率は、家庭・育児・教育の社会保障制度の不十分な日本では欧米よりも圧倒的に高いので、男性雇用が崩壊すると婚姻率は必然に下がる。既に新卒者では、女性のほうが男性よりも就職内定率が高くなっており、平均所得も20代半ばくらいまでは女性が上回るようになってきている。

欧米で婚姻率が低下したにも関わらず、男女の事実婚や女性の非嫡出子の出生数がそれなりに多いのは、日本以上に男女の雇用格差が縮まっていることや社会保障の生活や育児、教育の支援があるために、『長期間にわたる男性の扶養能力・家族への責任の履行』に頼ることを初めから諦めているというか期待していないという要素もあるだろう。

特に北欧・西欧の先進国では別れてシングルマザーになっても、社会保障の育児・教育・生活の支援によって一人で子供をそれほど無理せずに育てやすく、社会的な偏見も殆ど無くなってきている。良くも悪くも女性・子供にとっての『男性パートナーの経済的な必要度・人間的な魅力・家族への貢献度』がなくなれば切り捨てやすい社会に移行しているわけだが、同じような事態(失業・怠惰・貧困化・ローン返済の滞納などによる離婚)は近年の日本の家庭でも少なからず起こってはいる。

リンクした前回の記事でも、『欧米では男性は種だけを与えれば後は要らないような存在になっているのではないか・事実婚(離れやすさ)とシングルマザーの手厚い支援は母子密着の家庭から男性の居場所を奪いやすくする』といった意見が書き込まれているが、婚姻率が下がれば確かに男性が家庭・子供に果たすべき責任や貢献の重圧は弱まる。

だがそれは逆に言えば、よほど役立って好かれているパートナーか強く惚れ込まれている男性でない限りは、パートナーと子供から別れを切り出される可能性が高まるということでもあり、『婚姻の束縛や責任の低下』は必ずしも男性だけに有利な変化だとは言えない。

かつて女性が自分を大切にしてくれない相手との離婚を恐れたり配偶者を立てて上げて気を遣っていたのは、やはり『離婚すると子供との生活が成り立たない・自立して生きていくだけの職業や収入がない』という現実的理由が中心だったわけで、事実婚が激増してシングルマザーの社会保障支援が極めて手厚くなれば、女性が離婚を恐れる理由は格段になくなってしまう(子供と一緒に貧困にならずに生活できればそれで良いという女性は多い)からである。

日本の非婚主義者や功利主義者には、『現在の結婚制度には男性にとってのメリットが殆どなく、離婚すれば慰謝料や養育費の支払いの負担が大きい』というような意見もあるが、結婚制度のメリットはデメリットと表裏である『別れにくさ・縁の切れにくさ』であると見るべきだろう。

『相手の気持ち一つ』で社会保障のバックアップを受けて離婚の不安がなくなれば、どちらかといえば子供が自分についてきにくい男性のほうが、孤立化・不安化のリスクは大きかったりもする。養育費の支払いにしても、確かに家庭裁判所の命令を無視して支払わずに逃げを決め込む無責任な男もいるが、一定の仕事や収入があれば子供とのつながり(子供からの自分の良い評価・良い印象)を保つために『自分から払い続けたい・困ったことがあれば相談してほしい』という父親も多いはずである。

母親である女性と子どもの情緒的な結びつきは、一般的に極めて強いものでありそう簡単には崩れない傾向があるが、男性が妻子(パートナーと子)から『良き家族の一員』として肯定的に認められ続けるには、やはり大半の家では『一定以上の経済的な責任・貢献』を継続する必要があるというのはそう簡単には覆せない前提である。

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