先進国のデフレはなぜ続くのか?:原油安・金融緩和(株高)の影響と物価の高低

少し前まで『原油の上昇・新興国の石油需要増加』によるエネルギー価格高騰が懸念されていたが、米国のシェールガス革命とOPECの価格競争、対ロシアの間接的経済制裁で原油市場の先行きは不透明だ。

2015年展望:物価はどうなる? 原油安・追加緩和の影響は?

エネルギーとなる地下資源の推測埋蔵量は、シェールガスとメタンハイドレートの掘削技術に実用化・ビジネス化の目処が立てば、少なくとも100年以上の埋蔵量がある。更に掘削と内燃機関の技術革新があればエネルギー枯渇不安や高騰リスクは和らぎ、今より原油価格が一段安くなるかも。中東の政情不安・貧困化の懸念も同時に生じてしまう恐れはあるが。

インフレ刺激の金融緩和を行っても、先進国の物価がなぜ下がるのか。単純に考えれば『供給能力・価格競争の過剰』である。先進国の人が最低限の生活をするのに必要な食料・衣料・住宅などの生産能力(国の購買力)に余裕が生じ、新規需要と所得が減少傾向になる。買い手市場の常態化、正規雇用減のトレンドもデフレに影響する。

先進国では市場原理と労働意欲をドライブするアニマル・スピリットが低下し、新興国と比較すると『ステータス誇示の顕示型消費』が低迷(脱価値化)することもデフレを招く。先進国では金銭・モノ以上に時間資源・人間関係を重視する人が増え、安価だが応用性・満足度の高いウェブの普及も全般的な生活コストを下落させた。

無料コンテンツや格安販売の多いウェブが、既存ビジネスを破壊したり単価下落に追いやった事例は無数にある。月額8千円近いスマホが高いという声は多いが、『ウェブ・SNS・メールやLINE・ゲーム・映画・電子ブック・地図』など無数の用途があるので、過去のそれぞれの有料サービスに比べれば安くなったとも言える。