沖縄、在日米軍軍属(元米兵)による20歳女性の殺害事件:米軍関係者の犯罪の処遇と日米関係への影響

米軍関係者は無条件で日本の司法権で裁けないの誤解があるが『公務外での刑事犯罪』は日米地位協定でも日本側の刑事訴追を受け入れると規定されている。米側の裁判権は公務中の犯罪に関するもの。

遺棄容疑の元米兵、殺害ほのめかす供述 沖縄の女性不明

公務中の犯罪であっても、被害者の死亡、生命を脅かす傷害又は永続的な障害を引き起こした場合、日本側の刑事訴追したいという当該要請に米国は好意的考慮を払う事も規定されている。平成23年、公務中の交通死亡事故に対し、米側は刑事訴追を断念、日本側の要請で日本の司法権に従う回答をした事が見直しの契機となった。

米兵による重大な殺人・強姦事件が起こった時には、日米安保条約や在日米軍基地に対する反対運動が強まるが、米軍が日本人女性を殺害する事件を起こした事で『ドナルド・トランプの日米安保の負担率の見直し』と『安倍政権の改憲・自主防衛路線』が予期せぬ調和(意図や世論の一致)を見せる可能性も出た。

在日米軍の重大事件は『代表性バイアス・象徴的な心理』を生む。統計的には『沖縄駐留の米軍関係の事件率』と『沖縄県民(日本人)の事件率』には有意な差はなく、エリア制限のある米軍のほうが低い傾向がある。だが数年に1回でも重大事件が起こると、代表性バイアスでいつも米兵が犯罪を犯すの印象が強く刷り込まれる。

日米戦争の敗戦で沖縄県は長く米軍軍政下に置かれた歴史もあり、『米兵・軍属の日本人に対する犯罪』は『戦勝国・米国人の日本に対する優越感・傲慢の象徴』として受け取られやすいという象徴的心理の効果も強い。米軍関係者の重大犯罪は日米の外交・同盟関係・ナショナリズムに与えるインパクトを甘く見ることはできない。

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